Winny 天才プログラマー金子勇との7年半

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「Winny」も「天才プログラマー」も「金子勇」も盛り込んで検索ワードを意識しすぎな小説が、2020年4月24日にインプレスR&Dから出版されることになった。

 

インターネットウォッチの紹介記事

インプレスR&Dのリリース

PRタイムのプレスリリース

 

これは、壇弁護士の事務室のスピンオフブログ「アターニアットロー」を時系列に整理して、小説として書き直したものである。

執筆中は、当時のあれこれを思いだしては、怒ったり、悲しんだり、笑ったり、泣いたり大変であった。

ブログからの移植という割には、出版まで数年かかっている。

途中で担当者も出版社も複数回変更された。ヒロインを登場させろとか、さび前の歌みたいに結末を最初に書いてインパクト勝負だとか、金子の内心を描いてないから小説として成立してないとか、業界人が読みもせずに業界風を吹かす発言にはヽ(#`Д´)ノな感じであった。
しかし、Winny事件や金子勇という人物について事実をそのまま伝えるという、根本のところはぶれずに書けたと思う。

ところで、この小説、元が無償で公開されてるんだからブログ見たらいいじゃんと言われかねない。しかし、既にアターニアットローを見た人でも楽しめるようにいろいろ工夫しているので、そう言わずに、小説版も見て欲しい。

Winny事件は、現在、映画化の企画もあるようである。私の役を誰がやるのかをいつも聞かれるが、私は知らない。。。。というより、その質問が多すぎて辟易している。

最後に、出版の際には紙面の都合で乗せれなかった方々にスペシャルサンクスをば(追加予定)。

坂和宏展(弁護士)さん 彼の「小説を読みたい」という一言がなければ、途中で止めてたと思う。ありがとう。

山本祐規子(元ロースクール生)さん ゲラの確認、示唆に富む指摘ありがとう。

 

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2020/07/29

ろくでもない判決

自分の性器のCADデータを支援者に配ったとして、わいせつ電磁的記録等送信頒布などの罪に問われたろくでなし子の事件の判決が先日あった。

通常、上告を棄却するときはぺらぺらな決定を送ってくるだけなのであるが、なぜか、最高裁は弁論を開かず判決期日を指定したため、何をしたいのかということが噂になっていた。

参考 刑事訴訟法

第四百八条 上告裁判所は、上告趣意書その他の書類によつて、上告の申立の理由がないことが明らかであると認めるときは、弁論を経ないで、判決で上告を棄却することができる。

上告棄却ならペラペラ一枚で終わるはずだが、なんでか、最高裁は、わざわざ、判決を期日を指定して、上告を棄却判決をしたのであった。

最一判令和2年7月16日

提供の動機、経緯に芸術性、思想性が認められるという弁護人の主張については

行為者によって頒布された電磁的記録又は電磁的記録に係る記録媒体について,芸術性・思想性等による性的刺激の緩和の有無・程度をも検討しつつ,同条のわいせつな電磁的記録又はわいせつな電磁的記録に係る記録媒体に該当するか否かを判断するに当たっては,電磁的記録が視覚情報であるときには,それをコンピュータにより画面に映し出した画像やプリントアウトしたものなど同記録を視覚化したもののみを見て,これらの検討及び判断をするのが相当である。

とガン無視である。

しかし、下級審で、わいせつ性が認められたのは、性欲を刺激するという理由のはずである。これを前提にすると、周辺事情を取捨して、画像だけで性欲刺激を判断するというのは、かなりワビサビがなく、とても男子中学生的な判断である。

次に、データの提供は、女性器に対する卑わいな印象を払拭し,女性器を表現することを日常生活に浸透させたいという思想によるという弁護人の主張に対しては

女性器を表現したわいせつな電磁的記録等の頒布それ自体を目的とするものであるといわざるを得ず,そのような目的は,正当なものとはいえない。 

と、ろくでなし子の活動全否定というより全人格否定である。

結局のところ、わざわざ、呼び出して宣告するような中身のあるものではなかった。

 

ところで、わいせつ罪は、社会法益に対する罪であるが、なぜ、刑事罰の対象になるかというと説明が難しい。

現最高裁判事と同名のそっくりさんである刑法学者の山口厚氏は、わいせつ罪の保護法益を以下に捉えるかは困難な問題であるとして、性的秩序・風俗をわいせつ罪の保護法益としている。

しかし、現在の日本において刑罰によって保護しなければならないような性的秩序とか風俗とはなにかと問われるともやもやである。

むしろ、明治時代に処罰法規が設けられたから、今も保護法益を正当化するためにいろいろ考えているという感じである。

次に、わいせつとはなんぞやというのは結構難しい問題である。

サンデー娯楽事件(最判昭和26年5月10日)①いたずらに性欲を興奮または刺激させ、かつ、②普通人の正常な性的羞恥心を害し、③善良な性的道義観念に反するものというが理由を示し、これが、現在もわいせつの定義とされている。

そして、著名なチャタレー事件(最大判昭和32年3月13日)では、サンデー娯楽事件を踏まえて、さらに性的道義観念に踏み込んだ判断をしている。

猥褻文書は性欲を興奮、刺戟し、人間をしてその動物的存在の面を明瞭に意識させるから、羞恥の感情をいだかしめる。そしてそれは人間の性に関する良心を麻痺させ、理性による制限を度外視し、奔放、無制限に振舞い、性道徳、性秩序を無視することを誘発する危険を包蔵している。

この性欲=獣=非道徳って、いつの時代のどこの話だというところであるが、その後の裁判例を見ると、普通人の性的な性的羞恥心や性的道義観念というのが時代にそぐわないと考えたのだろうか正面から検討されなくなり、現在は、性欲刺激的要件1本主義的な基準になっている。

私は、これは判例変更じゃないのか?と思うところであるが、裁判所は、令和の時代になっても、昭和20年代の道徳観念にしたがって、明治に規定された刑事規定を擁護しているということである。

で、何が性欲を刺激するかという話であるが、これまた、日本は独特である。性欲刺激されるのは性器に限られるとでも考えているのであろうか。しかし、男性器モチーフのおみこしは相当リアルでもおとがめなしなので具体的になにがわいせつかは私にも良く分からない。

 

ところで、わいせつに関する考え方程、国によって異なることはない。

例えば、米国では、有名なミラー判決で、米国最高裁は、①通常人にとってその時代の共同体の基準を適用して、その作品が全体として好色的興味に訴えているか、②その作品が明らかに不快な仕方で州法によって特定的に定義された性行為を描いているか、③その作品が全体として重大な芸術的政治的科学的価値を描いているかというミラーテストを示した。その結果、米国ではハードコアポルノに処罰の対象が限定されている。

また、ジェンキンス判決で、米国最高裁は、禁止が通常の性欲を刺激するだけのものにまで及ぶ限りで修正第1条に反するとしており、チャタレー事件やその後の日本の裁判例とは性欲刺激に対する評価がまったく違う。

ただ、米国では、キリスト教の道徳的な規制が結構ある(あった)。この点、性器さえ出さなければ変態プレイなんでもありの変態天国の日本とは大違いである。

 

で、脱線から戻って、ろくでなし子の事件であるが、自己の性器のジオラマにも起訴されていたがこちらは無罪で確定している。
検察も弁護人も敗者である。焼け太りという声も聞こえてきそうであるが、旦那と子宝と一部無罪をゲットしたろくでなし子の1人勝ちということでいいのでは?

というわけで、ろくでなし子とやまべんの動画でもどうぞ。

 

 

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2020/07/27

RTの違法性

誰かの写真をリツイートしたものは、著作権侵害なのだろうか?

この問題について、最高裁が判断をした

最三判令和2年7月21日

最高裁の判断は著作権法19条1項の氏名表示権(著作者人格権)を侵害するというものであった。

第十九条 著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。

リツイートは、写真そのものを公衆送信するわけではないので、裁判では、リツイートが著作物の公衆への提供に該当するのかが争点となった。

裁判所は

 同項の「著作物の公衆への提供若しくは提示」は,上記権利に係る著作物の利用によることを要しないと解するのが相当である。

と判断した。

また、クリックすれば元画像が見れるので、リツイートでも氏名は表示しているという主張については、

 本件各リツイート記事中の本件各表示画像をクリックすれば,本件氏名表示部分がある本件元画像を見ることができるということをもって,本件各リツイート者が著作者名を表示したことになるものではないというべきである。

と判断した。

この判断には、多数意見の他、戸倉三郎裁判官の補足意見の他、林景一裁判官の反対意見がある。

2人の裁判官ネット社会に対する考え方が良く出ているので是非読んでいただきたい。

 

で、私的には、リツイートに対しても発信者情報開示請求できるようにするべきと思っているが、この最高裁判決に対しては否定的である。

著作者人格権が焼け太りしすぎだからである。

著作権は、これまで、カラオケ法理等で不明確に保護の範囲を広げてきた。さらに氏名表示権まで広げることはあるまい。

「リツイートが人格権侵害?えらいナイーブな著作者ですな。」である。

で、著作権法は、著作者人格権侵害についても刑罰を定めている。

 
第百十九条 
1 省略
2 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。
一 著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者(省略)

これを前提にすれば、リツイートしたら、京都府警がタイーホなんてことになりかねない。

おまけにWinny最高裁判決の例外性の基準であれば、ジャック・ドーシーはほう助が成立しかねない。
著作権の問題は、民事上の侵害行為のほとんどを刑事罰の対象にしているという法律の作り上、常に、民事上のバランス論だけではなく、刑事罰についても考えなければならない。しかし、そのことを理解している者は少ない。

最高裁判決が刑事罰に配慮した痕跡は皆無である。

そして、リツイートの際、著作者名の表示や著作者の同意等に関する確認を「現行著作権法下で著作者の権利を侵害しないために必要とされる配慮に当然に伴う負担である」と曰う戸倉裁判官は決して良くない意味で期待外れ感満載である。

岡口裁判官の件で、Twitter嫌いになったのかな?

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2020/07/06

8回忌?

Winny製作者の金子さんが2013年7月6日亡くなってから今日で満7年になる。

7回忌かというと、7回忌は満6年の命日の法事を言うらしいので8回忌になるのだろうか?そんなものは無いと言われたらそうなので、私は良く分からない。

今年は、Winny事件と金子さんのことを書いた「Winny」を出版することができた。

出版まで何年もかかったが、先日、金子さんの墓前に本を供えることができた。

出版は、弁護士ドットコムで「天才プログラマー金子勇さんを無罪に導いた壇俊光弁護士、Winny事件の裏側と友情を語る」とか朝日新聞の「ひと」欄で「壇俊光さん ウィニー事件で無罪判決までの道のりを本にした弁護士」とかでとりあげてもらったりした。

朝日新聞からは墓前に行く日をだいぶん聞かれたが、一人で行きたかったので、ナイショにしていたのである。

 

今日は、過ぎた日のことを想いながら1日を過ごしたい。

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2020/05/27

花は咲く。きっと。

本日、巨大IT企業規制法が成立したようである。

共同通信

日本が、海外のITサービスに席巻されてから久しい。

ところで、某女性がSNSでの誹謗中傷を苦に自殺したということが報道されてから、高市早苗大臣もSNS上で他者を誹謗(ひぼう)中傷するなどした悪質な投稿者を特定しやすくする方策を検討していると発言するなど、ネットでの誹謗中傷対策を求める声が沸いているようである。

確かに、ITは一般の人の情報発信が可能となった反面、悪意ある発言も本人に届きやすくなっている。

ダルビッシュ曰くこんな感じだそうである。確かに、有名人は特に大変だと思う。

 

 

で、我が国で発信者情報を認めているのは「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」いわゆる「プロバイダ責任制限法」4条1項に基づく発信者情報開示請求だけである。

で、このプロ責であるが、お世辞にも使い勝手はよくない。

日弁連でも、

2011年6月30日付『「プロバイダ責任制限法検証に関する提言(案)」に対する意見』

2013年11月6日付「プロバイダ責任制限法改正についての要望書」

消費者問題の救済に関してではあるが2010年11月16日付「消費者の救済のための発信者情報開示制度に関する意見書」

とことあることに問題点を指摘し、

2011年には、私が、直接、プロバイダ責任制限法検討WGで、やんわりとではなく、その出来の悪さを指摘したが、通信の秘密の守株をドグマとする総務省はガン無視で、私達を開示村の一部の意見と蔑み、省令の小改正に留めてきた。

そんなことを言っているうちにも、海外法人相手の手続きを要することが増えて、被害救済へのハードルは年々高まっているのである。

現在、総務省は、発信者情報開示の在り方に関する研究会を開催している。

しかし、伝え聞くところによると、総務省はまた、省令の小変更で終わらそうとしているようである。

今、必要なのは、ネットの匿名性を尊重しつつ、違法な行為については、速やかに本人を特定する手段である。もともと出来の悪いプロ責法は今大きく軋んでいる。

願わくば、今回の件が教訓となって、誰もネットでの中傷を苦に死ぬことのない法制度へと、花を咲かすように。

 

ところで、本件以降、SNSや動画共有サイト等でネットの誹謗中傷対策を宣伝する弁護士が増えたような気がする。

彼らのほとんどを私は知らない。そして、発信者情報開示への道は過払いのように誰でも飛ばせる舗装道路ではない。

パチモンではなく、この分野の経験ある本物の弁護士に依頼することをお勧めしたい。

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LIBRA2019年12月号より

LIBRAとは、東京弁護士会の発行している会報である。

インターネットでも公開しているので読める。

その中で「インタビュー岡部喜代子さん」という記事を見つけた(ずいぶん前に)。

岡部元最高裁裁判官に対するインタビューで、Winny事件に触れられていた。

──最高裁判事の立場からみて,弁護士の活動で良い印象が残ったものはありますか。

そうですね,Winny事件というのを担当しました。「Winny」って当時としてはかなり最先端のIT技術でしょう。私は初め分からなかった。これはどうしようかなと思って記録をずっと読んでいったら下級審で証人尋問をしていた。「Winny」の中身というか,どういう技術なのかということについて専門家を呼んで弁護人が尋問しているのですが,その尋問がすごく良くできていて,私みたいな人にも,「Winny」たるものは何なのか,どういう技術でどれだけ大事なのかということが本当に読んでいたら分かってきました。裁判官がどこを疑問に思うのかということを理解しているのだと思いました。

下級審での専門家証人は複数おり、私が主担当をした証人か副担当をした証人かはわからないが、読んでてが恥ずかしくなるくらいのえらいお褒めをいただいたようである。

専門家証人は、いずれも、小説に載っているので興味がある方はどうぞ。

じゃあ、なんであの基準?というのは置いておいて、技術立証におけるスコープは非常に難しかった。

弁護団の中には、裁判所はITを知らないのでIPアドレスの用語の説明を説明するべきだという者もいたが、時間の無駄だしIPアドレスを理解してもWinnyを理解したことにはならないし、本当に伝えるべきことがぼやけるのでやらなかった。

岡部裁判官がよく分かったとおっしゃってるのを見るかぎり、この戦略は成功したということなのであろう。

ただ、私は、当時、団長が理解していることは、裁判所も理解できるはずなのでやらない。それ以上に立証を絞る。という不遜にも程があることを言っていたので読んでいて複雑な気持ちである。

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CG児童ポルノ事件最高裁決定

報告が遅れて申し訳ない。

そして、支援者の皆様には力不足をお詫びする次第である。

自ら作成した、少女の裸体に似たCGが児童ポルノの作成罪に該当するかについて、最高裁は一部有罪(一部無罪)とした東京高裁判決を支持して上告を棄却した。

裁判の詳細は裁判所のホームページで公開されているから興味があれば確認されたい。

児童ポルノ禁止法は、児童の保護を目的としているのであるから、作成時に児童で無いものは含まれないという弁護側の主張に対しては

同項の児童ポルノ製造罪が成立するためには,同条4項に掲げる行為の目的で,同法2条3項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した物を製造すれば足り,当該物に描写されている人物がその製造時点において18歳未満であることを要しないというべきである。

と判断したが、なぜ、必要でないかについては多数意見は言及していない。

東京高裁は、社会的法益侵害を理由にした(ホームページ

現に児童の権利を侵害する行為のみならず,児童を性欲の対象としてとらえる社会的風潮が広がるのを防ぐことにより,将来にわたって児童に対する性的搾取ないし性的虐待を防ぐことが要請されるというべきである。この意味において,同法の規制の趣旨及び目的には,社会的法益の保護も含まれるといえるのであって,所論がいうように,純然たる児童の権利保護のみを目的とするものとみるのは相当でないといわざるを得ない。

児童ポルノ法施行以前に実在した児童を描いた場合には,児童ポルノとして児童の権利が侵害されたことはないものの,児童を性欲の対象とする風潮を助長し,児童の性的搾取及び性的虐待につながる危険性を有するという点では,①の場合と同様であるから,やはり,児童ポルノとして処罰の対象となり得ると解すべきである。このような行為を処罰の対象とすることは,前記の児童ポルノ法の目的及び趣旨に沿うものというべきであり,当該画像の製造の時点,あるいは,児童ポルノ法施行の時点で,その被写体が18歳以上であることは,児童ポルノへの該当性を否定する事由となるものではない。

しかし、児童ポルノ禁止法はあきらかに実在する児童の保護のみを目的としている。

児童ポルノ禁止法

第一条 この法律は、児童に対する性的搾取及び性的虐待が児童の権利を著しく侵害することの重大性に鑑み、あわせて児童の権利の擁護に関する国際的動向を踏まえ、児童買春、児童ポルノに係る行為等を規制し、及びこれらの行為等を処罰するとともに、これらの行為等により心身に有害な影響を受けた児童の保護のための措置等を定めることにより、児童の権利を擁護することを目的とする。

第三条 この法律の適用に当たっては、学術研究、文化芸術活動、報道等に関する国民の権利及び自由を不当に侵害しないように留意し、児童に対する性的搾取及び性的虐待から児童を保護しその権利を擁護するとの本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。(平成26年改正)

さすがに、高裁の様に社会的法益を正面から出すのは不可能と考えたのだろうか、最高裁はこの点についての言及はなかった。

ただ、山口裁判官の補足意見が述べられている。

児童ポルノ法7条が規制する児童ポルノの製造行為は,児童の心身に有害な影響を与えるものとして処罰の対象とされているものであるが,実在する児童の性的な姿態を記録化すること自体が性的搾取であるのみならず,このように記録化された性的な姿態が他人の目にさらされることによって,更なる性的搾取が生じ得ることとなる。児童ポルノ製造罪は,このような性的搾取の対象とされないという利益の侵害を処罰の直接の根拠としており,上記利益は,描写された児童本人が児童である間にだけ認められるものではなく,本人がたとえ18歳になったとしても,引き続き,同等の保護に値するものである。児童ポルノ法は,このような利益を現実に侵害する児童ポルノの製造行為を処罰の対象とすること等を通じて,児童の権利の擁護を図ろうとするものである。

要するに、児童ポルノ禁止法は児童からの性的搾取を処罰の根拠としている、本人がたとえ18才になっても、(児童からの性的搾取ではないが)同等の保護に値するべきである。よって、法律が直接規定していなくても、法律が処罰の対象にしていると解するというロジックである。

一件わかったようなロジックであるが、それは、本来の法益法益に該当しないものを、同等の保護に値するという理由で処罰の対象とするものである。結局のところ、社会的法益を保護法益としたことと変わり無く、児童ポルノ禁止法を、ノンリベンジポルノ禁止法、へんな性欲禁止法に魔改造したに等しい。

平成26年改正では、付帯決議で、わざわざ「児童を性的搾取及び性的虐待から守るという法律の趣旨を踏まえた運用を行うこと 」と決議されているのであるが、山口裁判官はご理解されておられないか、理解して無視したようである。しかし、最高裁の役隈は、立法府の立法意思を無視して法を拡大解釈することではないはずである。

というより、このような愚かな補足意見といい、大崎事件のトンデモ決定といい、あれが、刑法学者として輝かしい経歴をお持ちの山口厚先生とは思いがたい。

おそらく、山口厚先生のそっくりさんであろう。

 

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2020/04/24

遠山大輔弁護士の言うことには全て意味がある

季刊刑事弁護という雑誌をご存じだろうか。

刑事弁護人による刑事弁護人のための雑誌である。

なんちゃって弁護人の私には立ち入ることも許されないガチホモな世界である。

その季刊刑事弁護の102号の「この弁護士に聞く」シリーズに遠山大輔弁護士のインタビューが掲載されていた。

遠山弁護士というと、京都の刑事弁護を背負っていると評判の人物である。

彼は、かつてWinny弁護団の一員であった。あの膨大な証拠をすべてキチンと目を通したのは私と彼だけだと思う。

彼は、弁護士2年目のときに秋田弁護士と一緒に仕事をしたいということでWinny弁護団に加わり、弁護団内秋田ファンクラブを結成し、現在も秋田弁護士の伝説の尋問の語り部となっている。

伝説の尋問がなにかって?もちろん小説に書いているので一読いただきたい。

季刊刑事弁護にも伝説の尋問のことが触れられていた。

印象に残る事件は、Winny事件と舞鶴事件です。Winny事件は、私を本当に育ててもらった事件です。私が3年目の頃に声を掛けていただきました。(中略)たとえば、秋田弁護士の反対尋問は、同じ記録を読んでいるのに私にはできないと思うわけですよ。これは何回でも言いますけど、本当に信用性が音を立てて崩れる瞬間を、私は見たわけですよ。ガラガラと耳の中で音が聞こえたくらい崩れた。これが反対尋問かと。

当時まだつぶらだった遠山弁護士の瞳には、その直後に私が担当した尋問のことは、一切映っていなかったのであろう。

ところで、「私が3年目の頃に声を掛けていただき」。。。。?

遠山弁護士は、修習55期、2002年10月弁護士登録である。Winny事件の第1回公判が2004年9月1日で、その頃には弁護団に加わってた。とすると印象に残ると言った直後に2年目を3年目とボケをカマしていることになる。

というわけで、

「あの弁護士の言うことは全て意味がある」と思わせる刑事弁護

やっぱり、何か意味があってのことに違い無い。

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2019/10/04

民事尋問戦略(広告)

先ほどまこつこと中村弁護士が当事務所にお越しになって、御著書を寄贈いただきました。

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アドリブは相変わらずだけど、画力の向上著しい画伯渾身の一コママンガ集と付録の尋問解説。

過度の批判はお控えくださいとのことです。

 

 

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2019/09/01

eスポーツの法律問題Q&A

私も末席に名を連ねているeスポーツの法律問題Q&Aが発刊されることとなった。

 

 

 

eスポーツに関わる人の為に、大会運営者、団体、プレイヤー等のステークホルダー毎の視点から書いたもので、おそらく、eスポーツにフォーカスした法律書は日本初だと思う。

eスポーツをどのように捉えるべきかは、未だ定まったところではなく、スポーツに寄せて考える者、エンターテイメントの1分野と捉える者、結構、いろいろな考えがあったが、ある程度は集約出来たと思う。

というわけで、ご賞味ください。

 

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