壇弁護士の事務室について

「壇弁護士の事務室」は、大阪弁護士会所属の弁護士壇俊光が、第一線の現場にいる弁護士の目から、感じることを日々書きつづっています。

 

 

所属会等

2000年 大阪弁護士会登録 北尻総合法律事務所 所属

連絡先

info@dan-law.jp (半角に直してください)

TEL 06-6364-0181

但し、メールや電話による法律相談等は顧問会社に限らせていただいております。

顧問契約に関しては上記までご連絡ください。

 

事務所住所 

〒530-0047

大阪市北区西天満6丁目7番4号大阪弁護士ビル501号室

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営業時間
 

平日(月曜日~金曜日) 10:00~17:00(要予約)
ご予約いただいた場合については、土日祝を含む営業時間外のご対応もいたしております。

 
取り扱い分野

IT(電子商取引、ネットワーク、発信者情報開示請求、ソフトウェア、その他)

知的財産(特許、著作権、商標、その他)

医療過誤

一般民事(契約書作成、貸金、交通事故、不動産取引、借地借家、土地明渡し、その他)

倒産事件(任意整理、破産、民事再生、その他)

企業法務一般(商取引、債権管理、独占禁止法、株主総会指導、セキュリティ等)

家事(離婚・相続など)

刑事事件(捜査弁護、公判弁護、告訴・告発)。

企業コンプライアンス

経営診断

 
資格等

弁護士

中小企業診断士

情報セキュリティスペシャリスト

基本情報技術者

応用情報技術者

プロジェクトマネージャー

ISMS審査員補(ISJ-C06773)

プライバシーマーク審査員補

 

主な参加事件

Winny事件弁護団 事務局長

YahooBB!個人情報漏えい被害者弁護団

ダスキン大肉まん事件株主代表訴訟

ドロップシッピング被害者弁護団

近未來通信被害者弁護団

 

著書 論文等

「最新著作権関係判例と実務」知的所有権問題研究会編 民事法研究会

「プロバイダ責任制限法における発信者情報開示の実務的な問題」情報ネットワークローレビュー第6巻87頁

 

所属委員会等

日本弁護士連合会コンピュータ委員会等

近時の講演・講師テーマ

「Winny事件の弁護活動」

「インターネット消費者保護~基礎編」

「インターネット上での誹謗中傷対策」

「発信者情報開示手続きの基本」

「企業における個人情報保護とセキュリティ対策」

「海外における商標冒用事件」

「RCCを用いた企業再生スキームについて」

「インターネットの著作権問題」

「クラウドの著作権問題」

「E-コマース法制」

「電子商取引 基礎編」

「ネットビジネスの注意点」

「下請法解説」

「中小企業の法律問題」

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2017/11/13

娘たちとの15年、返ってこない・・・ゴビンタ氏語る。

東電OL事件を知っているだろうか。

東京のアパートの一室で、東電の幹部社員の遺体が発見された事件である。

捜査の末、1997年に1人のネパール人が逮捕された。

彼は、無罪を争い、長期の勾留生活を余儀なくされた。
努力の甲斐あってか、2000年に東京地裁は、現場に第三者がいた可能性が否定できないとして無罪判決をした。

しかし、検察は控訴し、さらに、勾留を求めたところ、東京高裁は、紆余曲折の末、一審が無罪であるにもかかわらず、東京高裁第4刑事部(高木俊夫裁判長、飯田喜信・芦沢政治裁判官)が勾留を認め、異議申立を受けた東京高裁(高橋省吾 青木正良 村木保裕)も勾留を支持し、最高裁(藤井正雄、遠藤光男、井嶋一友、大出峻郎、町田顯)遠藤、藤井裁判官の反対もあったが勾留を認めた。

その結果、彼は再び長期の勾留生活を余儀なくされた。

その後、 東京高等裁判所第4刑事部は、逆転有罪判決を出し、2003年最高裁(藤田宙靖裁判長、金谷利廣・濱田邦夫・上田豊三裁判官)も有罪を支持し、彼は服役することになった。

ただ、その後、DNA鑑定を実施したところ、遺体から採取された精液のDNAが彼のものとは異なり、現場から検出された第三者の陰毛のDNAと合致することが判明した。
精液の存在は、検察は認識していたが、明らかにしていなかったのである。

検察が再審に反対し、勾留をするよう求める中で、刑の執行停止がおこなわれた。」

彼が帰国することが出来たのは2012年のことで、再審無罪判決となったのは、2012年11月7日のことである。

そんな彼が、事件後初めて来日してインタビューに応じたようである。

記事

「僕の若さはもう戻ってこない。僕の人生の一番いい時期は刑務所の中だった」

私は、これを読んで、デタラメな逮捕の後、ガンで死に至った若きプログラマを思い出さずにはいられなかった。彼は勾留中に胃がんであるにもかかわらず検査すら受けさせてもらえなかったのである。

死ぬ前、彼は、「僕は日本に殺された。とても悔しい」と言って泣いていた。

被告人は、たとえ無罪であっても、とてつもない犠牲を強いられる。

それにもかかわらず、無辜の人を罪に陥れた人は誰も責任をとらない。

逆転無罪判決を出した、高木裁判長は、定年退官の後、瑞宝重光章を受賞し天寿をまっとうされたようである。飯田裁判官は、再審無罪判決の後2013年に依願退官をし、芹沢裁判官は現在も裁判官を続け現在は福島家庭裁判所の所長のようである。

異義を退けた東京高裁の高橋裁判官はロースクールの教授となり、青木裁判官は簡易裁判所の判事を続け、村木裁判官はその後児童買春で弾劾罷免となった。

不利な証拠の存在を黙っていた検察は名前すら出ない。

警察は、悪びれるところか、彼が真犯人だと今でも言っているものがいると聞く。

決して忘れてはいけない。

この事件を、

そして、えん罪は、検察の狂気と、裁判官の暗愚と、弁護人の無能が生み出していることを。

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2017/11/10

情報ネットワーク法学会第17回大会

今年も、情報ネットワーク法学会の季節が来た。

情報ネットワーク法学会というのは、サイバー法にまつわる分野を研究するインパクトファクターほぼゼロの学会である。

年に一度の研究大会は、飲み会と勘違いして参加する弁護士も多い緩ーいところである。

今年は2017年11月11~12日に名古屋大学で開催である。
3代目J Soul Brothers見に行くくらいなら、学会行くべしである。

というわけで、大会ページのプログラムがiframeになってたので、そのまま貼って置くので参加されたしである。

やる気のある人達と意見交換できるのは楽しみである。




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2017/10/15

高速の追い越し車線で停車させたら何罪なのか

東名高速道路で、ワゴン車が大型トラックに追突され夫婦が死亡した件で、ワゴン車を無理やり停車させたとされる者が、自動車運転死傷処罰法違反などの疑いで逮捕された件で、危険運転致死だ!いや、殺人罪だ!等ネットでは、何罪が成立するかで、いろいろ言われているようである。

菊間弁護士が過失運転致死傷と言ったことで炎上したという記事を見た。

記事

園田先生が監禁致死罪が成立するとおっしゃってる記事もある。

記事

ちなみに、私は何罪が成立するかという意見はない。こういう事件は、細かい事実認定や証拠の有無で成立する罪が大きく異なるので、私のようなしがない弁護士が、証拠なしに判断することは危険すぎるからである。

というわけで、今回は、最大限に、事実認定について幅を意識して、お二人のご意見を参考に罪の成立する場合しない場合を解説してみたい。

まず、自動車の運転に関する死亡事件については、自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律という平成25年に成立した法律の適否が問題になる。

そのうち、もっとも軽いのが、

(過失運転致死傷)
第五条 自動車の運転上必要な注意を怠り、よって人を死傷させた者は、七年以下の懲役若しくは禁錮又は百万円以下の罰金に処する。ただし、その傷害が軽いときは、情状により、その刑を免除することができる。
である。

本件では、前に回り込んで自動車を停車させたと報道されているが、これが運転上必要な注意を怠りに該当するか、また、車から降りて被害者の胸ぐらをつかむなどしたと報道されてるが、これが運転上必要な注意を怠りに該当するかが問題になる。

なんとなく、後者は、運転上の注意義務じゃなさそうなので、自動車を停車させた行為が運転上必要な注意を怠ったに該当するとしよう。その場合、死亡との因果関係が認められるかが問題になる。死亡したのは、後続車が追突したからと報道されているからである。

これは因果関係といわれている論点で、いかなる場合に因果関係を認めるかは古くから諸説あって、これだけで、お酒が何杯も飲めるネタである。

本件は、因果関係論の中でも行為後に第三者の行為が介在した事案に区分されよう。
因果関係についての裁判例としては、大阪南港事件(最高裁平成2年11月20日)がある。
これは、被害者の頭部を多数回殴打して、そのまま立ち去ったところ、被害者は生存中に何者かによってさらに殴打され、死期が早まった事案で、裁判所は因果関係を認めた。

また、交通事故事案では、最高裁平成16年10月19日がある。

これは、高速道路の追い越し車線に被害車両を停車させて、暴行を加え現場を立ち去った後、被害車両が後続車両に追突された事案であるが、裁判所は、被告人の上記過失行為及びこれと密接に関連してされた一連の暴行等に誘発されたものであったといえるとして、因果関係を認めている。

裁判例では、よっぽど奇異な事象が介在した場合でもない限り、因果関係を肯定しがちである。

本件は報道を見る限りでは、追い越し車線に車を止めさせた場合、後続車両が追突することは特段奇異な事象ではないので、一般的には因果関係が否定されることは少ないと思われる。

で、次に問題になるのが危険運転致死罪である。

(危険運転致死傷)
第二条 次に掲げる行為を行い、よって、人を負傷させた者は十五年以下の懲役に処し、人を死亡させた者は一年以上の有期懲役に処する。
一 アルコール又は薬物の影響により正常な運転が困難な状態で自動車を走行させる行為
二 その進行を制御することが困難な高速度で自動車を走行させる行為
三 その進行を制御する技能を有しないで自動車を走行させる行為
四 人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
五 赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為
六 通行禁止道路(道路標識若しくは道路標示により、又はその他法令の規定により自動車の通行が禁止されている道路又はその部分であって、これを通行することが人又は車に交通の危険を生じさせるものとして政令で定めるものをいう。)を進行し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為

本件を報道を見る限りでは、ワゴン車に回り込んで停車させたとされているので、「人又は車の通行を妨害する目的で、走行中の自動車の直前に進入し、その他通行中の人又は車に著しく接近し、かつ、重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」に該当するかが問題になる。

これは、ワゴン車の通行を妨害する目的だったのか、直前といえるのか、重大な交通の危険を生じさせる速度なのかなどが問題になろう。

次に、運転と死亡との因果関係が問題になる。

先ほどの裁判例に加えて、ここで参考になるのは、大阪地方裁判所平成29年3月3日である。
これは、163キロで暴走させた結果制御不能となり対向車線に飛び出して対向車と衝突した事案で、危険運転致死を認めた。要するに、危険運転について故意があれば、事故を起こすつもりでなくてもいいのである。

この点に関して、菊間弁護士は「容疑者もその同乗者の女性も外に出ていたのだから、まさか事故が起こるとは思っていなかったと推察し」同罪の成立を否定したと報道されているようである。しかし、事故が起こると思っていたかは、同罪の成立要件ではないので、正直何の要件をおっしゃってるのか、私にはわからない。

園田先生は、「妨害運転に内在する危険性が死亡の結果という形で現実化した」ことが必要という基準を提唱されて、車を降り、ワゴン車のところまで歩いて行っていったので、本件は妨害運転に内在する危険性が具体化したものではないというお立場のようである。

ただ、その基準自体が一般的なものではないので、裁判所が採用するかという問題と、採用しても最高裁平成16年10月19日判決を見る限り、妨害運転の危険性から生じたと認定するような気がするという問題がある。

次に殺人罪の成否であるが、殺人罪は刑法である。

(殺人)
第百九十九条 人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
まず、報道を見る限り、追い越し車線に停車させる行為が、死の現実的危険性を有する行為かが問題になる。これは、どれぐらい後続車両が来る危険があるか、どれだけ停止できずにぶつかる車両がいるかの程度次第であろう。

次に、故意、つまり「被害者が死ぬかもしれないが構わない」という証拠があるかが問題になる。

これは、事実認定次第で、追い越し車線に止めること自体、一般的には危険極まりないことであるが、怒りにまかせてなにも考えてなかったといえる可能性も全く否定はできない。

おまわりさんの取り調べ次第では、殺意について自白調書が出てくる可能性も出てこない可能性も否定できない。

園田先生は、自分の車から降りて、ワゴン車のところまで歩いて行ったので、自分も死ぬことを認識・認容したというのは、ありえないという意見のようである。

ただ、この点については、自白調書があれば、自分が死ぬ可能性を認識しても故意とは矛盾しないとして故意を認めるのが、私のよく知っている刑事裁判所の傾向である。

さらに、園田先生は、監禁致死罪を提唱するようである。

(逮捕及び監禁)
第二百二十条 不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。
(逮捕等致死傷)
第二百二十一条 前条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。
(傷害)
第二百四条 人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
(傷害致死)
第二百五条 身体を傷害し、よって人を死亡させた者は、三年以上の有期懲役に処する。

前に被疑者の車が停まっていて、車でその場から脱出することが当時の状況からかなり困難で、子供2人を連れて走って逃げることもできないというのが、園田先生の監禁罪成立の理由のようである。

監禁は、拘束しなくても、移動や脱出が著しく困難であればよいとされ、嫌がる人をトラックの荷台に乗せて走るだけでも成立するとされている。本件がこれに該当するかが問題で。移動した際に、どの程度執拗に回り込んでいたかとか、後続車両が衝突する可能性の程度が事実認定の前提として問題になってくると思われる。

次に、監禁する側は、監禁の故意が必要である。ワゴン車が自発的に停車したと認識していたのか、それとも進退極まって停車せざるを得なくなったと認識しているか、これも事実認定次第である。

その際には、後続車両が衝突する可能性をどの程度認識していてたかが問題になるが、その可能性を十分認識していれば認識しているほど、車がぶつかって死ぬ可能性も認識していたことになるので殺人罪の故意が認められる可能性が高まる。

すると、車が衝突して死ぬことはないと思っていたが、車が衝突する可能性を恐れて逃げることができないであろうと認識していたという事実が認定できた場合は、監禁だけの故意が認められるということになるのであろう。

というわけで、いまのところ、ネットで見る限りの犯罪の成否は解説したつもりである。
この事案、人によって前提とする事実が異なっている気がするので、人の見解を見る場合は、その点を忖度するのが重要と思う。

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2017/10/11

アディーレ法律事務所業務停止

アディーレ法律事務所が業務停止2ヶ月という報を見た。

東弁のWebサイト

2017年10月11日

東京弁護士会 会長 渕上 玲子

本日、東京弁護士会は、弁護士法第56条に基づき、弁護士法人アディーレ法律事務所に対し業務停止2月、元代表社員の弁護士石丸幸人会員に対し業務停止3月の懲戒処分をそれぞれ言い渡しました。
同弁護士法人は、広告表示が改正前不当景品類及び不当表示防止法(以下「景表法」といいます。)の有利誤認表示に該当したとの理由で、消費者庁より広告禁止の措置命令を受けましたところ、この度、当会は、同弁護士法人の広告行為が景表法に違反し、かつ日本弁護士連合会の弁護士等の業務広告に関する規程等にも抵触するものであり、弁護士法人として品位を失うべき非行であると判断し、上記のとおりの懲戒処分を申し渡しました。
同弁護士法人の広告表示は、債務整理・過払金返還請求に係る役務を一般消費者に提供するにあたり、実際の取引条件よりも有利であると一般消費者を誤認させ、一般消費者の自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある極めて悪質な行為であり、しかも、長期間にわたって多数回反復継続されている組織的な非行と言わざるを得ません。
当会は、このような事態が生じたことを重く受け止め、今後も、市民の弁護士会に対する信頼を確保するために、弁護士や弁護士法人の非行の防止に努めるとともに、非行に対しては厳正に対処して参ります。
なお、同弁護士法人の依頼者の方が多数おられることから、下記のとおり臨時電話相談窓口を設け、依頼者からのご相談に応じております。

臨時電話相談窓口 電話 03-6257-1007
(受付時間は午前9時から午後5時まで、土日祝日を除く)

ここだけでは無く、小型ロボットの名前の事務所とかも含め、ウェブ広告の現状は少し苦々しく思っていたので、取締自体は賛成である。
ただ、ろくにウェブ広告の監督もしなかった弁護士会が、消費者庁から措置命令がでるやえらく強気な決定を出したなぁという感じである。

ここは、弁護士190人スタッフ1190とも言われるの超大手事務所である。
業務停止とは文字どおり業務をしては行けないので、依頼者は基本的に別の事務所に引き継いでもらわなければならない。大量の引継ぎが発生するであろう。

東弁は臨時電話相談窓口を設けてるらしいが、東弁の勧める事務所に引きついでもらわなければならないわけではないので、今度こそ自分の目で弁護士を選んでもらいたいものである。

業務停止は文字どおり業務停止なので、ウェブも公開停止したようである。

ただ、ここだけは、なぜか、今も公開中のようである。

(追記 その後停止したようである)。

というわけで、あぁ、悲惨(dire)という笑えないネタである。

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2017/09/30

医業の遺業

先日、入れ墨判決については、すでにとりあげたが、医業を巡ってはいろいろあるようである。

行政解釈では、

(昭和三九年六月一八日 医事第四四号の二)
(東京地方検察庁刑事部検事あて 厚生省医務局医事課長回答)
昭和三十九年四月二十四日東地刑日記第四七八号で照会のあった標記については、これらの行為はいずれも、当該行為を行なうに当り、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は及ぼすおそれのある行為(医行為)であり、これらの行為を反覆継続すれば◆医業◆に該当するものと解される。

というのが美容整形や植毛を巡って通達されている。
ただ、これでも、今回のタトゥー判決の「医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為」よりは、対象を限定している。

また、刑罰規定の解釈に関して、行政解釈は参考でしかない。
そうでなければ、行政解釈により刑罰の対象がいかようにも変更出来るのであれば、罪刑法的主義ではないからである。

というわけで、法律の文言を裁判所がどう解するかが問題になる。
裁判例としては、

下級審は、

広島高等裁判所松江支部 昭和25年6月21日
医師法17条にいう医業とは、反覆継続の意思をもって診察・治療等の医療行為をすることをいう。

広島高等裁判所岡山支部 昭和29年4月13日
医師法一七条にいう医業とは、反覆継続して医行為をすることであり、ここでいう医行為とは、主観的には疾病治療を目的とし、客観的にはその方法が現代医学に基づくもので診断治療可能のものであることを要すると解されるから、診断類似の行為をし、なんら薬剤的効用のない焼骨粉を与えて薬代の名下に金銭を詐取した行為は、医行為に当らない。

と医業を診察・治療等の行為に限定していたのであるが
最高裁は、

最高裁判所第三小法廷 昭和30年5月24日
医学上の知識と技能を有しない者がみだりにこれを行うときは生理上危険がある程度に達しているときは、医行為と認めるのが相当である。

という判断をして、その範囲を広めた。
この基準でも、今回の「医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為」よりは、ある程度の危険性を求めている点で処罰の範囲が限定されている。

もっとも、この事案は、現在は、医療類似行為と判断される可能性が高い事案であり、医業に関する先例しての価値は疑問である。
実際、下級審は、最高裁の後も治療行為等に処罰の範囲を限定している。

小松簡易裁判所 昭和34年1月31日
医行為とは、人の疾病治療を目的とし、現代医学の立場から是認されている方法により診察、治療(手術・投薬等)をすることをいい、具体的事例の疾病の発見および治癒に適合するか否かは問わない。

東京高等裁判所 昭和36年12月13日
医師法17条にいう医業とは、反覆継続の意思で人の疾病の治療を目的に診察・治療をすることをいう。

東京高等裁判所 昭和42年3月16日
医師法17条にいう医業とは、反覆継続の意思をもって医療行為をなすことをいう。

と医業を疾病の治療等を前提にした判断がなされている。
このあたりでは、裁判所もブラックジャック処罰法と考えていたのだと思われる。

最高裁も

最高裁判所第一小法廷 昭和48年9月27日
いわゆる断食療法を施行するため入寮の目的、入寮当時の症状、病歴等を尋ねた行為は、それらの者の疾病の治療、予防を目的としてした診察方法の一種である問診にあたる。

と疾病の治療・予防目的の行為が医業であるような判断をしている。

その後下級審は平成に入り、

東京地方裁判所 平成2年3月9日
あざ、しみ等を目立ちにくくする目的で、注射器または針を使用して色素を注入するなどの入墨類似の美容術が、医行為に当り、社会的相当行為であるとはいえない

東京地方裁判所 平成9年9月17日
植毛治療に訪れた患者に対して、医師の資格を有しない者に問診、採血、血圧測定、植毛実施の適否診断並びに麻酔薬注射、毛髪刺入による植毛、投薬などの行為をさせたことが医師法違反に当たる

という判断をした。

その風潮がもっともトピカルなのが

最高裁判所第一小法廷 平成9年9月30日
コンタクトレンズの処方のために行われる検眼及びテスト用コンタクトレンズの着脱の各行為は、いずれも医師法17条にいう「医業」の内容となる医行為に当たる。

で、これを受けてか、下級審も

東京地方裁判所 平成14年10月30日
レーザー脱毛も医行為に該当すると解される

という判断をしている。

これらの判断は、まだ、美容目的も医療に含まれるという判断によるかもしれないが、それに比べて、タトゥーはこれらの事案とは性質が異なるような気がする。

昭和40年ころの判断に比べて、裁判所の判断が変わってきたのは、美容整形のありかたの変化だけではなく、警察・検察の在り方や裁判所の在り方、つまり、凶悪犯が減少するなかで新たな取締の対象を求める警察や、検察官が起訴したら、何とか有罪にしてあげようとする裁判所にもあると思われる。

私には、「医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為」基準は検察官を勝たせるためのチートに見える。

というわけで、高裁とひらひらに注目である。

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2017/09/28

ガマンの判決

入れ墨の彫り師に対して医師免許がないということで起訴した事件の地裁判決が9月27日にあったようである。

記事

記事

大阪地裁(長瀬敬昭裁判長)は27日、「医療行為に当たる」と判断し、同法違反罪に問われた大阪府内の彫り師、増田太輝被告(29)に対し罰金15万円(求刑・罰金30万円)の有罪判決を言い渡した。

前提知識であるが、医師法には以下の条文がある。

第十七条  医師でなければ、医業をなしてはならない。
第三十一条  次の各号のいずれかに該当する者は、三年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 第十七条の規定に違反した者
とすると、医業って何だ?というのが問題になるのであるが、
医師法は改正をしている割には何が医業かを定義していないのである。

すると解釈することになるが、
通常は、医業とは
医療を業(反復継続)として行う
というように理解できそうである。

で、医療とは、
患者のもつ病的な部分を改善していく治療行為
と解されることが多く、
この定義であれば、病的な部分とか治療とかではない入れ墨は、
医業には含まれないということになりそうである。

ちなみに薬事法は、
第二条 この法律で「医薬品」とは、次に掲げる物をいう。
一 日本薬局方に収められている物
二 人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であつて、機械器具等(機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品並びにプログラム(電子計算機に対する指令であつて、一の結果を得ることができるように組み合わされたものをいう。以下同じ。)及びこれを記録した記録媒体をいう。以下同じ。)でないもの(医薬部外品及び再生医療等製品を除く。)
三 人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であつて、機械器具等でないもの(医薬部外品、化粧品及び再生医療等製品を除く。)
 
というように、疾病の治療、身体の構造又は機能に
影響を及ぼす目的であることが明記されているので
何が医薬品販売かは問題にならない。
(その中には、痩せるとかも含まれるので、安易な広告は厳禁である)。

今回、裁判所は、医業について
かなり捻って、
「医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為」
と判断した。
重大な危害に限定していないこと、おそれで足りることが
この基準の重要な点である。

そして、入れ墨は、角層のバリア機能を損ない、
細菌やウイルス等が侵襲しやすい等の理由で
保険衛生上危害を生ずるおそれのある行為に該当し、
医学的知識が必要であるので、医業に該当するとしたのである。

そもそも、入れ墨は医師が行えば安全なのか?
入れ墨を安全に行う医学的知識ってなんやねん?
という根本的な疑問があるが、それはさておき、
医業を医療行為と切り離して定義した
えらくムリクリな基準であるという印象である。

保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為というのは
世の中にたくさんある。
そのうち、医師が行わなければならないかを
判断することは不可能である。

すると、裁判所の基準に拠れば、
やくざの指つめも女子高生のピアス穴空けも、
コンタクトレンズの装着も
梅雨の季節にびみょーな食事を子供に与えることも、
医業に該当することになりかねない。

裁判所が、
医師法のブラックジャック処罰規定を、
保健衛生関係に関するけしからん行為処罰罪
に読み替えたのは反対である。
もう少し、罪刑法定主義を覚えていて欲しいところである

ちなみに、私が、疑問なのは、
身体に生理的変化をもたらす行為は、
そもそも傷害罪であって、
医師が医療行為として正当に行うものは
正当業務行為(刑法35条)として、
違法性が阻却されると考えられている
こととの整合性である。

第三十五条  法令又は正当な業務による行為は、罰しない。

医師が医療行為として行った相当な行為は、
承諾無い場合であっても違法性が
阻却されるという点がポイントである。

ちなみに一般の場合でも、承諾ある場合は、
同意傷害という、被害者の同意ある場合まで、
処罰できるのかというおじいさんのおじいさんから
論じられてきたが、結論が出ていない、
超有名な論点がある。

すると

原則 傷害(×)

例外1 医療行為として相当(○)→不可罰
(×)

例外2 同意傷害として不可罰か(○)→不可罰
(×)

傷害罪

というダイアグラムが瞬時に頭に浮かぶので、
医師法違反は問題にならんと考えるところである。

本件では、警察・検察はいわゆる同意傷害の論点を避けて、
上で述べたような疑問の多い医師法での
起訴をしたのかもしれない。

入れ墨の隠語で「ガマン」とはよく聞く話であるが、
入れ墨で起訴された被告人の人にとっては、
文字通りガマンの判決を強いられたようである。
ただ、こういう事件で地裁判決が
へんな基準をぶったてるのは、昔からよくあることで、
地裁、高裁併せて1つの審理的な部分があるので、
高裁でどうなるかが注目である。

あと、弁護人の亀石弁護士のシャツのひらひら度合いが、
高裁でどうなるかも注目である。

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2017/09/21

ポイざらす

アメリカトイザらスが民事再生を申請したそうである。

記事

日本のトイザらスではないので、ご注意。

この手の特定の分野に特化した小売業はカテゴリーキラーと呼ばれるが、在庫管理を困難とするペリシャブル(生鮮食料品)を扱わずに(扱うこともあるのだが)、EDLP(要するにいつでも安い)で、超大量アイテムで、郊外の大型店舗に来店させる。

これが、差別化を打ち出した経営戦略ということで一時大きく注目された。

理屈はそうなんであるが、郊外型大型店舗は顧客がこなければどうしようもない。

しかし、超大型店舗まで行って買いたくなるものって結構すくない。
かつて、玩具や赤ちゃん用品はそれに該当するとされて来たが、食品を中心に様々な店舗を展開するスーパーセンターやネットを通じて顧客にリーチする人達に比べて、低価格くらいしか勝負することができない。しかも、キラーなアイテムがなければ終わり、そこそこ低価格の代替物が出てくれば勝負は難しい。

このニュースは、なんとなく、カテゴリーキラー時代の1つの区切りという気がする。

で、このことにキングコング西野氏が記事を書いているようである。

記事

「本業ではない者がズカズカ入ってきたせいで、潰された」というのが連中の意見だ。
アホすぎる。
何を食べたら、ここまでアホに仕上がるのだろう?
今度、一週間の献立表を見せていただきたい。

というあとに、えんえんと、アイドルがM1に出る話をしておられる。
お笑い芸人であっても、本業じゃないからというのは言い分けにならんということを言いたいようである。

えらくまた、挑発的に自分のことに引っ張ってきた話である。

本業ではないものがずかずか入ってきたせいで潰されたという見解は、そもそも、Amazonが本業じゃないから利益無視の販売をしたという前提が誤りなので、それ自体アホであることは否定しないが、トイザらスの破綻にアイドルとM1の話を持ち出しても意味は無いのでそのような話をかぶせる者も似たようなもんである。。

結局のところ、西野氏が、御自身の疑問を解決するためには、自分の一週間の献立表を見さえすればいいということであろう。

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2017/06/01

NHK受信料よどこへいく

短期滞在型マンションのNHK受信料、「入居者側に負担義務」 NHKが逆転勝訴 東京高裁という記事を見た。

記事

短期滞在型のマンションに設置されたテレビのNHK受信料を、入居者か物件オーナーのどちらが支払うかが争われた訴訟の控訴審判決が31日、東京高裁であった。畠山稔裁判長は「テレビの占有者である入居者に支払い義務がある」と認定。「オーナー側に支払い義務がある」とした1審判決を取り消し、NHK側を逆転勝訴とした。

と入居者に支払いを認めたそうである。

じゃあ、ホテルの場合は宿泊客が支払い義務者になるのか?と考えるところであるが、
NHKが東横インを訴えた事案では、

記事

客室にテレビがあるのに受信料を払っていないとして、NHKがビジネスホテルチェーン大手「東横イン」に支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁は29日、請求をほぼ認め、計約19億3千万円の支払いを命じた。NHKによると、受信料訴訟で認められた支払額では過去最高。

と今度は、ホテル側に受信料の支払いを認めた。

とすると、ホテルに長期滞在した場合はどうなるのか、客とホテルから2重取りしていいのか?

とかなんか理解しがたい状況になっている。

NHKは、公共性が高いというのと、受益者負担の原則を両立させるという理由で、放送法で受信契約を強制出来ることが規定されている。これは、他の放送事業者には認められていない特権である。

第六十四条  協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

で、受信設備を設置した者は誰かというのが2つの裁判の話である。

ところで、携帯電話とかにワンセグとかがついていることがあるが、これは、設置に該当するだろうか。

これについて、裁判所の判断は分かれているようである。
記事

これに対して判決は、同法の別の条文では「設置」と「携帯」の用語を区別して使っており、64条で定める「設置」に、電話の「携帯」の意味を含めるのは「無理がある」と退けた。

記事

男性は、「携帯電話は一定の場所に置いておらず、設置ではない」としてテレビとの違いを訴えたが、判決は、受信可能な設備が使用できる状態にあれば、「設置」に当たると判断した。

設置と携帯を混同する裁判官のセンスは理解出来ないところである。

じゃあ、受信設備じゃないようにしちゃえというのが流れで、機械的にNHKを見れないようにした場合は、それでも受信装置の設置に該当するかについて、当初、NHKは契約を要するという見解を出しており、裁判にもなっているようである。

記事

キャンセラーは取り外し可能なので、契約締結義務があると判断した判決もあるようである。

他方、取り外し出来ない状態にした場合には、契約締結義務は無いと判断した判決もあるようである。

NHKを巡る裁判例は多々ある。

ただ、そもそもこの問題の根幹は、見もしないNHKについて、テレビが見れるというだけで、みかじめ料を支払わなければならないという不公平感である。

NHKの特権にぶら下がって人からは、とんでもない話と怒られそうであるが、強制契約制度に存続価値は無い。

もともとは、NHKの公共性と電波の有限を理由とした制度であるが、昨今の状況を見るとNHKの中立性と言われても失笑しかないし、受益者負担なのであればWOWWOWみたいにスクランブルかけてペイチャンネルにしたらいい話である、デジタル放送時代の今日に受益者負担とか電波の有限性とかで契約強制と言われてもなんのこっちゃである。

現在、最高裁でNHK受信料制度について判断されるそうである。

記事

 NHKの受信料契約を拒否した男性に、NHKが受信料の支払いを求めた訴訟について、最高裁は2日、15人の裁判官全員による大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)で審理することを決めた。「受信設備を設置したらNHKと受信契約を結ばなければならない」と定めた放送法の規定が憲法に違反しないかなど、受信料制度について最高裁が初の判断を示すとみられる。

最高裁には、納得のいく、本質的な、考え方を示して欲しいところである。
頭文字とってNHKなーんちゃって。

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2017/05/22

Yes!最高裁

記事

美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長は19日、民進党の大西健介議員が衆院厚生労働委員会での発言で同クリニックの名誉を毀損したとして、大西議員に加え同党と党代表としての蓮舫氏、国に対し、1千万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求める訴えを東京地裁に提起した。

訴状によると、大西議員が17日の厚労委で、エステ店が系列の美容外科に顧客を引き渡すビジネスが誇大広告で集客している実態について質問。その中で、「陳腐な」テレビCMを流しているとして、「皆さんよくご存じのイエス○○クリニックみたいに」と発言した。同クリニックは「悪徳美容外科であるかのような誤解を受け」、「この発言で社会的評価を低下させられる可能性が生じた」と主張している。

だそうである。

そもそも私が確認した範囲で言えば、クリニックの名誉毀損はないと思われるので、まわしに手が届いていない可能性がある。

仮に届いたして、次に問題になるのは、国会議員の免責を認めた憲法51条である。

第五十一条  両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

というわけで、訴訟を提起しても請求が認められる可能性は乏しい。

これまで、憲法51条があるので、国会議員ではなく、国家賠償請求訴訟で国に賠償を求める訴訟はあったのであるが、これですら、最高裁平成9年9月9日判決では、

国会議員が国会の質疑、演説、討論等の中でした個別の国民の名誉又は信用を低下させる発言につき、国の損害賠償責任が肯定されるためには、当該国会議員が、その職務とはかかわりなく違法又は不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽である ことを知りながらあえてその事実を摘示するなど、国会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情があることを必要とする。       

という旨の判決がある。

国賠でもかなりのハードルがあるのだから、個人の責任なんかムリムリというのが、私の弁護士としての感覚である。

しかし、原告代理人の先生は、なにかと著名なお方のようなので、私のような者には知り得ないお考えをお持ちなのであろう。

ちなみに、高須先生と思われるツイッターでは、

と記述されていた。

これも、きっと、私のような弁護士では探せない、特殊な最高裁判決を見つけることのできる勉強法があるのであろう。

そんな点も含め、今後も訴訟に注目。。。。していない。

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2017/05/19

式辞に歌詞引用、著作権料?

昨年ノーベル文学賞を受賞した米歌手ボブ・ディランさんの歌の一節を、京都大の山極寿一総長が取りあげた4月の入学式の式辞について、日本音楽著作権協会(JASRAC)がウェブ上に掲載した分の使用料を京大に請求していることが18日、関係者への取材で分かった。

そうである。
記事

 京都新聞の取材に対しJASRACは「一般論として、ウェブ上にある音楽著作物には利用手続きが必要となる」と説明。商用目的でなくても、歌詞を印刷できる仕様でウェブ上に掲載すると、1回の閲覧につき数十円が必要になる場合があるという。

だれも一般論なんか聞いてない。知りたいのは、式辞で歌詞の一部を引用したら金をはらわにゃならんかであり、JASRACが請求できると思っているのかである。

まず、式辞で引用すると金を払わないといけないかであるが、口述権の問題になりそうである。

第二十四条  著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有する。

この場合、一般には無償で行った口述に該当しよう。

第三十八条  公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をい う。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述につ いて実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。

ただ、JASRACは最近、音楽教室で生徒が演奏した楽曲について、生徒が演奏して、生徒が聴衆で、公衆というトンデモ解釈をぶったてたので、ここでも、営利目的だとか言いだすかも知れない。

ただ、今回のように式辞をネットで公開する場合は、非営利であることを理由に、権利侵害が否定されることは無い。

著作権法は、教科書とか授業を理由とする権利制限規定がある程度あるのであるが、式辞は対象外である。そして、著作権法は出来が悪いので一般的な権利制限規定がない。

とすると、あるもので考えないといけないが、いちばん問題になるのは引用であろう。

第三十二条  公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、 調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表 示がある場合は、この限りでない。

第四十八条  次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。

 第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項、第三十七条第一項、第四十二条又は第四十七条の規定により著作物を複製する場合

この引用というのが、くせ者で、「公正な慣行」「正当な範囲内」というのが、まったく不明確なのである。

一般的には、
①引用する必然性があること。
②自分の著作物が主であり、引用が従であること。
③引用部分が区別されていること。
(その他、48条を「公正のな慣行」「正当な範囲内」の要件に組み込む人は、出所を明示すること)

ということが言われているが、絶対にこの要件を満たせばOKというわけではないし、これらの要件も結構抽象的だったりする。しかも、近時、トンデモ知財解釈を繰り返す刑事裁判所がどう考えるかは不明である。
で、これらの要件を満たさない場合は、損害賠償だけでなく、10年以下の懲役、1000万円以下の罰金だったりする。

式辞はまだ公開されてるようである。
私は、引用の適用があると思うのであるが、このリンク設定が著作権侵害だとかで、どこぞのお巡りさんからタイーホはこまるので、リンク設定はやめておくことにした。

せっかく京都大学なのであるから、京大OBの弁護士が弁護団組んで、債務不存在訴訟提起してはどうか?

私?大阪大学出身です。

(ただし費用頂ければ別)

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