記者会見に思うこと
重大事件の場合、まず、マスコミから「記者会見しろ」と言われる。
しかし、記者会見をしたところで、警察の代理人みたいな質問を浴びるだけで、こちらの言ったことが記事になることはまれである。
弁護人は、あくまでも被疑者を弁護することが仕事である。裁判に備えるのが仕事である。マスコミに記者会見をしたからと言って情状面で考慮される事は考えにくい。(どこかのテレビ局の記者は、記者会見したら執行猶予になるとでまかせを言って取材要請をしているみたいであるが…)
尋問に獲得目標があるように、記者会見にも目標を設定しなくてはならないのである。
おそらく、家族へ取材させないことへの代償に弁護士が記者会見をすると言うことになっているのであろう。
畠山容疑者が彩香さんの殺害も認める供述を始めたとされることについて、「本人が『今はまだ(公表を)待ってほしい』と言っている。その理由も言えない」と述べ、コメントを一切しなかった。
執拗に食い下がる記者とのやりとりはは何となく目に浮かぶようである。ただ、この一言は、フリーのジャーナリストの特ダネ意欲を煽るような気がした。記者は、なにも、司法記者クラブだけではないのである。かといって、何も言わないと、司法記者クラブも我慢しない。
とにもかくにも、弁護士のマスコミ対応は大変である。頑張っていただきたい。
「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会最終報告書案」に対する意見募集
「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会最終報告書案」に対する意見募集ということで、総務省がパブリックコメントを募集している。
締め切りは21日なので、急ぐしかない。
私としては、発信者情報開示請求というのは、匿名の侵害によって損害を被った者にとって、唯一の責任追及の手段であることは重視されたいと思っている。そもそも、ややこしい発信者開示手続を経て、発信者を特定してもようやく訴訟の舞台に立てるだけで、侵害発言をした者の不合理な否認と戦ったり、執行に着手するのはそれからなのである。もし、発信者情報開示が出来なければ、訴訟すら出来ずに被害者は泣き寝入りしかない。今も泣き寝入りを余儀なくされている被害者が数多くいる。そのためにも、発信者情報開示はもっと活用されなければならないのである。現状の制度を見ると、あまりに、侵害者の権利を尊重しすぎに思える。
この報告書では、IPアドレスの開示の仮処分では遠方にある裁判所に数回足を運ばなければならないことや、現状では発信者の住所や氏名を開示させる発信者情報開示の仮処分が認められていないことや、発信者情報開示請求の裁判になっても裁判所が「IT詳しくないんですよねぇ」とか言い出して判決まで1年くらいかかる場合があることや、発信者を特定しても日本の低い賠償額だと費用倒れになりがちであって依頼者があきらめていること等、発信者情報開示制度自体が、現在の実務からみて使いにくい制度であることは全く顧みられていない。
総務省の研究会に、被害救済の意識がまったく見受けられなかったのは残念である。
「特に法律の専門家がいない小規模なプロバイダにおいては、このような判断は困難であるため、仮に
請求が要件を満たしているとしても、判断が難しいことを理由に開示を行わないことが、発信者情報開示手続の円滑な運用の妨げの一因となっていることが考えられる。」
その他の原因について、「民事保全制度の未活用」「発信者情報開示請求の対象となる事業者の特定の困難性」等があげられている。
まるで、プロバイダや弁護士の先生の知識が無いからですね。と言わんばかりの報告書である。正直腹が立った。
大阪大学ロイヤリング
13日は、昼間から大阪大学の法学部のロイヤリングでIT法の講義をして、夜はロースクール生対象の答連の講評をするという大学漬けの一日であった。
ロイヤリングというのは、各分野の法曹実務家が自分の専門を語るというものである。私としては、堅苦しいことばかりだったらつまらないかなということで、90分間退屈させないことを目標に講義をすることにしている。
このロイヤリング、感想を生徒が書いて提出することになっているのである。見てみた。去年はあまりにありきたりな感想に閉口したのであるが、今回は面白かったので、ちょっと、紹介とお返事を書いておく。
「冗談をまじえながら、スベることも恐れず」…実力不足だ。すまん。
「やる気があるようなない様な語り口」…えぇ、これが私ですから。
「壇先生の問題が試験にでたら、必ず選択して、おもしろい回答したいと思います」…採点に悩むので勘弁してください。
弁護人とは?
弁護士に対して良くある質問に、「どうして悪い人を弁護するのか?」がある。私は、「テレビや新聞では報じられないことが、実際の事件にはあるから」と言うようにしている。
一つとして同じ事件はない。被告人もそれぞれである。中には自分も同じ立場だったらどうなっていたか解らないと思う人もいる。無実の罪に問われている人もいる。事情を考えずに「悪人」と聞かれても答えようがないのである。
私的には、殺人などの世間で凶悪犯と言われている犯罪は、弁護人として主張してあげるべき事項も多いような気がする。一般的に重大な犯罪を行うには、それだけ重大な事情があるからである。
昨日は、元被告人と酒を飲み交わしていた。彼は、刑務所で服役してから仕事を見つけてがんばっている。アクリル板の間柄からテーブルと日本酒の間柄になった事はとてもうれしいことである。それまでアクリル板の向こうでしか会ったことのない彼は、思っていたよりも小柄で、すこし年をとったように思えた。彼はいろんな事を話してくれた。事件のこと、刑務所での生活のこと、仕事のこと、大きくなった孫のこと、独身の私に対して40才くらいに結婚したら良いとアドバイスまでしてくれた。事件を担当している間は被告人であるが、事件が終われば1人の人生の先輩である。
彼が「事件でいろいろあったけど、先生と知り合えたことだけが良かった事かもしれない。」と言ったとき、不覚にも涙が出そうになった。私は、弁護士という仕事の魅力は事件を通じて人の人生に何かできるかもしれないからだと思っている。彼の一言は、私にとって最大の喜びである。弁護士という仕事に就けたことに感謝している。
それにしても本当に40才で大丈夫ですかね。
43万アクセス
気づいたら40万アクセスを超えていた。
ブログ開設からもうすぐ2年になろうとしている。
ブログ開設当初から一貫した感想は、ブログというのは正直なところめんどくさいというのが一番である。しかし、弁護士からの情報発信の必要性はヒシヒシ感じているし、ブログを楽しみにしているという声を聞くとそれなりうれしいものである。
というわけで、まったりと続けていくので今後ともよろしく。
第24回公判
今日は論告であった。求刑は懲役1年であった。
しかし、検察官の一方的な主張に説得力は感じられなかった。
検察によると、Winnyを作るのは模倣性が高いらしい。「だったら、検察官作ってみろや!」と思ったのは私だけだろうか?
で、本件のようなソフトの開発・提供はどういう場合に罪になるのか?という点についての検察の見解が解ると思っていたのだが、結局解らずじまいであった。と言うわけで、この点の質問を私に聞かれても困るのであしからず。
そして、来た人しか解らない今日の一言
「アルファー版、しらない人には完成版」
追記
金子さんが、懲役一年の実刑になったのみたよといってくる人がいた。
論告というのは、単なる検察の意見で、論告=判決ではないのであしからず。
ニュースの報道を見た。いいように編集されないようにとしゃべり方は工夫したつもりだったのだが、なかなか難しいところである。同期の弁護士からは「話し終わったら口をあけちゃだめ」と指摘されてしまった。やはり、テレビは難しい。
第24回公判のお知らせ
平成18年7月3日に、第24回公判が行われる。
検察の論告が予定されていて、マスコミが結構騒がしい。
金子氏に取材希望の声もかなりある。
しかし、弁護団としては、検察が主張を言うだけの場と理解している。検察の主張の彩りのために金子氏のコメントを使わせるつもりはない。よって、特に何もする気はないのであしからず。
一般的には、マスコミは、検察側の論告(というよりも求刑)を報道して、弁護側の弁論にはほとんど見向きもしない傾向にある。これには、ちょっと辟易しているところである。




