資源開発
先日から、記事にするほど考えがまとまらなかったのである。
少年事件について、書かれたブログがある。
ここで紹介するとえてして迷惑がかかりがちなので、ここではURLは教えない。
ブログに興味がある方は他で調べて欲しい。
そこでは、少年事件に関わって来た裁判官の立場からいろいろと意見が述べられている。
記事には、裁判官ドグマと思われる記載も散見されるが、付添人(そもそも、家庭裁判所では、弁護人とは言わないのである。)に対して、「少年の資源を確保・開拓して欲しい」と言っている部分は非常に印象が残った。これは、まさにそのとおりと思う。
念のために、資源開発と言っても、私が少年と炭坑に行って石炭を掘るわけではない。平たくいえば、再起更正のための環境を作って欲しいということである。
少年事件は、少年の再起更正を主たる目的としている。少年の多くは家庭に問題を抱えていることが多い。少年自身が行く先に不安を持っていることも多い。要するに少年を取り巻く環境で何が原因なのかを自分なりに突き止め改善しなくてはならないのである。
少年と時間をかけて話をするなかで少年の悩みが見えてくる場合もある。
自分が取り扱った事件からの経験でいうと、少年事件の本質は、子供の更正というよりも、親の更正というのが正しい気がする。実際に、それまで少年院に2回行った少年の事件では、子離れ出来ていない親が心機一転して、子供に住み込みの仕事を見つけてきて、保護観察処分になったこともあった。このときは調査官にも恵まれていた。ただ、実際は、うまくいく事件はむしろまれである。私自身、少年に騙されたこともある。
少年事件は労多く、費用的にも割に合わないものである。これから、ロースクール時代を迎えて、これらの事件はどうなっていくのだろうか。すこし心配ではある。弁護士の資源開発も必要かもしれない。
さて、ここまでは、少年事件の話を取り上げたのであるが、資源確保が必要なのはべつに少年だけに限ったことではない。
私は、成人の刑事事件で、罪の成立自体は争ってなくて結論が見えている事件では、尋問で被告人や情状証人を怒り飛ばすこともある。それでも弁護人か?と言われるかもしれないが、そうではない。そうやって、再び犯罪に手を染めないようにしているのである。もちろん、他の方法も使うことがある。
そして、少年事件は少年の再起更正を目的とする場所であるが、そこには、犯罪被害者というもう一つの問題がある。少年は再起させるべきであるが、被害者の立場を無視した再起は許さるべきではない。これは、近年大きく取り上げられている問題であるが、私自身、かつてはサイバー法よりも犯罪被害者関係が専門と思われていた時期があったにもかかわらず、これといった意見を述べることができない。あえて言うと、少年もいろいろ、被害者もいろいろ、それをとらえる人々の感覚もいろいろで、一律の基準を作るのはあまりにも難しい。
で、2年ほど前、ある少年犯罪被害者の集会に呼ばれて行く機会があった。その打ち上げである学生さんが私に一言「先生は○○さんとどこで知り合われたんですか?」私、一応、その事件の弁護団入ってまして、一応一番証人尋問の担当回数多かったんですが。。。。
今は昔のようである。
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