壇弁護士の事務室について

「壇弁護士の事務室」は、大阪弁護士会所属の弁護士壇俊光が、第一線の現場にいる弁護士の目から、感じることを日々書きつづっています。

 

 

所属会等

2000年 大阪弁護士会登録 北尻総合法律事務所 所属

連絡先

info@dan-law.jp (半角に直してください)

TEL 06-6364-0181

但し、メールや電話による法律相談等は顧問会社に限らせていただいております。

顧問契約に関しては上記までご連絡ください。

 

事務所住所 

〒530-0047

大阪市北区西天満6丁目7番4号大阪弁護士ビル501号室

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営業時間
 

平日(月曜日~金曜日) 10:00~17:00(要予約)
ご予約いただいた場合については、土日祝を含む営業時間外のご対応もいたしております。

 
取り扱い分野

IT(電子商取引、ネットワーク、発信者情報開示請求、ソフトウェア、その他)

知的財産(特許、著作権、商標、その他)

医療過誤

一般民事(契約書作成、貸金、交通事故、不動産取引、借地借家、土地明渡し、その他)

倒産事件(任意整理、破産、民事再生、その他)

企業法務一般(商取引、債権管理、独占禁止法、株主総会指導、セキュリティ等)

家事(離婚・相続など)

刑事事件(捜査弁護、公判弁護、告訴・告発)。

企業コンプライアンス

経営診断

 
資格等

弁護士

中小企業診断士

情報セキュリティスペシャリスト

基本情報技術者

応用情報技術者

プロジェクトマネージャー

ISMS審査員補(ISJ-C06773)

プライバシーマーク審査員補

 

主な参加事件

Winny事件弁護団 事務局長

YahooBB!個人情報漏えい被害者弁護団

ダスキン大肉まん事件株主代表訴訟

ドロップシッピング被害者弁護団

近未來通信被害者弁護団

 

著書 論文等

「最新著作権関係判例と実務」知的所有権問題研究会編 民事法研究会

「プロバイダ責任制限法における発信者情報開示の実務的な問題」情報ネットワークローレビュー第6巻87頁

 

所属委員会等

日本弁護士連合会コンピュータ委員会等

近時の講演・講師テーマ

「Winny事件の弁護活動」

「インターネット消費者保護~基礎編」

「インターネット上での誹謗中傷対策」

「発信者情報開示手続きの基本」

「企業における個人情報保護とセキュリティ対策」

「海外における商標冒用事件」

「RCCを用いた企業再生スキームについて」

「インターネットの著作権問題」

「クラウドの著作権問題」

「E-コマース法制」

「電子商取引 基礎編」

「ネットビジネスの注意点」

「下請法解説」

「中小企業の法律問題」

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2017/06/01

NHK受信料よどこへいく

短期滞在型マンションのNHK受信料、「入居者側に負担義務」 NHKが逆転勝訴 東京高裁という記事を見た。

記事

短期滞在型のマンションに設置されたテレビのNHK受信料を、入居者か物件オーナーのどちらが支払うかが争われた訴訟の控訴審判決が31日、東京高裁であった。畠山稔裁判長は「テレビの占有者である入居者に支払い義務がある」と認定。「オーナー側に支払い義務がある」とした1審判決を取り消し、NHK側を逆転勝訴とした。

と入居者に支払いを認めたそうである。

じゃあ、ホテルの場合は宿泊客が支払い義務者になるのか?と考えるところであるが、
NHKが東横インを訴えた事案では、

記事

客室にテレビがあるのに受信料を払っていないとして、NHKがビジネスホテルチェーン大手「東横イン」に支払いを求めた訴訟の判決で、東京地裁は29日、請求をほぼ認め、計約19億3千万円の支払いを命じた。NHKによると、受信料訴訟で認められた支払額では過去最高。

と今度は、ホテル側に受信料の支払いを認めた。

とすると、ホテルに長期滞在した場合はどうなるのか、客とホテルから2重取りしていいのか?

とかなんか理解しがたい状況になっている。

NHKは、公共性が高いというのと、受益者負担の原則を両立させるという理由で、放送法で受信契約を強制出来ることが規定されている。これは、他の放送事業者には認められていない特権である。

第六十四条  協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない。ただし、放送の受信を目的としない受信設備又はラジオ放送(音声その他の音響を送る放送であつて、テレビジョン放送及び多重放送に該当しないものをいう。第百二十六条第一項において同じ。)若しくは多重放送に限り受信することのできる受信設備のみを設置した者については、この限りでない。

で、受信設備を設置した者は誰かというのが2つの裁判の話である。

ところで、携帯電話とかにワンセグとかがついていることがあるが、これは、設置に該当するだろうか。

これについて、裁判所の判断は分かれているようである。
記事

これに対して判決は、同法の別の条文では「設置」と「携帯」の用語を区別して使っており、64条で定める「設置」に、電話の「携帯」の意味を含めるのは「無理がある」と退けた。

記事

男性は、「携帯電話は一定の場所に置いておらず、設置ではない」としてテレビとの違いを訴えたが、判決は、受信可能な設備が使用できる状態にあれば、「設置」に当たると判断した。

設置と携帯を混同する裁判官のセンスは理解出来ないところである。

じゃあ、受信設備じゃないようにしちゃえというのが流れで、機械的にNHKを見れないようにした場合は、それでも受信装置の設置に該当するかについて、当初、NHKは契約を要するという見解を出しており、裁判にもなっているようである。

記事

キャンセラーは取り外し可能なので、契約締結義務があると判断した判決もあるようである。

他方、取り外し出来ない状態にした場合には、契約締結義務は無いと判断した判決もあるようである。

NHKを巡る裁判例は多々ある。

ただ、そもそもこの問題の根幹は、見もしないNHKについて、テレビが見れるというだけで、みかじめ料を支払わなければならないという不公平感である。

NHKの特権にぶら下がって人からは、とんでもない話と怒られそうであるが、強制契約制度に存続価値は無い。

もともとは、NHKの公共性と電波の有限を理由とした制度であるが、昨今の状況を見るとNHKの中立性と言われても失笑しかないし、受益者負担なのであればWOWWOWみたいにスクランブルかけてペイチャンネルにしたらいい話である、デジタル放送時代の今日に受益者負担とか電波の有限性とかで契約強制と言われてもなんのこっちゃである。

現在、最高裁でNHK受信料制度について判断されるそうである。

記事

 NHKの受信料契約を拒否した男性に、NHKが受信料の支払いを求めた訴訟について、最高裁は2日、15人の裁判官全員による大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)で審理することを決めた。「受信設備を設置したらNHKと受信契約を結ばなければならない」と定めた放送法の規定が憲法に違反しないかなど、受信料制度について最高裁が初の判断を示すとみられる。

最高裁には、納得のいく、本質的な、考え方を示して欲しいところである。
頭文字とってNHKなーんちゃって。

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2017/05/22

Yes!最高裁

記事

美容外科「高須クリニック」の高須克弥院長は19日、民進党の大西健介議員が衆院厚生労働委員会での発言で同クリニックの名誉を毀損したとして、大西議員に加え同党と党代表としての蓮舫氏、国に対し、1千万円の損害賠償と謝罪広告の掲載を求める訴えを東京地裁に提起した。

訴状によると、大西議員が17日の厚労委で、エステ店が系列の美容外科に顧客を引き渡すビジネスが誇大広告で集客している実態について質問。その中で、「陳腐な」テレビCMを流しているとして、「皆さんよくご存じのイエス○○クリニックみたいに」と発言した。同クリニックは「悪徳美容外科であるかのような誤解を受け」、「この発言で社会的評価を低下させられる可能性が生じた」と主張している。

だそうである。

そもそも私が確認した範囲で言えば、クリニックの名誉毀損はないと思われるので、まわしに手が届いていない可能性がある。

仮に届いたして、次に問題になるのは、国会議員の免責を認めた憲法51条である。

第五十一条  両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

というわけで、訴訟を提起しても請求が認められる可能性は乏しい。

これまで、憲法51条があるので、国会議員ではなく、国家賠償請求訴訟で国に賠償を求める訴訟はあったのであるが、これですら、最高裁平成9年9月9日判決では、

国会議員が国会の質疑、演説、討論等の中でした個別の国民の名誉又は信用を低下させる発言につき、国の損害賠償責任が肯定されるためには、当該国会議員が、その職務とはかかわりなく違法又は不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽である ことを知りながらあえてその事実を摘示するなど、国会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情があることを必要とする。       

という旨の判決がある。

国賠でもかなりのハードルがあるのだから、個人の責任なんかムリムリというのが、私の弁護士としての感覚である。

しかし、原告代理人の先生は、なにかと著名なお方のようなので、私のような者には知り得ないお考えをお持ちなのであろう。

ちなみに、高須先生と思われるツイッターでは、

と記述されていた。

これも、きっと、私のような弁護士では探せない、特殊な最高裁判決を見つけることのできる勉強法があるのであろう。

そんな点も含め、今後も訴訟に注目。。。。していない。

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2017/05/19

式辞に歌詞引用、著作権料?

昨年ノーベル文学賞を受賞した米歌手ボブ・ディランさんの歌の一節を、京都大の山極寿一総長が取りあげた4月の入学式の式辞について、日本音楽著作権協会(JASRAC)がウェブ上に掲載した分の使用料を京大に請求していることが18日、関係者への取材で分かった。

そうである。
記事

 京都新聞の取材に対しJASRACは「一般論として、ウェブ上にある音楽著作物には利用手続きが必要となる」と説明。商用目的でなくても、歌詞を印刷できる仕様でウェブ上に掲載すると、1回の閲覧につき数十円が必要になる場合があるという。

だれも一般論なんか聞いてない。知りたいのは、式辞で歌詞の一部を引用したら金をはらわにゃならんかであり、JASRACが請求できると思っているのかである。

まず、式辞で引用すると金を払わないといけないかであるが、口述権の問題になりそうである。

第二十四条  著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有する。

この場合、一般には無償で行った口述に該当しよう。

第三十八条  公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をい う。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述につ いて実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。

ただ、JASRACは最近、音楽教室で生徒が演奏した楽曲について、生徒が演奏して、生徒が聴衆で、公衆というトンデモ解釈をぶったてたので、ここでも、営利目的だとか言いだすかも知れない。

ただ、今回のように式辞をネットで公開する場合は、非営利であることを理由に、権利侵害が否定されることは無い。

著作権法は、教科書とか授業を理由とする権利制限規定がある程度あるのであるが、式辞は対象外である。そして、著作権法は出来が悪いので一般的な権利制限規定がない。

とすると、あるもので考えないといけないが、いちばん問題になるのは引用であろう。

第三十二条  公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
 国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、 調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表 示がある場合は、この限りでない。

第四十八条  次の各号に掲げる場合には、当該各号に規定する著作物の出所を、その複製又は利用の態様に応じ合理的と認められる方法及び程度により、明示しなければならない。

 第三十二条、第三十三条第一項(同条第四項において準用する場合を含む。)、第三十三条の二第一項、第三十七条第一項、第四十二条又は第四十七条の規定により著作物を複製する場合

この引用というのが、くせ者で、「公正な慣行」「正当な範囲内」というのが、まったく不明確なのである。

一般的には、
①引用する必然性があること。
②自分の著作物が主であり、引用が従であること。
③引用部分が区別されていること。
(その他、48条を「公正のな慣行」「正当な範囲内」の要件に組み込む人は、出所を明示すること)

ということが言われているが、絶対にこの要件を満たせばOKというわけではないし、これらの要件も結構抽象的だったりする。しかも、近時、トンデモ知財解釈を繰り返す刑事裁判所がどう考えるかは不明である。
で、これらの要件を満たさない場合は、損害賠償だけでなく、10年以下の懲役、1000万円以下の罰金だったりする。

式辞はまだ公開されてるようである。
私は、引用の適用があると思うのであるが、このリンク設定が著作権侵害だとかで、どこぞのお巡りさんからタイーホはこまるので、リンク設定はやめておくことにした。

せっかく京都大学なのであるから、京大OBの弁護士が弁護団組んで、債務不存在訴訟提起してはどうか?

私?大阪大学出身です。

(ただし費用頂ければ別)

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2017/05/10

共謀罪の共謀

共謀罪の成立を巡って、いろいろあるようである。

記事

 「共謀罪」の趣旨を含む組織的犯罪処罰法の改正案をめぐり、金田勝年法相は8日の衆院予算委員会で、「一般人は刑事告発をされても捜査の対象にならない」との見解を示した。「一般人は捜査の対象外」と強調する政府見解に合わせるあまり、捜査実務と矛盾した答弁を続ける金田氏に野党側は、「法務大臣の任にふさわしくない」と批判を強めている。

世の中に一般人という人はいない、だから捜査の対象にならないという趣旨であれば、間違ってはいない。

警察から捜査されない人を一般人と言うのだというのであれば、かなり強引な話ではあるが矛盾はしていない。

しかし、普通に生きていれば、捜査の対象にならないという趣旨であればそれは大嘘である。

今回の共謀罪は、組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律の改正によるものである。

で、この組織犯罪処罰法は、そもそも、暴力団・テロ組織などの反社会的団体や、会社・政治団体・宗教団体などに擬装した団体による組織的な犯罪に対応することを目的としたものであるが、条文はそうなっておらず、一般の人までが捜査の対象になるものであった。

第二条  この法律において「団体」とは、共同の目的を有する多数人の継続的結合体であって、その目的又は意思を実現する行為の全部又は一部が組織(指揮命令に基づき、あらかじめ定められた任務の分担に従って構成員が一体として行動する人の結合体をいう。以下同じ。)により反復して行われるものをいう。

そして、京都府警を中心に拡大運用が行われ、現在では一般の会社に対して、組織犯罪処罰法でガサをするようになっている。

裁判所は、ノーチェックである。

共謀罪は、ウイルス作成罪などと一緒に法案提出されていたが、2011年の通常国会に、共謀罪の部分を削除されたという経緯がある。

そして、共謀罪と同様に処罰の範囲が不明確と言われていたウイルス作成罪は、現在、京都府警を中心に恣意的な運用が行われ、今では、お巡りさんがけしからんと思うソフトウェア処罰罪となっている。

裁判所はノーチェックである。

この国の刑事司法は、一般の人が思っているよりもずっとアンフェアに溢れている。

今年になって木村公也元警部が、NECに就職したという記事を見た。
記事

この方、Winny事件の捜査を指揮し、高等裁判所から金子氏に違法な取調をしたと認定されたお方である。

未だに金子氏に対する謝罪の言葉は無い。

お巡りさんが、理不尽な事件でプログラマから人生の貴重な数年間を奪っても、P2Pという技術を日本から奪い去っても、目立ちさえすれば、ノンキャリ憧れの出世・天下りというのであれば、この国の刑事司法は中世のままである。

共謀罪は、大臣のデタラメな答弁とは裏腹に、出世欲に心を引かれた方々によって、お巡りさんがけしからんと思ってる人々処罰罪として運用されることは間違いない。

そして、裁判所は、ノーチェックである。

だから反対なのである。

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2017/04/13

「無添加、イカサマくさい」と書き込んだ人物の情報開示、認められず 無添くら寿司運営会社が敗訴

「全ての食材において、化学調味料・人工甘味料・合成着色料・人工保存料を一切使用していません。」をセールスポイントにしているくら寿司であるが、「無添加、イカサマくさい」という書き込みに対する発信者情報開示請求訴訟で敗訴したという報道があった。

記事

(1)書き込みはくら社の表示に対する問題提起であり、公益に関わる内容だ
(2)くら社は4大添加物(化学調味料・人工甘味料・合成着色料・人工保存料)以外の添加物の使用の有無はホームページなどで表示しておらず、書き込みは重要な部分で真実だ
-などと認定

とまで言われてるので、結構ボロ負けである。
この手の訴訟は、負けたら、何もしないときよりも、大損害になるので、ダメ元の思い出作り訴訟はオススメ出来ない。

この種の訴訟は、サイバー法の知識はもちろんのこと、名誉毀損の知識・ノウハウが求められる。しかし、この点の知識に欠ける弁護士が多いのが実情である。

この手の事件をするときは、いつもの顧問弁護士以外に、セカンドオピニオンを得ておくことが必要と思うところである。

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2017/02/03

公衆とJASRAC

ジャスラックが音楽教室から使用料を徴収する方針を決めたという記事を見た。

記事

楽曲の著作権を管理しているJASRAC=日本音楽著作権協会が、来年以降、楽器の演奏を教える音楽教室から使用料を徴収する方針を決めました。対象となる教室は9000か所におよび、通知を受けた事業者は「教室での利用は使用料が発生するケースには当たらない」などと反発しています。

私的録音録画補償金制度がなくなったので、新たな寺銭獲得に燃えているのであろうか?かつて、雨が降るのもインターネットのせい的な態度だったジャスラックの方針転換なんだろうか?

記事を見る限り、そりゃ反発するわな。である。

相手も、早速、業界団体を作って反対活動のようである。

記事

日本音楽著作権協会(JASRAC)がピアノなどの音楽教室での楽曲演奏について著作権料を徴収する方針を固めたことに対し、音楽教室を運営するヤマハ音楽振興会や河合楽器製作所など7団体は、徴収に反対する連絡会「音楽教育を守る会」を設立したと3日、発表した。

まぁ、業界同士の活動はともかく、法律面はややこしい。

まず、音楽教室は、音楽を演奏することになるので、演奏権が問題となる。

第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 実演 著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。

十六  上演 演奏(歌唱を含む。以下同じ。)以外の方法により著作物を演ずることをいう。

第二十二条  著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。

で、演奏権は、公衆に直接見せ又はきかせることを目的として行わなければ、著作権侵害にはならない。

じゃあ、公園とかで演奏するのは公衆がいるので著作権侵害かというとこれも規定があって無償なら著作権侵害にならない。

第三十八条  公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。
というわけで、本件は、営利か営利でないかということと、教室での演奏が公衆になるかが問題になる。

営利性については、生徒が営利性を持つことはまず無いので、教室側が演奏しなければならないというのが原則である。とすると、先生が演奏してなければ絶対大丈夫となりそうだがそうはいかない。
著作権の世界では悪名高いカラオケ法理というのがあり、他人の行為であっても一定の場合に自分の行為と見なすことで無理矢理著作権侵害にしてしまう裁判例がある。最初はカラオケスナックの話だったのであるが、インターネットと著作権の事案でガンガン拡大してしまっているのである。

これをつかって、生徒の演奏であっても教室の演奏だとJASRACは判断したのかもしれない。

次に公衆とは、法律の世界では、不特定かつ多数人と考えられているが、著作権法では、特定かつ多数人も含む。

第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 この法律にいう「公衆」には、特定かつ多数の者を含むものとする。

とすると、音楽教室のレッスンは、多数でないから公衆に対するものではないかということになりそうである。。。。と簡単にならないのが、日本の裁判所である。

これまたインターネットの公衆送信権を巡る裁判例で、???な公衆の判断がなされているのである。

myta事件

本件サービスは,前記1(1)認定のとおり,インターネット接続環境を有するパソコンと携帯電話(ただし,当面は au WIN端末のみ)を有するユーザが所定の会員登録を済ませれば,誰でも利用することができるものであり,原告がインターネットで会員登録をするユーザを予め選別したり,選択したりすることはない。「公衆」とは,不特定の者又は特定多数の者をいうものであるところ(著作権法2条5項参照),ユーザは,その意味において,本件サーバを設置する原告にとって不特定の者というべきである。

まねきTV事件

そして,何人も,被上告人との関係等を問題にされることなく,被上告人と本件サービスを利用する契約を締結することにより同サービスを利用することができるのであって,送信の主体である被上告人からみて,本件サービスの利用者は不特定の者として公衆に当たるから

これらの判決をうがって見れば、厳格な入会審査でもしないかぎり、通常の契約者はすべからく不特定の者に該当して公衆の要件を充たすかのような記述である。

とすると、JASRACは、これらの法理を用いて生徒の演奏は教室の演奏であるとして、生徒を不特定の者と判断したのかもしれない。

上記の判決が出たとき、「公衆」の判断がかなり問題と言っていたのだが、期待を裏切らないのがJASRACである。

ちなみに

使用料は、使った楽曲の数や回数にかかわらず使用料を支払う「包括契約」の場合、受講料収入の2.5%を提案しています。

らしい。利用料というのであれば、演奏した曲毎に徴収するのが本来であるが、そうはしていない。

JASRACは、包括許諾契約が独占禁止法に違反すると言われたばかりであるが、懲りずに、みかじめ料よこせのようである。

相変わらずのJASRACクオリティ。。。訴訟必須であろうので、今後も注目である。

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2017/02/01

Google検索結果削除事件 最高裁決定

グーグルの検索結果について削除請求を求めている事件であるが、その1つについて削除を認めない決定が出たようである。

記事

インターネット検索サイト「グーグル」で名前などを入力すると、逮捕歴に関する報道内容が表示されるのはプライバシーの侵害だとして、男性が検索サービス 大手の米グーグルに検索結果の削除を求めた仮処分申し立ての抗告審で、最高裁第3小法廷(岡部喜代子裁判長)は1日までに、「男性の逮捕歴は公共の利害に 関する」として削除を認めない決定をした。決定は1月31日付で、裁判官5人全員一致の意見。

最高裁は、グーグル側が従前から主張していた、自分達は表現者ではなく、他人の表現を媒介している「媒介者」に過ぎないから責任を負わないという、いわゆる媒介者理論に対しては、検索事業者であっても自らの表現行為という側面を有すると指摘している。同じくグーグルがよく主張する検索結果の削除は「何らかの理由でリンク先サイトに削除請求できない場合に限定される」という補充性の要件についてもこれを必要としておらず、不要説を採ったようである。

その上で、最高裁は、「検索事業者の表現の自由と比較して、プライバシーが優越することが明らかな場合には、検索結果の削除を求めることができる」という基準を示している。

これは、概ね、逆転事件の枠組みを維持したものといえる。

逆転事件

ある者の前科等にかかわる事実が著作物で実名を使用して公表された場合に、その者のその後の生活状況、当該刑事事件それ自体の歴史的又は社会的な意義その者の事件における当事者としての重要性、その者の社会的活動及びその影響力について、その著作物の目的、性格等に照らした実名使用の意義及び必要性を併せて判断し、右の前科等にかかわる事実を公表されない法的利益がこれを公表する理由に優越するときは、右の者は、その公表によって被った精神的苦痛の賠償を求めることができる。

個人的には、
最高裁の「明らか」というのは、独立の要件なのか?
どの程度「明らか」であれば「明らか」なのか?
特に削除義務違反に基づく損害賠償では、明らかであることをどの程度認識していれば故意・過失になるのか?

というわけで、損害賠償はともかく、削除について、こんなややこしい文言要らんのではないか?という疑問がある。

ちなみに、この事件、地裁が「忘れられる権利」を口にしたおかげで、「忘れられる権利」を理解していないメディアから変な質問が連発で閉口した事件である。
この点最高裁は全く言及していない。忘れられる権利は、既に、忘れ去られた権利だったようである。

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ペナルティイレブン

セブンイレブンの加盟店が病欠のバイトから罰金をとっていたという記事をみた。

記事

 セブン&アイ・ホールディングスによると今月26日、東京・武蔵野市の加盟店でアルバイトとして働いていた16歳の女子高校生が風邪で2日間欠勤したとして9350円の罰金をとっていたという。

で、この手の罰金であるが、実際に生じた損害を填補するものであればともかくそうでないことが多い。

損害額をあらかじめ決めておく損害賠償を予定する契約や、損害が生じなくてもペナルティとして払わせる違約金は労働契約としては無効なので、労働契約に記載していても、就業規則に書いていても無効である。

第十六条  使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。

最大大手コンビニの加盟店が、そんな基本的な知識もないとは驚いた。

さすがに、フランチャイザーのセブン&アイ・ホールディングスは労働基準法違反に当たると判断して店に返金を指示したようである。

セブン&アイホールディングス、けっこう愛が不足していたというオチである。

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2017/01/30

PPAPがTTSTでKKDK

最近PPAPが、某お方に商標出願されているというニュースを見た。

記事

日本唯一のトレードマークスクワッターと評されることもあるお方のコメントが載っていたが、

上田育弘氏はメディアの直撃取材に対して、「あくまで権利は自分にあるのでピコ太郎が許可なくPPAPを歌うと損害賠償請求の対象になる」と強気の姿勢を崩さない。

がえらく気になった。これが本人の発言としたら明らかにデタラメだからである。

まず、あるお方が商標出願するのは個人の自由であるが100%登録できない。

第四条  次に掲げる商標については、前条の規定にかかわらず、商標登録を受けることができない。
 他人の業務に係る商品若しくは役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標又はこれに類似する商標であつて、その商品若しくは役務又はこれらに類似する商品若しくは役務について使用をするもの
十五  他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標(第十号から前号までに掲げるものを除く。)

他人が使っていて広く認識されている商標は、登録できないし、それと誤認混同ある商標も登録できない。

仮に、特許庁が勘違いして登録しても、無効審判で無効にされるし、無効審判の有無にかかわらず権利行使できない。

    商標法

(商標登録の無効の審判)
第四十六条  商標登録が次の各号のいずれかに該当するときは、その商標登録を無効にすることについて審判を請求することができる。この場合において、商標登録に係る指定商品又は指定役務が二以上のものについては、指定商品又は指定役務ごとに請求することができる。
一  その商標登録が第三条、第四条第一項、第七条の二第一項、第八条第一項、第二項若しくは第五項、第五十一条第二項(第五十二条の二第二項において準用する場合を含む。)、第五十三条第二項又は第七十七条第三項において準用する特許法第二十五条 の規定に違反してされたとき。

    (特許法 の準用)
第三十九条  特許法第百三条 (過失の推定)、第百四条の二(具体的態様の明示義務)、第百四条の三第一項及び第二項(特許権者等の権利行使の制限)、第百五条から第百五条の六まで (書類の提出等、損害計算のための鑑定、相当な損害額の認定、秘密保持命令、秘密保持命令の取消し及び訴訟記録の閲覧等の請求の通知等)並びに第百六条 (信用回復の措置)の規定は、商標権又は専用使用権の侵害に準用する。

特許法
(特許権者等の権利行使の制限)    
第百四条の三  特許権又は専用実施権の侵害に係る訴訟において、当該特許が特許無効審判により又は当該特許権の存続期間の延長登録が延長登録無効審判により無効にされるべきものと認められるときは、特許権者又は専用実施権者は、相手方に対しその権利を行使することができない。

というわけで、PPAPに関しては、著名な他人の商標登録(TTST)なので、権利行使はできないのが基本(KKDK)ということである。


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2017/01/23

ケース・スタディ ネット権利侵害対応の実務 -発信者情報開示請求と削除請求-

発信者情報開示請求をしている弁護士をパカ弁と言うらしい。

私は、法律が施行された直後からやっているのだが、パカ弁には入っていないらしい。

パカ弁のうち、もっとも著名な3名、清水陽平先生、神田知宏先生、中澤佑一先生は、3人あわせて三パカトリオとも呼ばれる。決して三バカトリオではない。

その三パカトリオが書いた

ケース・スタディ ネット権利侵害対応の実務-発信者情報開示請求と削除請求-

俗称「三パカ本」が出版されたようである。

1部頂いた。

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献本に小ネタを仕込んでくる姿勢が実にすばらしい。

チラシも入っていた。

3paka

というわけで、買ってから質問しろ!

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