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2007年1月23日

2007/01/23

ぼちぼち、これ関連のネタも終焉に近づきつつ

小倉先生のブログで、ドメインの登録が民事執行法167条2項の「権利の移転について登記等を要するもの」の要件に関して私の駄文に対する検討をしていただいているようである。

その中で小倉先生からユニークな新説が提案されている。
『「その他の財産権で権利の移転について登記等を要するもの」とは、登記等が権利移転の対抗要件ではなく有効要件となっているものをいう。』らしい。

小倉先生の説をとると、登記・登録が対抗要件に過ぎないはずの登記された賃貸借や、特許の通常実施権、著作権などについては民事執行法167条2項の登記等を要するものとして扱われている実務をどう理解するのであろうか。おそらく、小倉先生は、裁判所を説得し、実務に大変革をもたらすつもりなのであろう。私は無理だと思うが興味あるところなので、誰か依頼して欲しいところである。

私は、公示の制度を備えているかどうかがメルクマールかと思っているので、電話加入権やゴルフ会員権には登記等を要しないと考えている。他方ドメインは登録者が公示されるので登記等を要するものだと考えている。

おそらく、私の考えの難点はドメインの登録制度が法律上の登録制度ではない点である。ただ、条文上法律上の登記・登録制度に限定されていないし、ドメイン登録制度は国際的かつ大規模な制度として運用されてきた実績があるし、登録者と使用者の合致を予定しているのだから、登記等を要するに該当するのではないかと思っている。但し、この点の保証はしない。

この考えに対して、小倉先生は、「電話加入権についても権利者が移転した場合にはその旨が帳簿に記録されます(電気通信事業法施行規則68条)。」と指摘されている。おそらく何らかのデータベース化がなされる点に着目しているのであろうが、公示がないので登記等を要しないという点に問題ない。

また、また小倉先生は「預託金制ゴルフ倶楽部において、名義書換完了前は、会員権の譲受人は会員としての施設の利用をすることはできません。」 と指摘されている。名義書換は公示の制度が無いのでゴルフ会員権は167条2項に該当しない点は問題ない。競落人が名義の書き換えをしなければ会社に対して権利行使できないという問題は株式差押えでも同じで、だからといって登記等を要するという解釈に影響を与えるものではない。なお、ゴルフ会員権の譲渡の第三者対抗要件は通知であり名義書換ではない(最判平成8年7月12日)。名義書換は契約上の地位の譲渡に関する承諾と言うべきであり法的な意味の対抗要件と言い難い。

以上、縷々述べたが、私には説の優劣を競うつもりなど毛頭無いし、結論付くことなどないだろう。評価はこのブログを見た第三者の評価や今後の実務にまかせたい。

ただ、私は海外ドメインの差押えは受任しないのであしからず。

追記 

小倉先生の方から新たなトラックバックをいただいた。

「本条2項は、法144条2項の規定する債権所在地について、その特則となるものである。」「民事執行法167条2項は、直接に管轄裁判所を定めたものではなく、第二次的管轄についての補充規定であって、差し押さえるべきその他の財産権の所在地のみなし規定である。」
という解釈を採用されるようである。

私も法律家としてブログを書いているので、文献等は参照してから書いている。もちろん、この解釈があることは知っていた。前の記事でもそのことを示唆する記載はしている。小倉先生もお調べになられたようである。

もっとも、私の心配する問題はその先である。つまり、その説で裁判所を説得できるかである。昔の民事執行法逐条解説(商事法務)では二次的管轄の規定とはしていない。裁判所の決定等は見たことがない。条文操作としてはちょっと無理がある。というわけで、私には、裁判所から難色を示されたときに、上記文献だけで裁判所を説得する自信はない。実際に受任しないが、もし差押えの申立をするとしたら裁判所が難色を示さないことを願うのみである。

この追記で、最初に記事を書いた際に検討した事項はほぼすべて網羅したと思う。検討不足の点があればご指摘いただけると幸いである。

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