弁護士の筋
アメリカは、食うにこまってアンビュランスチェイサーと呼ばれる人が出ているし、弁護士は金の亡者として嫌われ者の代表になっている。そのアメリカをまねして日本は、ここ数年で合格者を無駄に増やしている。
その結果、司法支援センターは元々ボランティアな低額仕事のさらなるコストカットにいそしんでいる。これらの仕事の中心的な担い手の若手の弁護士の生活を困難にしてどうするのだろうか。
質的な問題もある。司法修習生に法律相談の指導をしようとすると、基礎的な法律を知らないため実体法の講義になったということがあった。実は、合格者の能力というのは結構おそるべき状態になっているのである。
ここ2年ほどの間に、筋の悪い訴訟を目にする機会が増えている。
かつては、筋が悪いというと、元裁判官(意外かもしれないが、これがホントなのである。)かお爺さん先生(法律論になってないことがある)と相場が決まっていたのであるが、そうでも無くなってきているような気がする。
私は、何となく、食うに困っているのが原因ではないかと勝手に想像している。弁護士業界は、新しい分野の開拓が今後の必須であろう。
テレビ番組、アニメ、ゲームソフトといったコンテンツ(情報の内容)を世界に通用する産業に育てるため、映画、音楽、ゲームなど娯楽関連事業や著作権の国際ルールに詳しい弁護士の育成などを提言したらしい。
というのも、日本には、娯楽ビジネスの専門弁護士が不足しており、ドラマや映画を海外に売り込むノウハウがあまりないとのことである。
驚いた!
ここでも「よくわからない金になるもの=著作権」という勘違いをしているようである。
デジタルコンテンツや技術の国際規格などはあるが、ほとんどは著作権のルールではない。また、娯楽関連事業の業界慣習のほとんども国際ルールといえるようなものではない。問題のほとんどは「力関係で契約内容は変わりますからねぇ」と答えざるを得ないような問題なのである。
ちなみに、娯楽ビジネスに限らず商品を売り込むノウハウを持った弁護士は、ほとんどいない。当然である。弁護士は営業部長ではないのである。無いものねだりの問題を弁護士に転嫁するよりも、まず、業界の問題点を見直して欲しいところである。
ちなみに、私、その手の分野の仕事もちょこちょこ関わっているので、提言の言いっぱなしだけでなく、育てて欲しいところである。英語できないので無理か…。
| 固定リンク
「法律コラム」カテゴリの記事
- 花は咲く。きっと。(2020.05.27)
- CG児童ポルノ事件最高裁決定(2020.05.27)
- 民事尋問戦略(広告)(2019.10.04)
- eスポーツの法律問題Q&A(2019.09.01)
- ダウンロード違法化の対象範囲の拡大に反対する緊急声明(2019.03.13)