あたーにーあっとろーとは?

  • Winny制作者金子勇氏
    こと博士の素顔があまりにも面白いので、弁護人である私の目から、事件を振り返ってつれづれなるままに書きつづってみる、壇弁護士の事務室のスピンアウトブログです。

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2014年8月26日 (火)

人生のサイドスリップ

博士とは、常に裁判の話をしていたわけではない。

むしろそれ以外の話の方が多かった。

二人のときは、機械の話が多かったような気がする。

博士は、私の話の中では、大阪の町工場の話が好きだったようである。私の鏡面研磨への愛を延々と聞かされて我慢できるのは、スティーブ・ジョブズと博士くらいなものであろう。

戦闘機は、二人の定番の話題であった。

私は、小学生のころから、√も解らずに画用紙に線を引いて紙飛行機を作っては飛ばしていた。もちろんA10サンダーボルトはグレッグである。宮崎駿の映画に対して、「そんな飛行機飛ぶわけないやろ」とテーマを取り違えているのも私である。

博士は、フライトシミュレーターを自作する程に戦闘機が大好きである。
アメリカの戦闘機はFがつけられることが多いが、USAFに決定されるずっと前から、次はF35と予想してフライトシミュレータに採用して当たったというのが、博士のご自慢であった。

博士は航空機も好きである。
航空機に乗る際には、失速するくらいのバンクで旋回して欲しいと願っているそうである。

飛行機で死んだら本望!

博士はときどき言っていた。

私はひこうき雲を見ると思い出す。

だったら、もうちょっと長生きしなきゃ駄目だったね。

2014年8月14日 (木)

君は星の虹を見たか

絶対馬鹿だ!

でしょ!

博士が今まで作ってきたプログラムを見たときの会話である。

というのも、前(ミスターインターネット)で書いた様に、純ちゃんが理由で、証言予定の純ちゃんが来れなくなり、急遽、その日を彼が作ってきたプログラムに関する被告人質問にしたのである。

しかし、プログラムに関する被告人質問は、その場を繕うためのものではない。

当時、外野はWinnyの開発目的についていろいろ言っていた、でも、彼の生き方を理解せずに外から眺めても彼の意図を理解することは出来ない。

では、彼の生き方をもっとも表しているのは?

そんなのプログラムに決まっているではないか!

というわけでプログラム発表会にしたのである。

被告人質問の打ち合わせのために、彼の持ってきたプログラムは、いずれも、彼自身であった。

どれも、どこかぶっ飛んでいて、どこか抜けているのである。

たとえば、フライトシミュレータの「NekoFlight」。そもそも、彼はF15のヘッドマウントディスプレイを作りたかったそうである。その後、主翼・尾翼をリアル演算して、市販のゲーム顔負けのリアルさになった。その後、彼は、ブーストつけて大気圏外に脱出する機能をつけた。

NASAのマップで眺める地球は壮観である。

但し、リアル演算なので、空気がない宇宙では挙動がおぼつかない。

宇宙での漂流は少し恐怖である。

また、彼は、リアルに人体の挙動を計算し始めた。滑落歩行に興味あったようである。彼は、興味が講じて格闘ゲーム「NekoFight」を作った。重力も含めリアルに計算である。人間にしてはシンプル過ぎるって?挙動を楽しむんだからそれで良いのだ。人工知能搭載である。

但し、リアルに挙動を計算するので重力を切ったら、宇宙遊泳である。上下も定かではない。

無重力空間では格闘どころか、近づくこともできない。

そのなかで、私が一番気に入ったのは、特殊相対性理論で示された光のドップラー効果を可視化した「StarBow」である。

速度が上がっていくと、星々が真ん前に集まって来て虹のようになるのである。

子供の頃に読んで心を躍らせた、空想の世界がそこにあるのである。

 

私は、誓った。

博士のプログラムへの思いをそのまま法廷に出そう。

と。

被告人質問の準備は大変であった。

パソコンから分配器で分配して、裁判所、検察、弁護、被告人の4つのモニターと法廷用のプロジェクタ、あと1つはダウンスキャンコンバータで変換してデジタルビデオで撮影である。

もちろん、当時は、裁判員裁判用法廷などない。プロジェクター以外は、ほとんど私の私物である。

モニターとケーブルがたくさんの法廷で、被告人質問は始まった。

彼が、小学生の頃電気屋でゲームを作っていたころの話、大学でシミュレーションの研究をしていたことの話のあと、フリーソフトの話になった。

質問は、プログラムを起動して、動かして、説明して、画面をキャプチャして、プログラムを閉じて、次のプログラムの質問に移るという流れである。

もちろんNekoFlightもStarBowもフィジアニメも説明した。プログラムを外から眺めているだけでは分からないプログラマの創作への想いを話して尋問が終わ・・・・・・・・・・らないのが、筋金入りのプログラム馬鹿である。

博士は、尋問中でもパソコンをいじりたがるのである。

「まだ、パソコンを触らないでください。」
「はいはい」。

次のプログラムに行こうとしても、パソコンを触りたがる。
「今は、パソコン触らないでください」
「いや、でも、これはこっちに向けた方がかっこいいから」
「そんなん、今は、どうでもいいでしょ」

法廷でパソコンで遊ぼうとするのを注意したのは、先にも後にもこのときだけである。

とにかく私の意図しない方法で、博士のプログラムへの愛だけは立証できたようである。

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