« November 2006 | Main | January 2007 »

著作権法改正

来年は、著作権法の罰則が強化される。

○ 著作権侵害等に係る罰則の強化
<個人罰則>
・ 懲役刑: 5年以下から10年以下 1億5,000万円以下から3億円以下
・ 罰金刑: 500万円以下から1,000万円以下

10年以下の懲役の参考に特許法と刑法犯をいろいろあげておく。
法定刑で比べると、著作権法違反の刑の上限は、強制わいせつや建造物以外の放火と同様である。

また、特許侵害よりも法定刑が重いのである。特許というのは比較的保護される範囲がきっちり決まっており、手厚い保護を受けるのは分かる。しかし、著作権は、特許や商標や意匠で設けられている登録制度すらない。許諾をとろうにも誰が権利者かすら分からないような権利である。しかし、著作権の保護期間は長く、刑事罰は非常に厳しい。何をもって著作物とするかすらはっきりしないにもかかわらず。

さらに、厳罰化は、正犯を処罰することはともかく、幇助犯の上限まであがるのである。しかも、著作権法では極めて簡単に幇助が成立しかねないような状況になっている(それは、おまえのせいだろうが!というつっこみはとりあえずおいておいてほしい)。
幇助は必要減軽なので5年以下の懲役となる。これでは、横領とや背任と変わらない。傷害の場合は、現場助勢という規定があり、正犯を助けたような場合でも非常に軽い処罰となっているが、著作権では傷害で現場助成となるような行為はもちろん幇助になるだろうし、傷害では現場助勢にすら該当しない場合でも幇助とされることになりかねない。

これは、著作権制度としてバランスのとれているといえるのであろうか?すくなくとも幇助の無限定な解釈を止めるような立法をすべきではないか?

著作権法というのは、権利の保護と同時に、どうやって利用して文化の発展へとつなげるかを考えなくてはならない。しかし、実際の立法は、著作権=既得権益の保護という観点が多くを占めている。

著作物とは芸術であるならば、芸術はそれ自体が公開を求めているのではないだろうか?著作物は、公開され、評価されるなかで命を得、新たな創造を生み出していくのではないか?。だから、人に伝えられるのは著作物の本質なのではないか?そういう本質を認めたうえで、創作者に利益が生み出される制度が必要とされているのではないだろうか?と私は考えるようになっている。

以下参考

(建造物等以外放火)
第110条 放火して、前2条に規定する物以外の物を焼損し、よって公共の危険を生じさせた者は、1年以上10年以下の懲役に処する。

(強制わいせつ)
第176条 13歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

(傷害)第204条 人の身体を傷害した者は、15年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
(現場助勢)第206条 前2条の犯罪が行われるに当たり、現場において勢いを助けた者は、自ら人を傷害しなくても、1年以下の懲役又は10万円以下の罰金若しくは科料に処する。

(営利目的等略取及び誘拐)
第225条 営利、わいせつ、結婚又は生命若しくは身体に対する加害の目的で、人を略取し、又は誘拐した者は、1年以上10年以下の懲役に処する。

(窃盗)
第235条 他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

(背任)
第247条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

特許法
(侵害の罪)
第百九十六条  特許権又は専用実施権を侵害した者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。

(横領)
第252条 自己の占有する他人の物を横領した者は、5年以下の懲役に処する。

| | Comments (0) | TrackBack (1)

同意なしで開示へ

業界団体は新たなガイドライン(指針)を年明けに作り、来春から導入するらしい。

ホントお願いします。

発信者情報開示が問題となっている事案のほとんどは、「誰が見ても権利侵害だろ?」というようなものである。そんなものまで一律に裁判でやれではなく、柔軟な対応をした方が健全なネット社会になると思うのである。

いわゆる匿名の卑怯者を排除すること自体は賛成である。

ただ、制度だけが整備されても、結局は使う側の弁護士が使わなければ意味がない。また、ネットから卑怯者を排除する義務は弁護士だけではない。ユーザーにも義務がある。費用倒れだといって簡単に泣き寝入りしてないだろうか?逆に無理な訴訟を繰り返して制度を台無しにしてしまわないだろうか?

本当にITを専門とする弁護士が増えるとうれしい。

大阪の電問研では、結構ノウハウ開示してるんですけどねぇ…。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

ネットカジノに実刑判決

京都のインターネットカフェで海外サーバーを利用した常習賭博罪が問われた事件で、判決があったようである。

海外にサーバがあるタイプのネットカフェであるが、店と客の間での賭博と認定したようである。
海外にサーバがあっても換金を日本でしていれば犯罪地が日本と認定されるのは自然であろう。

私は、ITということで(ほんとは関係ないのだが)何度かこの手の合法的にカジノを開く方法を相談をされたことがある。しかし、私の答えはいつも「無理!」である。

今回判決が出たということで紹介しておくので、もう、この手の相談は勘弁である。

ITをより良い方向で使う相談は大歓迎である。

| | TrackBack (0)

検察官控訴

Winny事件地裁判決であるが、検察官も控訴したようである。

第2ラウンドもガチンコである。

| | TrackBack (0)

事件の論評

Winny事件の論評がいろいろあるようである。
その多くは、とるに足りないようなものであるが、

小倉先生の論評を見た。

小倉弁護士は、ハイブリッド型ファイル共有ソフトファイルローグ事件の被告代理人として著名である。法的な切り口は概ね参考になる。

>送信可能化行為者の匿名性を高める機能をそのP2Pファイル共有プログラムに付して提供した。
わざわざ匿名機能を付与したのではなく、キャッシュ型ファイル共有(プロキシ型と言った方が良いかもしれない)には、それ自体匿名機能があるというのが正しいのであるが…。

>ただ、幇助の相手方が特定人であることを要するかについて触れた文献は目にしたことがないです。
「幇助の相手方は特定した者であることを要する」(大谷・新版刑法講義総論469頁)…。

>WinMXなどのピュア型P2Pファイル共有ソフト
原則はハイブリッド型とは思うのだが…。

>金子さんも技術顧問として関与して開発した「SkeedCast」が1つの答えでしょう。
あれはファイル共有ソフトではないのだが…。

以上は、おそらく、インタビューアーが聞き間違えたということで。

| | TrackBack (0)

著作権法改正

政府は9日、インターネットの検索サービスに使うサーバーコンピューターを国内に設置できるようにするため、著作権法を改正する方針を固めたという報道を見た。

検索システムはホームページのデータをサーバに保存していることがあるが、これは、複製権侵害に該当する。検索エンジンを合法化するために法律の方を改正するというのだ。

私はこれ自体はとても賛成である。著作権法は時代にあわせて変革すべきなのである。

ちなみに、現在は海外にサーバをおいているということであるが、刑事責任との関係で言えば、実行行為の一部を日本で行っていればサーバが海外であっても違法である。インターネットカジノなどはその法理によって全部違法となるのも同じ理屈である。つまり、現行法ではかなりアウトなはずである。

ビジネスとして有用であることが周知されれば法律が変わる。それまでは犯罪者。この国の法律は技術者に火中の栗を拾わせることを予定しているのであろうか。それが、この国の司法制度とすれば残念である。

(追記)参照されていたので、ほぼその人のために詳しく書くことにする。誤弊のある記載も訂正した。

問題は二つある。一つは著作権法違反は日本人の国外犯処罰規定があるということである。
刑法施行例第二十七条  左ニ記載シタル罪ハ刑法第三条ノ例ニ従フ
  一  著作権法 ニ掲ケタル罪

刑法第三条  この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯した日本国民に適用する。

これだけだとアウトなのだが、著作権にはベルヌ条約がある。

ベルヌ条約第5条2項「保護の範囲及び著作者の権利を保全するため著作者に保障される救済の方法は、この条約の規定によるほか、専ら、保護が要求される同盟国の法令の定めるところによる。」

これは著作物を利用した国の法律を準拠法にするという考えが有力である(保護国法説)、この考えによると外国において著作権侵害になるかは当該外国法によって判断されることになる。

すると、たとえばアメリカにサーバがあった場合、アメリカではフェアユースで適法なのに日本にフェアユースがないので適法ではない場合も考えられる。すると、日本人は罪に問われるのか?これは、私にもわからない。著作権法と刑法と条約の関係など誰も考えていないのではないか?

もう一つの問題は、そもそも日本で行為を行っているのではないかという考えである。

平成11年3月19日大阪地裁判決は、海外のサーバにわいせつ画像を日本からアップロードした場合について、わいせつ図画公然陳列罪が成立するとしたものである。(ちなみに、この判決はサーバがわいせつ図画というのが問題と思うのだが、ここではふれない)

場所的適用範囲について「犯罪構成要件の実行行為の一部が日本国内で行われ、あるいは犯罪構成要件の一部である結果が日本国内で発生した場合には、我が国の刑法典を適用しうると解すべき」として、サーバににアップロードした行為は「たとえ同コンピューターのディスクアレイの所在場所が日本国外であったとしても、それ自体として刑法一七五条が保護法益とする我が国の健全な性秩序ないし性風俗等を侵害する現実的、具体的危険性を有する行為であって、わいせつ図画公然陳列罪の実行行為の重要部分に他ならないといえる」としている。

従前の感覚からいうと実行行為は公開行為なので、公開場所が海外であれば処罰できないとも考えれるが、裁判所はサーバに保存した行為を実行行為ととらえることで、実行行為が国内にあるとしたのである。

この法理を適用すると、キャッシュサーバ自体が海外でも、検索エンジンが日本人に向けて提供されていることや、日本国内から管理している等の状況があれば複製行為は国内で行われているという可能性が高いと言うわけである。かなりアウトというのはそういう理由である。


以上、わかる人にしかわからない解説であった。

| | TrackBack (3)

金子氏のコメント

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
関係者各位
金子勇著作権違反幇助被疑事件に関して
金   子     勇
平成18年12月13日
私に対する著作権侵害幇助事件について、本日、有罪判決となりました。
Winnyは、将来的に有用な技術です。将来的に評価されるものだと信じています。今回の判決は残念です。
私は、Winnyの公開については「違法なファイルのやりとりをしないでください」と言い続けてきましたし、2ちゃんねるなどの書き込みでも違法なファイルのやりとりをしないようにと言ってきました。私は、これ以上どうやって身の潔白を証明すればいいのでしょうか。
今回の判決は、私自身よりも、多くのソフトウェア技術者が、これから曖昧な「幇助」の可能性に萎縮して、有用な技術開発をできないのではないかと心配しています。それが何よりも残念です。時代は動いているのに。
今回の裁判に対しては控訴して、技術のあり方を世に問うて行きたいと思います。
以上
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


今回の判決は、金子氏がサイバーテロリストなどではないことを認めさせたことが唯一の救いである。
いろいろな人の意見をいろいろなホームページで見た。その多くは、判決の事実認定をろくに理解できていないものであった。曲解や偏見で金子氏を批判するようなことだけは止めていただきたい。

| | Comments (0) | TrackBack (2)

原審判決

今日金子氏に対する判決があった。

罰金150万円

今回の判決は私の実力不足である。支援者の皆様にはお詫び申し上げる次第である。

判決に対しては、即日控訴した。絶対に逆転無罪を勝ち取る覚悟である。これからも支援していただきたい。

私たちは、検察の「被告人が著作権法違反蔓延を意図してWinnyを公開した」というストーリーを打ち破った。Winnyが専ら著作権法違反を助長するソフトであるという主張に対しては「WinnyはP2P技術の一つとして諸分野に応用可能で有意義なものである」という認定を勝ち取った。

さらに、裁判所は、金子氏が、将来的に新しいビジネスモデルができることも期待しつつWinnyを提供したと認定した。

それでなぜ罪になるのだろうか。
これで罪になる国が他にあるのだろうか、この事実認定なら民事責任すら負わないのではないのか。日本の刑事司法はその程度なのだろうか。とても残念である。すでに日本は海外からネットワーク技術を買わねばならない状況になってきているのに。

念のため、刑事裁判は判決書は即日交付されない。欲しいという要請は山ほどあるがお渡しできないのでる。あしからず。

| | TrackBack (5)

YouTube

民放テレビ局や著作権団体など23団体が、YouTubeに対して、著作権侵害ファイルのアップロードを防ぐ具体策を行うよう要請する書面を送付したそうである。

実はyoutubeに対しては「著作権侵害はファイル共有ソフトによって起こったものではない」ということを身をもって実証している存在として注目をしている。

あと、「Winnyを警察に捕まらないで著作権侵害させる目的で公開するわけがない。なぜなら、動くかどうかもわからない新型ファイル共有ソフトなんか作らなくても海外にサーバ立てりゃすむでしょ」と言っているのだが(こういうこと言ったら私が幇助なのか?まぁ総務省の報告書にも海外サーバ問題が書いているからまぁいいか)、youtubeはそういう意味でわかりやすい実例だったりする。

ただ、要求している(1)投稿時に表示される著作権に関する注意書きの日本語化、(2)動画をアップロードするユーザーの住所、氏名の登録、(3)著作権侵害映像を過去にアップロードしたことがあるユーザーのアカウント削除については、なりすましが可能なインターネット環境でどれだけ実効性あるかは謎である。

私は、インフラ提供者に安易に責任を負わせること、特に、よく分からないストーリーをでっちあげてまで逮捕しようとすることに反対なのであって、インターネットが違法行為の場であることは許されないと思っている。ただ、著作権侵害の問題は、技術を押さえてしまえば良いという問題でない。より良い技術、より良いビジネススタイル、よりよい教育。みんなで考えていかなくてはならない。

今回の方法では、インターネット利用者の大多数がユニークに割り当てられたデジタル認証手段を持つような世の中にならない限り、この手の管理は難しいような気がする。しかし、世界はおろか、住基ネットで大反対の日本人ですらそのような世の中を選択するのであろうか?

youtubeの合法性について触れている記事もある。

おそらく、アメリカではDCMAで違法性の追求は容易ではないが、日本では、ファイルローグの3基準によって(小倉先生の奮闘及ばず)比較的安易に直接侵害者とされるので、このようなサービスを展開すれば、民事訴訟で耐えられないであろう。また、民事で責任を負わない場合でも、某お巡りさんが飛んできて、著作権蔓延意図でやった等言い出して、著作権法違反幇助で起訴という場合もあるかもしれない。

いずれにせよ、すでに、海外ではビジネスに取り入れられつつあるyoutube。youtubeが黒船になって、気づいたら日本がyoutubeに大量の広告料を支払い続ける存在にならないことを願うだけである。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

住基ネット訴訟

違憲判決を下した裁判官が死亡したようである。

自殺と見られているようである。

もし、自殺だとしたら、あらかじめ死ぬつもりで判決を下したのかもしれない。

しょせん住基ネットじゃないのか、どうして人が死ななければならないのだ。

違憲判決というのは、裁判官が死ななければならないようなものなのだろうか。

とても残念である。

| | TrackBack (1)

情報ネットワーク法学会第6回大会

昨日は、発表担当者であった。

いろいろ喋ったが、この問題は、要するに、どうすれば、権利侵害は速やかに救済され、他方で、発信者の権利が不当に侵害されないような制度になるかと言う問題である。

昨日の発表は、発信者情報開示については実際の問題点があまり公になっていないことと、プロバイダ側からの「いやーホントは要件を満たすとは思うんですけどねぇ…」と聞くことへの、私なりの問題提起である。

詳細な理論構築をするような場所ではないし、そもそも、それは私の役割ではないと思っている。
ただ、現状は、開示の要件がよく分からない→開示拒否→訴訟はとても使いにくい→訴訟を断念→その代わりに掲示板の管理者に責任追求という流れにあるような気がする。

そういう流れをふまえて、発表を見てもらえると幸いである。
次回の発表は、ファイル共有と刑事罰か?
こうご期待。

午後はネットジャーナリズムがテーマであった。
ジャーナリズムというテーマで、ちゃんと収益の問題まで話が及んだのは好印象であった。ただ、ブラックジャーナリストの問題は誰もふれなかったのが残念である。今のネットを見ると、何となく、今後そのような者が増えそうな気がするのであるが、私の勘違いか?

| | Comments (0) | TrackBack (0)

« November 2006 | Main | January 2007 »