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2005年5月30日

2005/05/30

著作隣接権と著作権

氷室京介のライブを隠し撮りした映像をDVD-Rで販売したとして、逮捕されたらしい。

事件

個人的に注目しているのは、著作隣接権侵害で逮捕ということである。

著作隣接権といっても、この場合は、実演者の権利を侵害したということだろう。
著作権法では、実演者は著作権者並の権利が保障されている。
このあたり、一般には、ちょっとややこしい。

で、本件については、氷室氏の顔写真を隠し撮りしたときは、民事上はともかく、刑事処罰となる可能性は低い。(但し、氷室氏の衣装やメークが著作物だとか言い出したらややこしい)
音声抜きの動画でも、著作権性が否定される可能性が高い。(これも、言い出したらややこしい)
ところが、音声がついた場合、コンサートはつまんない言い方をすれば、歌の上演会なので、これは上演家の権利を侵害することになる。

ところで、歌の部分に着目して欲しい。
氷室氏の歌が著作物であることには争いが無いだろう。歌詞もおそらく著作物であろう。
とすると、歌の部分を録音販売すれば、画像無しでも、著作権侵害である。

これは、権利主体が異なるからなのだが、
歌がなければ刑事的にはおとがめ無しで、歌があれば著作権侵害にも著作隣接権侵害にもなる。
ややこしい法律だなぁ。そう考えるのは、私だけだろうか。

追記
トラバをみて、さすがにはしょりすぎたと思ったのでちょっと解説を付ける。
画像の著作物性について、画像には舞台が映っているだろうが、舞台装置に創作性がある場合は著作物になりそうである。
しかし、一般のロックコンサートで著作物性が認められるような、独創性があるようなものはない。
氷室氏の踊りが著作物だという考えもあるが、ダンスは創作性が認められる場合は著作物に該当する。
ただ、著作物性が認められる程の創作性は、一般にロック歌手の振り付け程度にはない。
簡単に認めたら、日本のロック歌手はエルビスプレスリーの遺族から訴えられるかもしれないのである。

では、仮に著作物として、この場合の著作権者は誰だ?という話になる。
舞台の場合は舞台の演出を決めた人がだれかという話になるだろうし、一般には踊りを決めるのは振り付け師なので、著作権者は振り付け師ということになる。(ダンスに関して地裁判例があるが、これを言い出すとややこしすぎるので割愛)
そして、踊りに関しては、氷室氏は機械的に動くのではなく独自の創作があるだろうから著作権者になるかもしれないし、また、実演しているので著作隣接権があるということになるだろう。
ややこしいと言ったのはそういうことなのである。

しかし、振り付けに著作権が簡単に認められると、マツケンサンバを宴会のカラオケで振り付きで踊っているおじさん達がおひねりをもらった場合、真島茂樹氏に「マツケンサンバ トゥ」とか言って告訴されたら、刑事罰にもなりかねないのである。
それは、さすがにご勘弁である。

さらに追記
寝ようとしたら、トラバで面白い問題提起が来てしまったので、目をこすりながら追記である。

ただ、振りのない単なるカラオケでも、おひねりはあるように思われる。
そういうことからすれば、歌の場合には違法といってもいいけど、振りの場合は違法となるのはおかしい、
という価値判断があるからなのだろうか。

~from 言いたい放題~I say what I wanna say~

わざわざ、カラオケを選んだのには意味があって、カラオケの場合は歌うことについては、著作権上の承諾の処理が出来ているからなのである。カラオケ業者や客が許諾料を払っている限りは、他の客が聞いていても著作権侵害となることは、まず、無いだろう。
しかし、某団体はあくまでも音楽についての許諾をするところである。振り付けについては許諾をする団体の名前を聞いたことはないので、著作物であるならば個々に許諾をとらなければならないのである。ややこしいので、あえて解説をしなかったのだが。。。

同じくアニメやドラマ、映画の(有名な)セリフを使ったモノマネ。
これは、著作権侵害か?これだけだと著作物性がないと考えるのか?

~from 言いたい放題~I say what I wanna say~

これは、小説の一文や映画の台詞などについて、著作物性が認められるかという古くからの論点である。
実は、かなり難しいところであり、具体例では学者によっても意見が分かれるところであったりする。
ただ、 「著作権法概説」(有斐閣 田村善之著)では、認めない方法で考えているところであり、私も原則としては賛成である。
しかし、実は、文章は短くてインパクトのあるものほど、芸術性が高いことが多いのである。
このあたりも、著作権法の難しさであったりする。

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