読売オンライン事件判決
判決文が最高裁のHPに記載されていた。
この判決、見たところどっちが勝ちか良く分からないという感じである。
記事の著作物性については、「一般に,ニュース報道における記事見出しは,報道対象となる出来事等の内容を簡潔な表現で正確に読者に伝えるという性質から導かれる制約があるほか,使用し得る字数にもおのずと限界があることなどにも起因して,表現の選択の幅は広いとはいい難く,創作性を発揮する余地が比較的少ないことは否定し難いところであり,著作物性が肯定されることは必ずしも容易ではないものと考えられる。」としている。
つまり、著作物となる場合が無いとは言わないが難しいということである。
実際に著作物性については全部否定している。
新聞社側も途中からは創作性をちゃんと主張していなかったことが窺われる。
つぎに驚くことに、不正競争防止法の模倣行為であるという主張もしていた。
これについては「商品の形態」とは「需要者が通常の用法に従った使用に際して知覚によって認識することができる商品の外部及び内部の形状並びにその形状に結合した模様,色彩,光沢及び質感」であるとして、一蹴している。
不法行為については
「営利の目的をもって,かつ,反復継続して,しかも,YOL見出しが作成されて間もないいわば情報の鮮度が高い時期に,YOL見出し及びYOL記事に依拠して,特段の労力を要することもなくこれらをデッドコピーないし実質的にデッドコピーしてLTリンク見出しを作成し,これらを自らのホームページ上のLT表示部分のみならず,2万サイト程度にも及ぶ設置登録ユーザのホームページ上のLT表示部分に表示させるなど,実質的にLTリンク見出しを配信しているものであって,このようなライントピックスサービスが控訴人のYOL見出しに関する業務と競合する面があることも否定できないものである。」
としている。
つまり、①営利性、②反復継続性、③作成されて間もなく、特段の労力を要することないこと、④自分のサイト以外に他のサイトにも表示させている。⑤YOLの見出しに関する業務と競合する面がある。と言うファクターを挙げている。
このうち注目するべきは、①営利性、⑤業務競合性と思われる。
そして、とりあえず不法行為は成立を認められたようであるが、損害についての立証はことごとく失敗している。
結局民訴法248条の趣旨に徴しということで、侵害期間1ヶ月あたり1万円と判断している。
民訴法248条の解説は今回は省略するが、これは裏返して言えば、1ヶ月あたり1万円の使用料で、YOLの見出しを使い放題というようにも読めなくない。
どっちが勝ちか良く分からないというのは、そういう理由である。
私の考えは前の記事で記載したとおりである。
で、この記事で判例解説をしたことで、前に間違った報道を信用したことのお詫びに代えたい。
| 固定リンク
| トラックバック (1)