壇弁護士の事務室について

「壇弁護士の事務室」は、大阪弁護士会所属の弁護士壇俊光が、第一線の現場にいる弁護士の目から、感じることを日々書きつづっています。

 

 

所属会等

2000年 大阪弁護士会登録 北尻総合法律事務所 所属

連絡先

info@dan-law.jp (半角に直してください)

TEL 06-6364-0181

但し、メールや電話による法律相談等は顧問会社に限らせていただいております。

顧問契約に関しては上記までご連絡ください。

 

事務所住所 

〒530-0047

大阪市北区西天満6丁目7番4号大阪弁護士ビル501号室

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営業時間
 

平日(月曜日~金曜日) 10:00~17:00(要予約)
ご予約いただいた場合については、土日祝を含む営業時間外のご対応もいたしております。

 
取り扱い分野

IT(電子商取引、ネットワーク、発信者情報開示請求、ソフトウェア、その他)

知的財産(特許、著作権、商標、その他)

医療過誤

一般民事(契約書作成、貸金、交通事故、不動産取引、借地借家、土地明渡し、その他)

倒産事件(任意整理、破産、民事再生、その他)

企業法務一般(商取引、債権管理、独占禁止法、株主総会指導、セキュリティ等)

家事(離婚・相続など)

刑事事件(捜査弁護、公判弁護、告訴・告発)。

企業コンプライアンス

経営診断

 
資格等

弁護士

中小企業診断士

情報セキュリティスペシャリスト

基本情報技術者

応用情報技術者

プロジェクトマネージャー

ISMS審査員補(ISJ-C06773)

プライバシーマーク審査員補

 

主な参加事件

Winny事件弁護団 事務局長

YahooBB!個人情報漏えい被害者弁護団

ダスキン大肉まん事件株主代表訴訟

ドロップシッピング被害者弁護団

近未來通信被害者弁護団

 

著書 論文等

「最新著作権関係判例と実務」知的所有権問題研究会編 民事法研究会

「プロバイダ責任制限法における発信者情報開示の実務的な問題」情報ネットワークローレビュー第6巻87頁

 

所属委員会等

日本弁護士連合会コンピュータ委員会等

近時の講演・講師テーマ

「Winny事件の弁護活動」

「インターネット消費者保護~基礎編」

「インターネット上での誹謗中傷対策」

「発信者情報開示手続きの基本」

「企業における個人情報保護とセキュリティ対策」

「海外における商標冒用事件」

「RCCを用いた企業再生スキームについて」

「インターネットの著作権問題」

「クラウドの著作権問題」

「E-コマース法制」

「電子商取引 基礎編」

「ネットビジネスの注意点」

「下請法解説」

「中小企業の法律問題」

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2018/09/01

第20回WILL

今年も、WILLの季節がやってきた。
 
WILLとは「少年犯罪被害当事者の会」が犯罪被害者に関わる問題について話し合う集会である。
 
もう、20回である。
今年は、学生スタッフと遺族がこれまでを振り返るらしい。
 
学生スタッフといっても、かつての学生ボランティアが、今はええオッサンになっていたり、自分がどうしようもなくオッサンになったことを痛感させられるところである。
 
第1回は私が司法試験に受かる前である。
少年の更生と被害者や遺族の権利のバランスは、20年どころでは結論づけれない難しいテーマである。
 
法曹には、加害者の少年の更生だけ考えれば良いで、被害者の立場に考えが及ばない子供の国の住人が未だに多い。
そういう人こそ、遺族の生の声を聞くことが重要である。
 
興味を持った方は少しの時間でも足を運んでいただきたい。
Will20
出 演 者   遺 族 
              学 生 ス タ ッ フ 
★と  き              2018 年 10 月 7 日日曜日午後1時から
★場  所             クレオ大阪西  子ども文化センター
大阪市此花区西九条 6-1-20   
                      TEL  06-6460-7800
★交  通            JR環状線・阪神なんば線
    「西九条」駅から徒歩約 5 分
★主  催              少年犯罪被害当事者の会   
★後  援            大阪府・大阪市
★資料代            500 円
★定  員            300 名(先着順)
★問い合わせ      少年犯罪被害当事者の会事務局
代表  武  るり子    TEL  06-6478-1488

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2018/08/29

非弁×(ダメ)

ドクターXの米倉涼子さんがリーガルVで元弁護士を演じるらしい。
かつて大手法律事務所「Felix & Temma法律事務所」に所属していたが、ある理由で弁護士資格を剥奪されたスキャンダラスなヒロインだ。
そんな翔子は、ペーパー弁護士の大学教授に法律事務所を開かせた上に、もっともらしいうそ八百を並べて“ワケありの弁護士やパラリーガル”をスカウトし、弱小弁護士集団を築き上げる。
それ、非弁ですがな。。。orz
というわけで、解説することにする。
 
日本では、弁護士以外の者が、有償で法律事務やその斡旋を業とすることが禁止されている。そして、弁護士は、非弁護士と業務提携することや、有償で業務斡旋を受けることが禁止されてる。
(非弁護士との提携の禁止)
第二七条 弁護士は、第七十二条乃至第七十四条の規定に違反する者から事件の周旋を受け、又はこれらの者に自己の名義を利用させてはならない。
 
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
 
(非弁護士との提携等の罪)
第七七条 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
一 第二十七条(第三十条の二十一において準用する場合を含む。)の規定に違反した者
三 第七十二条の規定に違反した者
これは、インチキくさいものを法律事務から排除してクオリティを保つ趣旨である。
しかし、最近は法曹人口増大の煽りか、お年寄りの弁護士や、食えない弁護士がこの手の業務提携に手を染めたという話を聞いている。
 
そして、世の中には一般の人が思っているよりも、この手の業務で儲けてやろうと、非弁の提案をしてくるやつは多い。
 
そんなことになれば、弱者が、さらにインチキ業者の食い物ということになりかねない。
 
で、このドラマ、記事を見る限りでは、法律で禁止されている非弁行為そのものである。
こんなのリアルであると信じる者が出ないことを願うのみである。
 
 
というより、日弁連の広報の人達は何をしてるんだ?
同じ事務所のタレントを使ったポスターで無駄金使って終わりか?

ぼやきが止まらないのでこのあたりで。

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2018/08/22

カメラを止めるな!の著作権問題

「カメラを止めるな」という映画が大人気だそうである。
 
これは舞台を原案とする作品のようである。
で、その劇団を主宰する男性が著作権侵害だと主張しているようである。
 
 
で、フジテレビを見た。TVでは著作権法に強いと紹介された弁護士の先生が、著作権侵害の可能性もあるかと聞かれてハイと答えていた
・・・・orz。というわけで解説することにしたい。
 
特定の著作物(原著作物)を用いて、著作物(二次著作物)を創作した場合、原著作権者の承諾を得てないと著作権侵害・著作者人格権侵害(翻案権、複製権、放送権、氏名表示権)の問題となる。
 
他方、原著作物を用いていないといえる場合は著作権侵害・著作者人格権侵害にはならない。
 
まず、確認しておくべきは原作とか原案とかは法律用語ではないので、
原案→著作権非侵害
原作→著作権侵害
というわけではないということである。
 
次に、重要なのは、著作権は表現を保護するものであって、アイデアを保護しないということである。
 
で、どういう場合が、表現が同一・類似になるかというと、翻案について判断した江差追分事件(最判平成13年6月28日)では、以下の基準が示された。
言語の著作物の翻案(著作権法27条)とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう。
 
既存の著作物に依拠して創作された著作物が,思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において,既存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には,翻案には当たらないと解するのが相当である。
 
この判決は翻案権の事案であるが、「本質的な特徴」「直接感得」基準は著作権侵害のスタンダードになっている。
 
この本質的な特徴基準はなかなかハードルが高い。実際に、江差追分事件最高裁でも翻案を否定している。
 
著作権侵害を認めた記念樹事件(東京高判平成14年9月6日)は、音楽著作権が問題になった事案であるが「メロディーの音の72パーセントが同じ高さの音」等の事情から「表現上の本質的な特徴の同一性」がみとめられた事案である。
 
NHKの大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」に「七人の侍」を模倣されたとして著作権侵害を主張した事件(平成16年12月24日、知財高裁平成17年6月14日)では、いくつかの場面等にお いて一定の共通点が認められるにすぎないとして、裁判所は(プロの目からすれば)一蹴した。
 
で、本件についていえば、本当に著作権に詳しい弁護士であれば、非侵害と即答である。
 

要するに「カメラを止めるな」を語るなら「勉強を止めるな」ということである。

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2018/08/10

ブロッキング問題についての意見書

最近、ひっそりと問題になっているブロッキングであるが、今回、プロ責を多く手がける弁護士の連名で意見書を公開することにした。
意見書
Ikensyo_01
現在の海賊版サイト対策会議は、現場を無視したブロッキング立法検討会になっているが、何が重要なのかよく考えてもらいたいという一念である。
現在、この意見書に賛同する方を募集中である。賛同されるかた、私にご一報いただければ幸いである。
賛同者一覧
弁護士 結城 圭一
弁護士 田畑 淳
弁護士 奥村 徹
弁護士 世戸 孝司
弁護士 安保 和幸
弁護士 二宮 淳悟
弁護士 鐘ヶ江啓司
弁護士 安富 潔
弁護士 川添 圭
弁護士 岸本 行正

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2018/06/03

独立の神様

ロマンスの神様などのヒット曲で有名な広瀬香美さんが、事務所を独立したそうである。
 
 
で、事務所が芸名使用中止をもとめていて、モメモメらしい。
 
芸能使用については、「能年玲奈」さんが「のんさん」になったり話題になることもあるが、芸名使用について、独占禁止法違反で無効と弁護士がコメントしている記事をみた。。。
 
…orz というわけで、解説することにしたい。
 
芸能人のマネジメント契約は、専属契約となることが多く、その際に、芸名は事務所が所有すること、契約終了後、芸名を芸能活動に使うことは、それが実名であっても使ってはならない旨の条項が入ることがおおい。
 
これだけではなく、なんだかんだで、マネジメント契約は奴隷契約っぽいのが多いので、独占禁止法の優越的地位の濫用に該当するかが問題になる。
 
上記記事で、弁護士の先生がおっしゃっている
 
「公正取引委員会において芸能事務所が芸名も含めたタレントの権利を独占することは独占禁止法に違反する可能性があるという旨の報告書が公表されました。」
 
というのは、公正取引委員会の「人材と競争政策に関する検討会」報告書なのであるが、正確には、この報告書には「役務提供者の肖像等の独占的な利用を許諾させること」が独占禁止法の問題になり得るというだけで、芸名という文字は一言もつかわれていない。
 
ところで、独占禁止法違反になるとした場合、契約は直ちに無効になるかというと、イコールの関係ではない。
 
裁判で芸名使用中止が争われたケースでは「加勢大周」事件(東京高裁平成5年6月30日/平成4年(ネ)1269号)があるが、この事件は、契約に基づく芸名等の使用許諾権を有することの確認を求める訴訟について、契約が終了したので理由がないとして、芸名の続用を認めた事案である。判決を見る限り、契約終了後の芸名使用の規定が無い事案であり、また、独占禁止法違反かは争われていない。

で、契約終了後の芸名使用中止請求の有効性であるが、これが裁判で真剣に争われたら事案によるとしか言えないところである。
 
というわけで、新事務所からの再デビューは
「芸名があれば大丈夫」
でお願いします。

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2018/05/31

告発の行方

アメリカンフットボールの定期戦で日本大の選手が関西学院大の選手に悪質なタックルをして負傷させた問題で、関学大の選手側が31日、日大の内田正人前監督(62)と井上奨(つとむ)前コーチに対する傷害容疑での告訴状を警視庁調布署に提出し、署が受理した。告訴の対象にタックルをした選手は含まれていないという。捜査関係者への取材でわかった。

この告訴で選手を含まないということであるが、これは意味あるだろうか。
第二百三十一条 被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。

第二百三十八条 親告罪について共犯の一人又は数人に対してした告訴又はその取消は、他の共犯に対しても、その効力を生ずる。

刑事訴訟法の考え方として、告訴の主観的不可分というのがある。
これは、親告罪について、共犯者の1人又は数人に対して告訴又はその取消があった場合は、他の共犯者に対してもその効力が生ずるという考えである。
本件は、傷害罪なので、告訴無くても起訴できる非親告罪である。もともと、告訴と起訴できるかはあまり関係ないが、たとえ、親告罪であっても告訴の主観的不可分があるので、起訴はできると考えられている。
要するに一人に告訴したら正犯・共犯全員に対する告訴として扱われるので、選手を告訴の対象からはずしたとしてもあまり意味が無いがない。
ところで、この告訴の主観的不可分であるが、普通は、告訴する人は処罰する気まんまんなので、改めて告訴状を出してもらって処理しており、裁判で論点にならなかった。
というわけで、刑事訴訟の本では、裁判例はないと書いているのもあるが、実はある。
Winny事件の高裁が告訴の不可分を認めているのである。
刑事は、へんなところでつながっているのである。

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2018/05/13

クレイジーフットボール

日大と関学のアメリカンフットボールの試合で、日大の選手に悪質な反則があったということで、関学から抗議がなされているようである。

記事

6日の試合では、日大の選手はボールを投げ終えて無防備な状態だった関学大選手に背後からタックルするなど3度反則し退場となった。関学大の選手は右膝軟骨損傷と腰の打撲で全治3週間と診断され、現在も左足にしびれが残っている状態だという。両チームは全日本大学選手権決勝(毎日甲子園ボウル)で最多の29回の対戦がある伝統校で、定期戦も今回が51回目だった。

ネットで見たが、なかなか酷い反則である。

フットボールクレイジーの関学が、クレイジーなレイトヒットにお怒りなのは、ごもっともである。

ところで、スポーツはある意味反則がつきものであるが、酷い反則した場合、法的な責任を負うことはあるだろうか?

じつは、スポーツなんだから責任ないんじゃ無いかというわけにはいかず、法的責任を伴うことがある。

サッカーの事案で得あるが、たとえ故意又は過失により相手チームの選手に負傷させる行為をしたとしても、社会的相当性の範囲内の行為であれば違法性が否定される余地があるとして、社会相当性を逸脱した行為に対して不法行為を認めた裁判例があるので、油断ならない(東京地裁平成28年12月26日・平成27年(ワ)13602号)。

主に柔道であるが、試合中のケガについて監督者の責任を問う裁判例はたくさんある。

というわけで、フェアプレイは精神だけではなく、法律上の義務なのである。

興味がある人には、これでも一読を。

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2018/04/24

著作権侵害サイトのブロッキング要請に関する緊急提言シンポジウム

日曜日を潰して、情報一般財団法人 情報法制研究所と一般社団法人 インターネットコンテンツセーフティ協会共催の著作権侵害サイトのブロッキング要請に関する緊急提言シンポジウムというものにパネラーとして出席した。

シンポ

いろいろ記事になっているようである。

弁護士ドットコム

ITmedia

窓の杜

私は、実務の解説である。
刑事弁護をまともにやってる弁護士であれば、児ポだろうが著作物だろうが、刑事法廷で緊急避難の主張がまともに取り合ってもらえないということをやんわり説明する担当である。

当日のスライドを欲しいという人が結構いたので公開しておく、プロユース用に作ってないので、業者の方は自ら楽しむ目的のみで利用可である。

当日資料をダウンロード

私は、緊急避難みたいな通るわけない論理で、明らかなクロをシロにできる特権階級を認めたくないだけである。適切な立法に基づく措置であれば賛成であるし、そのための議論は必要と思っている。

ただ、パネルでは、権利者側の先生が、いろいろ努力をされているというお話をされていたが、その話を前提にして、さらに、日本のプロバイダ責任制限法の出来が最悪で、民事訴訟法がIT社会に全く対応できていないことを踏まえても、被害3000億というのであれば、それに見合うべきやるべきことはまだあるのにやってないとしか思えなかった。

必要なのは、ブロッキングでは無く、「十分な」スキルを有する弁護士に相談することである。

現状は、某社が、自らの意思で社員に通信の秘密侵害罪のリスクを負わせる旨の発表をしたところである。

発信者情報開示では、二言目には通信の秘密とお経の様にいう企業グループの節操ない忖度である。

なんだかなぁ。

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2018/04/12

ブロッキングのブロック

最近、海賊版サイト対策で政府がブロッキングを要請するなんて話が飛び出してきて、なんだか賑やかである。

記事

政府は漫画やアニメを作者に無断で掲載するインターネット上の「海賊版サイト」への接続を強制的に遮断するための措置に乗り出す。NTTコミュニケーションズなど国内のプロバイダー(接続業者)に利用者の閲覧を遮断するよう要請する。

なんでかNコムの名前だけ上がってるのかは大人の事情なのだろう。

これに対して、宍戸先生がお怒りの様子である。

海賊版サイト「ブロッキング要請は法的に無理筋」東大・宍戸教授、立法を議論すべきと批判

ただ、何を議論しているのかは一般の人には良く分からないとおもうので、解説してみたいと思う。

そもそも、インターネット上の通信は電気通信事業法の問題となる。

第四条 電気通信事業者の取扱中に係る通信の秘密は、侵してはならない。
2 電気通信事業に従事する者は、在職中電気通信事業者の取扱中に係る通信に関して知り得た他人の秘密を守らなければならない。その職を退いた後においても、同様とする。
DNSへの正引きも逆引きも、送信先に関するものであるから、通信の秘密で保護されるというのが一般的な考えである。

で通信の秘密を犯すと刑罰が待っている。
第百七十九条 電気通信事業者の取扱中に係る通信(第百六十四条第三項に規定する通信を含む。)の秘密を侵した者は、二年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
2 電気通信事業に従事する者が前項の行為をしたときは、三年以下の懲役又は二百万円以下の罰金に処する。
3 前二項の未遂罪は、罰する。
というわけで、法律上はISPはブロッキングしたくても刑罰が怖くてブロッキング出来ないという立て付けになっている。

これに穴が空いたのが児童ポルノである。
児童ポルノサイトを遮断するのは、緊急避難なので処罰されない場合があるという解釈が有識者から出たのである。
刑法
第三十七条 
自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
2 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。
この緊急避難は、小説ではよく出てくるが、実務的には滅多にお目にかからない法理である。その法理がここで突然出てきたのである。

緊急避難は、①現在危難の存在、②避難行為であること、③やむを得ずにした行為、つまり、他に取るべき方法が無かった場合であること(補充の原則)、④生じた害が避けようとした害の程度を超えないこと(害の均衡)を要するとされている。

その上で、児童ポルノサイトのブロッキングは児童に与える悪影響が大きいし、他に方法がないということで緊急避難の要件を満たす場合もあろうということで、2011年4月からDNSポイズニングによるブロッキングが行われてきた。そうである。

今回のは、著作権者の人達が、児ポで空いた穴に目をつけて,海賊版対策サイト対策の場合も緊急避難の要件を満たすだろうということで、政府がブロッキングを要請するということになったようである。

この問題の背景には、出来の悪い民訴法とプロ責がある。相手を訴えたり特定する手段がないし、特定に時間がかかるというのは補充の原則に関する最大の根拠となろう。プロ責の出来が悪いこと自体は私も認めるところである。

ブロッキング報道の反響は大きい。

記事
アメリカ
米映画協会関連団体の米国弁護士が、ドイツ連邦最高裁判所を引っ張り出して日本でも適法となると言っているようであるが、米国の弁護士がドイツを引っ張ってる時点で
「君の国の法理でどうなるねん?むりなんやろ?」
というツッコミしかない。

日本の有識者も大騒ぎである。実は、私の専門分野的に、これに関係している人がほとんど顔見知りなのであるが、賛成反対に別れて大騒ぎである。

いろんなところから反対の意見が出されている。

ICSA 
http://netsafety.or.jp/news/info/info-026.html
情報法制研究所 
https://www.jilis.org/pub/20180411.pdf 
EMA http://www.ema.or.jp/press/2018/0411_02.pdf 
JPNIC 
https://www.nic.ad.jp/ja/topics/2018/20180412-01.html
JAIPA https://www.jaipa.or.jp/information/docs/180412-1.pdf
あんしん協 https://www.good-net.jp/information/press-release/80
全国消費生活相談員協会 http://www.zenso.or.jp/information/news/4474.html
 

で、大騒ぎであるが、当の海賊版サイトは、今回の報道で認知度が上がったのがナチュラルDOS攻撃になったのか、サーバダウンしたり、ふらふらしたりのようである。
 
私は、、児童ポルノに関しても緊急避難が成立するとは思ってないし、著作権対策に補充の原則・害の均衡を満たすとも思えない。
ブロッキングは立法でなければならないし、仮に立法がされても司法判断またはそれに変わる適正な手続保障がなければ、その立法は違憲と思っている。

そもそも、緊急避難という曖昧な要件で、著作権の穴を広げたら、名誉毀損で穴がさらに広がって、最後は政治的なスキャンダルをプライバシー侵害で止めれることになりかねない。
今の政府をみる限りそうならない方が不思議である。
しかも、DNSポイズニングは容易に回避可能である。
そんなもののために、政府がISPに要請という名の強制をするのは、無意味であるし、あまりに検閲に近すぎる。

そもそも、海賊版サイトの白黒は決まっていない。それを決めるのは政府ではなく裁判所である。

著作権法の権利者側の弁護士にとって、他に取るべき方法が無かったとしても、それだけで補充性の要件が充たされるわけではない。プロ責関係の弁護士にとって本当に採るべき方法が無いときに補充性を認めるべきである。

というわけで、彼らがやるべきはロビー活動でも被害4000億というデタラメな資料を作ることでも無く、ちゃんとしたスキルを有する弁護士に依頼することである。

ちょっと高いよ” (´・∀・`) /

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2018/03/23

FOREST OF PUBLICITY デーモン閣下

デーモン閣下がNHKに肖像を無断使用されたとお怒りの様子である。

記事

デーモン閣下が、NHKのアニメ番組で自身の肖像を無断使用されたとして「組織としての誠実な対応を求む」とした。

これを巡って二人の弁護士が激論を交わしたようである。

記事

元裁判官で国際弁護士の清原博氏は「無断使用しても肖像権の侵害にならない可能性が高い」との見解。芸能人の肖像権侵害に当たる主なケースとして「芸能人の氏名や肖像を勝手に利用して金もうけをしているケース(パブリシティー権の侵害)」「本人のイメージが著しく害されたり感情が強く傷つけられるケース」の2つを挙げ、今回の件はこれらに該当しない可能性が高いとの見方を示した。

 佐藤弁護士は「清原先生のご意見はもっともなんですけど、聞いているとやっぱり元裁判官ふうの意見だなと思う。証拠からしか、相手の気持ち、デーモンさんの気持ちを読み取れていない。本人の気持ちに寄り添う弁護士であればこれは違法ですよ」と清原弁護士に反論。

二人の発言は、テレビ向けに省略している部分が多いと推察されるが、権利関係を整理するとややこしい。

(注 法律の話がお嫌いな人は、このあとをすっとばして最後だけ読んでも、この記事の大意は理解可能です。)

問題になるのは、肖像権、パブリシティ、著作権その他である。

肖像権とは、みだりに自己の容ぼう等を撮影されない権利である。
和歌山カレー事件に関する報道に関するもの(最高裁平成17年11月10日)が民事で有名である。

この事件は、撮影だけでなく、公表が適法かについても受忍限度を問題にしている。

人は、自己の容ぼう等を描写したイラスト画についても、これをみだりに公表されない人格的利益を有すると解するのが相当である。しかしながら、人の容ぼう等を撮影した写真は、カメラのレンズがとらえた被撮影者の容ぼう等を化学的方法等により再現したものであり、それが公表された場合は、被撮影者の容ぼう等をありのままに示したものであることを前提とした受け取り方をされるものである。これに対し、人の容ぼう等を描写したイラスト画は、その描写に作者の主観や技術が反映するものであり、それが公表された場合も、作者の主観や技術を反映したものであることを前提とした受け取り方をされるものである。したがって、人の容ぼう等を描写したイラスト画を公表する行為が社会生活上受忍の限度を超えて不法行為法上違法と評価されるか否かの判断に当たっては、写真とは異なるイラスト画の上記特質が参酌されなければならない。

問題は受忍限度か否かである。
ちなみにカレー事件の報道では、

被上告人が手錠、腰縄により身体の拘束を受けている状態が描かれたものであり、そのような表現内容のイラスト画を公表する行為は、被上告人を侮辱し、被上告人の名誉感情を侵害するものというべきであり、同イラスト画を、本件第2記事に組み込み、本件写真週刊誌に掲載して公表した行為は、社会生活上受忍すべき限度を超えて、被上告人の人格的利益を侵害するものであり、不法行為法上違法と評価すべきである。

と判断されている。

今回、問題になるのは、デーモン閣下は厚塗りのメーキャップなので、実際にはどこの誰か区別がつきにくいという点である。この点も受忍限度の判断において考慮されることになろう。ただ、閣下はあれが素顔とおっしゃってるので、閣下の設定を前提にすると悪魔であるデーモン閣下の容貌が人の容貌になるかが問題になってさらにややこしい。

デーモン閣下の場合は、単なる肖像権ではなく、パブリシティの主張も考えられる。
英語では両方パブリシティなのであるが、なんでか、日本では別個に扱われている。

パブリシティでは、ピンクレディの無断利用を巡る最高裁(最高裁平成24年2月2日)が超有名である。

肖像等は、商品の販売等を促進する顧客吸引力を有する場合があり、このような顧客吸引力を排他的に利用する権利(以下「パブリシティ権」という。)は、肖像等それ自体の商業的価値に基づくものであるから、上記の人格権に由来する権利の一内容を構成するものということができる。他方、肖像等に顧客吸引力を有する者は、社会の耳目を集めるなどして、その肖像等を時事報道、論説、創作物等に使用されることもあるのであって、その使用を正当な表現行為等として受忍すべき場合もあるというべきである。そうすると、肖像等を無断で使用する行為は、〈1〉肖像等それ自体を独立して鑑賞の対象となる商品等として使用し、〈2〉商品等の差別化を図る目的で肖像等を商品等に付し、〈3〉肖像等を商品等の広告として使用するなど、専ら肖像等の有する顧客吸引力の利用を目的とするといえる場合に、パブリシティ権を侵害するものとして、不法行為法上違法となると解するのが相当である。

ここでも、悪魔であるデーモン閣下が、人格権に由来する権利を主張することの可否が問題になる。仮に出来るとして、顧客誘引力があると認められる可能性は高そうである。
すると、顧客吸引力の利用を目的とする利用に該当するかの問題となる。

そして、著作権である。
仮にデーモン閣下のあの顔が素顔ではなく、メーキャップであるとすれば、あのメーキャップに創作性が認められれば著作物として扱われ、これを他人が無断で使用する行為は違法となる。
また、あのメーキャップは結構著名なので、これが商品等表示に該当すれば、不正競争防止法2条1項1号で保護され、これを他人が商品に表示することは違法となる。

この前提知識を踏まえて、両弁護士の見解を検討すればテレビ向けの発言の裏側の意図などが解って面白いのではないか?

というわけで、法律構成がややこしいので、デーモン閣下には、法廷闘争ではなく

「おまえも蝋人形にしてやろうか!」

で、気に入らない奴を全員ろう人形にして、簡潔に解決してほしいところである。

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«知的財産の刑事罰規定範囲を明確化し濫用防止を