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2006/07/17

「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会最終報告書案」に対する意見募集

「インターネット上の違法・有害情報への対応に関する研究会最終報告書案」に対する意見募集ということで、総務省がパブリックコメントを募集している。

締め切りは21日なので、急ぐしかない。

私としては、発信者情報開示請求というのは、匿名の侵害によって損害を被った者にとって、唯一の責任追及の手段であることは重視されたいと思っている。そもそも、ややこしい発信者開示手続を経て、発信者を特定してもようやく訴訟の舞台に立てるだけで、侵害発言をした者の不合理な否認と戦ったり、執行に着手するのはそれからなのである。もし、発信者情報開示が出来なければ、訴訟すら出来ずに被害者は泣き寝入りしかない。今も泣き寝入りを余儀なくされている被害者が数多くいる。そのためにも、発信者情報開示はもっと活用されなければならないのである。現状の制度を見ると、あまりに、侵害者の権利を尊重しすぎに思える。

この報告書では、IPアドレスの開示の仮処分では遠方にある裁判所に数回足を運ばなければならないことや、現状では発信者の住所や氏名を開示させる発信者情報開示の仮処分が認められていないことや、発信者情報開示請求の裁判になっても裁判所が「IT詳しくないんですよねぇ」とか言い出して判決まで1年くらいかかる場合があることや、発信者を特定しても日本の低い賠償額だと費用倒れになりがちであって依頼者があきらめていること等、発信者情報開示制度自体が、現在の実務からみて使いにくい制度であることは全く顧みられていない。

総務省の研究会に、被害救済の意識がまったく見受けられなかったのは残念である。

「特に法律の専門家がいない小規模なプロバイダにおいては、このような判断は困難であるため、仮に
請求が要件を満たしているとしても、判断が難しいことを理由に開示を行わないことが、発信者情報開示手続の円滑な運用の妨げの一因となっていることが考えられる。」

その他の原因について、「民事保全制度の未活用」「発信者情報開示請求の対象となる事業者の特定の困難性」等があげられている。

まるで、プロバイダや弁護士の先生の知識が無いからですね。と言わんばかりの報告書である。正直腹が立った。

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 被害者の立場から見ると、発信者情報を開示してもらえないということは、インターネ [続きを読む]

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