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2005年10月12日

2005/10/12

ラジオの取材をうけた。

突然、事務所に電話がかかってきた。

「昔の映画をDVDで廉価販売してる業者って、問題無いんですか?」という話であった。

前提知識であるが、映画は俳優の上演権、作曲家の音楽著作権、脚本家の著作権、カメラマンの写真著作権等が2次、3次著作物になった、いわば権利のちゃんこ鍋と言うべき存在なのである。
この点著作権者は、映画については特別の規定を設けている。
具体的には、映画制作者に著作権が集中するようにしており(29条)、また、映画著作権が切れた場合には原著作権も消滅するようにしている(54条2項)。(平成15年改正)
もう一つ前提知識であるが、著作権法の存続期間は平成15年に50年から70年に延長されている(54条1項)。

ちなみに施行関係は恐ろしくややこしい。
権利が制作者に集中するという著作権法規定については、昭和46年の著作権法施行前の映画著作物には適用がない(46年附則第5条)。

次に、70年の保護期間は平成16年1月1日以前に著作権が切れた著作物については適用がない(平成15年附則2条)。
すると、2003年12月31日に50年を迎えた映画著作権つまり、1953(昭和28年?)年12月31日以前に発表された作品(保護期間の計算は57条)は著作権切れということになる。昭和29年以降に公表された映画は著作権が保護される事になる。

ちなみに昭和28年に公表された映画はこのとおりである。(わざわざリンクを張ったのは、読売オンライン事件をふまえた小ネタである)
そして、昭和29年に公表された映画はこのとおりである。
このリンクが正しければ、映画「君の名」は、1部2部は著作権フリーで3部は著作権フリーでないことになる。

しかも、権利保護期間については施行前に発表された映画については適用がないが、原著作権の消滅時期については映画著作権の消滅時期にするという適用がある。(平成15年附則3条)

これによって、映画については、保護期間があるものの、原著作権の消滅と著作権が映画制作者に帰属する規定のおかげで、映画著作権の権利消滅を待つのもよし、映画制作者から許諾をもらえば著作権の処理も出来て制作に関わったもの全員から許諾をとらなければ著作権侵害という事態は無くなった。

これによって一見映画著作権というのは分かりやすそうに思える。しかし、そうではない。

そもそも前提となっている映画著作物というものが何か明確ではないのである。映画とは映画会社が配給するものだけでないのである。テレビゲームも映画著作物と認定していたりする判決がある。映画著作物と認定されるかどうかは微妙なものがあって、裁判してみないとわからないところがある。つまり、自分に著作権があると思っている音楽担当者は、作品が映画著作物と認定された瞬間権利行使の時期・範囲が大きく変わるのである。
ドラクエのすぎやまこういち氏はどうなるのだろうか?

そして、映画著作物と認められたとしよう。この場合、映画制作者から許諾をもらえば自由に販売できるのか?答えはノーである。

映画著作物の規定はあくまでも、著作権の処理である。パブリシティや肖像権などの権利にはノータッチなのである。つまり、映画のDVDを販売する場合には、俳優さんを捜し出して、許諾をとらなければ損害賠償請求や差し止めをされかねない。だいたい、パブリシティなんていつまで保護されるのか明確でないのである。

裁判所は、いろいろな権利を作り出してきた。しかし、利用する側や消費者の事を考えていたとは言い難い。
こんなのをラジオで説明できるわけがない。当然しゃべりはカミカミであった。。。。

こんな記事読んで理解できる人って何人くらいいるんだろう。

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