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2006年12月16日

2006/12/16

著作権法改正

政府は9日、インターネットの検索サービスに使うサーバーコンピューターを国内に設置できるようにするため、著作権法を改正する方針を固めたという報道を見た。

検索システムはホームページのデータをサーバに保存していることがあるが、これは、複製権侵害に該当する。検索エンジンを合法化するために法律の方を改正するというのだ。

私はこれ自体はとても賛成である。著作権法は時代にあわせて変革すべきなのである。

ちなみに、現在は海外にサーバをおいているということであるが、刑事責任との関係で言えば、実行行為の一部を日本で行っていればサーバが海外であっても違法である。インターネットカジノなどはその法理によって全部違法となるのも同じ理屈である。つまり、現行法ではかなりアウトなはずである。

ビジネスとして有用であることが周知されれば法律が変わる。それまでは犯罪者。この国の法律は技術者に火中の栗を拾わせることを予定しているのであろうか。それが、この国の司法制度とすれば残念である。

(追記)参照されていたので、ほぼその人のために詳しく書くことにする。誤弊のある記載も訂正した。

問題は二つある。一つは著作権法違反は日本人の国外犯処罰規定があるということである。
刑法施行例第二十七条  左ニ記載シタル罪ハ刑法第三条ノ例ニ従フ
  一  著作権法 ニ掲ケタル罪

刑法第三条  この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯した日本国民に適用する。

これだけだとアウトなのだが、著作権にはベルヌ条約がある。

ベルヌ条約第5条2項「保護の範囲及び著作者の権利を保全するため著作者に保障される救済の方法は、この条約の規定によるほか、専ら、保護が要求される同盟国の法令の定めるところによる。」

これは著作物を利用した国の法律を準拠法にするという考えが有力である(保護国法説)、この考えによると外国において著作権侵害になるかは当該外国法によって判断されることになる。

すると、たとえばアメリカにサーバがあった場合、アメリカではフェアユースで適法なのに日本にフェアユースがないので適法ではない場合も考えられる。すると、日本人は罪に問われるのか?これは、私にもわからない。著作権法と刑法と条約の関係など誰も考えていないのではないか?

もう一つの問題は、そもそも日本で行為を行っているのではないかという考えである。

平成11年3月19日大阪地裁判決は、海外のサーバにわいせつ画像を日本からアップロードした場合について、わいせつ図画公然陳列罪が成立するとしたものである。(ちなみに、この判決はサーバがわいせつ図画というのが問題と思うのだが、ここではふれない)

場所的適用範囲について「犯罪構成要件の実行行為の一部が日本国内で行われ、あるいは犯罪構成要件の一部である結果が日本国内で発生した場合には、我が国の刑法典を適用しうると解すべき」として、サーバににアップロードした行為は「たとえ同コンピューターのディスクアレイの所在場所が日本国外であったとしても、それ自体として刑法一七五条が保護法益とする我が国の健全な性秩序ないし性風俗等を侵害する現実的、具体的危険性を有する行為であって、わいせつ図画公然陳列罪の実行行為の重要部分に他ならないといえる」としている。

従前の感覚からいうと実行行為は公開行為なので、公開場所が海外であれば処罰できないとも考えれるが、裁判所はサーバに保存した行為を実行行為ととらえることで、実行行為が国内にあるとしたのである。

この法理を適用すると、キャッシュサーバ自体が海外でも、検索エンジンが日本人に向けて提供されていることや、日本国内から管理している等の状況があれば複製行為は国内で行われているという可能性が高いと言うわけである。かなりアウトというのはそういう理由である。


以上、わかる人にしかわからない解説であった。

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