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2007年1月18日

2007/01/18

ダスキン役員賠償請求訴訟控訴審判決

大肉まん事件の件で、分離されていた元取締役2名に対する判決は前に紹介したが、控訴審判決が本日あった。

1審の106億からずいぶん減らされて、連帯して53億4350円と平成16年2月24日から年5分の遅延損害金を支払えという判決である。

調べた範囲では高裁の認容額としては日本一のようである。ただ、あれだけ多くの人に不信感を与えた大会社の責任者に対する責任としてはむしろ軽すぎるような気がする。

この判決、取締役に事後的に、事実の公表、謝罪などの措置をとらなかったことが取締役の法的義務に反するとした点で今後の実務に与える影響は大きいと思われる。

ペコちゃんもポコちゃんも良く聞いておいて欲しいところである。

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債権者破産申立

今度は、破産申立をしたという記事があった。ひろゆき氏が破産しても2ちゃんねるにはあまり影響があるとは思えないのが理由なのか、あんまり反響は無いようである。

ドメインの差押えよりは現実味のある話である。

債権者破産をするには費用を予納する必要がある。東京であれば50万円程度であろうか。

管財人の調査や配当などは破産手続のまんまなので、興味がある人は自分で調べてみて欲しい。

ちなみに破産すると身分上の制限がある。
会社の取締役は、民法上の委任終了事由にあたるので、いったん退任することになるが、再度就任は可能である。

管財人が就くと郵便物をチェックされる。
参考 破産法
(郵便物等の管理)
第八十一条  裁判所は、破産管財人の職務の遂行のため必要があると認めるときは、信書の送達の事業を行う者に対し、破産者にあてた郵便物又は民間事業者による信書の送達に関する法律 (平成十四年法律第九十九号)第二条第三項 に規定する信書便物(次条及び第百十八条第五項において「郵便物等」という。)を破産管財人に配達すべき旨を嘱託することができる。

で、今回のネタは、破産が開始すると債権者の強制執行が出来なくなるということである。差押を申立した者からみれば破産申し立てに足を引っ張られた感じである。

参考 破産法
(他の手続の失効等)
第四十二条  破産手続開始の決定があった場合には、破産財団に属する財産に対する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行又は企業担保権の実行で、破産債権若しくは財団債権に基づくもの又は破産債権若しくは財団債権を被担保債権とするものは、することができない。
2  前項に規定する場合には、同項に規定する強制執行、仮差押え、仮処分、一般の先取特権の実行及び企業担保権の実行の手続で、破産財団に属する財産に対して既にされているものは、破産財団に対してはその効力を失う。ただし、同項に規定する強制執行又は一般の先取特権の実行(以下この条において「強制執行又は先取特権の実行」という。)の手続については、破産管財人において破産財団のためにその手続を続行することを妨げない。

最後に
ZAKZAKのこんな記事を見てると、朝鮮新報社を思い出してしかたがない。端から見てると馬鹿馬鹿しい。

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続 あまりに反響を生んだドメイン差し押さえ

小倉先生からのトラックバックで、民事執行法第百六十七条 2項に該当しない可能性があるという意見がなされているのを拝見した。

以下引用「ドメイン名の移転にあたってレジストラの承認等の手続が必要となるとしても、…本件譲渡命令によつてドメイン名登録者の地位は譲渡の当事者である相手方両名の間においては有効に移転するのであり、ただ、レジストラにおいて名義書換え手続等が履践されない限り、レジストラに対する関係では右移転の効果が生じないだけのことであるといえる可能性があります。」

法律マニアな観点からちょっと踏み込んでみることにした。
問題を要約すると、レジストラの登録という技術的問題は、執行法上の登録ではないという考えを示唆されているようのようである。

確かに、実体的権利と登録の相対効的な考えというのはそうだろうが、日本では多くの登録・登記が実体的な権利の効力発生要件ではない。問題は日本ではその立場を徹底すると不動産ですら本来的には(実際には明文があるので登記を要するのだが)執行に登録等を要しない物になりかねないことである。執行裁判所を説得できるのだろうか。むしろ、ICANNの統一ドメイン名紛争処理方針では登録と明記されているので、登録を要するというほうが素直だと思うが。

参照 ICANNの統一ドメイン名紛争処理方針
第3節 ドメイン名登録の抹消、移転、および変更
当レジストラは、下記に該当するときに、ドメイン名登録の抹消、移転または変更の手続を行う:
b. 適正な管轄権を有する裁判所または仲裁機関から、かかる旨の命令(order)を受領したとき

次に、小倉先生は、レジストラをレジストラは「第三債務者又はこれに準ずる者」にあたるとされている。裁判所には「第三債務者又はこれに準ずるもの」は誰か、それはなぜかを説明しなくてはならない。

誰かという点ではレジストリか?レジストラか、レジストレーションサービスプロバイダか。ICANNの統一ドメイン名紛争処理方針を見る限りでは、レジストラの可能性が高いが、私には分からない。

次に、それはなぜかという問題である。第三債務者というからには、どのような権利かを明らかして差押債権目録に記載しなくては裁判所の受付ではねられる。

これは難問である。

ドメインは誰に対するどういう権利なのだろうか。ドメインは本来的にはインターネット上の住所であって権利ではない。あえて権利というとすれば、おそらくドメイン名の独占使用権に関するなんらかの権利だと思われるが、差し押さえをするとすればその法的根拠を示さなければならない。

ちなみに電話加入権は約款で「加入電話契約に基づいて加入電話の提供を受ける権利」とはっきり記載されているので説明は簡単である。しかしドメインはそうはいかない。そう思って.netでどうなっているのかを調べようとした…めんどくさくて断念した。英語は苦手なのである。やはり、登録という構成の方が素直だと思うところである。

参考 NTT東日本電話サービス契約約款
(電話加入権の譲渡)
第21条 電話加入権(加入電話契約者(タイプ2に係る契約者を除きます。)が加入電話契約(タイプ2に係るものを除きます。)に基づいて加入電話の提供を受ける権利をいいます。以下同じとします。)の譲渡は、当社の承認を受けなければ、その効力を生じません。
2 電話加入権の譲渡の承認を受けようとするときは、当事者が連署した当社所定の書面により所属電話サービス取扱所に請求していただきます。 ただし、競売調書その他譲渡があったことを証明できる書類の添付をもって連署に代えることができます。
3 当社は、前項の規定により電話加入権の譲渡の承認を求められたときは、次の場合を除いて、これを承認します。
 電話加入権を譲り受けようとする者が加入電話の料金又は工事に関する費用の支払いを現に怠り、又は怠るおそれがあるとき。
 電話加入権(臨時加入電話契約に基づくものに限ります。)を譲り受けようとする者が第78条(保証金)に規定する保証金を預け入れないとき。
4 電話加入権の譲渡があったときは、譲受人は、加入電話契約者の有していた一切の権利(保証金の返還を請求する権利を除きます。)及び義務(第81条(相互接続通話の料金の取扱い)の規定により、協定事業者が定める相互接続通話の料金のうち当社が請求することとなる料金及び第82条(協定事業者に係る債権の譲受等)の規定により当社が譲り受けた債権に係る債務を支払う義務を含みます。)を承継します。
5 加入電話契約(タイプ2に係るものに限ります。)に係る電話加入権は譲渡することができません。

もし、この問題が分かった場合は、差押債権目録記載例などをいただけるととても嬉しい。

最後に究極の問題は、ここまで踏み込んだ話を理解できる人がとても少ないことである。「ごちゃごちゃ文字が多くておもしろくない」という批判が多いのである。

追記
ドメイン名紛争統一処理方針」に当該ドメイン名を継続して使用する権利と書かれているのを指摘しているのを拝見したので、追加的に説明しておく。

まず、私は、権利ではないとは言っていない。本来的には、というのがポイントなのである。ドメインはそもそもはインターネット通信における住所として開発されたもので、為替手形のように財産とすることを目的として生み出されたようなものではない。

そして、当該ドメイン名を継続して使用する権利ではないかいう点については、それだけでは法的な権利性の説明としては何も言っていないに等しいのである。権利というには、特定の物に対する支配権なのか、第三者に対する請求権なのか、第三の権利かをはっきりしなくてはならない。物に対する支配権であれば、ドメインとはどこにあるなんという物であるかを説明し(おそらく無理であろう)、後者であれば何に基づいて誰に対して何を請求する権利なのかを裁判所に明らかにしなくてはならない。そうしないとドメインの差し押さえはできない。電話加入権は上記のように法的根拠がはっきりしているのであるが、ドメインは簡単に説明できないのである。人格権類似の名称を排他的に使用する権利なのだろうか。それとも、レジストリかレジストラからの独占使用許諾にもとづく使用権で、レジストラとレジストレーションサービスプロバイダとの間の第三者のためにする契約に基づき、ドメイン使用者が受益の意思表示をすることにより生じた使用権であろうか。いずれにせよ全く自信はない。このあたりの理解は、すこし法的知識が必要なのでちょっと難しいかもしれない。

法的につっこんだ話しを一般の人でも簡単に理解できるように書くのは難しい。修行中である。

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