刑事裁判の被害者参加
被害者側は裁判への参加を希望すれば、法廷で検察官のそばに座る。証人尋問で被告の更生意欲など情状に関する事柄について尋ねたり、被告人質問で被告に直接事実関係を追及したりすることも可能となる。 被害者側は裁判への参加を希望すれば、法廷で検察官のそばに座る。証人尋問で被告の更生意欲など情状に関する事柄について尋ねたり、被告人質問で被告に直接事実関係を追及したりすることも可能となる。
という法案が閣議決定されたようである。
私自身、サイバー法で知られる前は、犯罪被害者支援の方がよっぽど知られていた時期もあったりするので興味はある。
犯罪被害者が、刑事事件に参加することについては、否定的な意見もあるが、私自身は良いんじゃないかと思っている。
ただ、なんの問題もないわけではない。
一つは、犯罪被害者の中には、新しい何かの実現に向けて一つ一つ努力し、達成することが目的になっている人もいるということである。前人未踏の森は誰かが切り開いた瞬間に、次の被害者にとっては舗装道路になっているのである。制度をつくれば良いというのではないことは理解すべきである。
もう一つは、犯罪被害者もいろいろということである。被害者も本当にいわれのない場合から、「あんたもたいがいよ」と言いたくなるような場合もあるし、遺族も金のことばかり口にする人もいる。
かつて私が担当した殺人事件で、被害者もたいがいという事件があった。多くの場合、人が人を殺すにはそれなりの理由があるのである。それでも、被害者の遺族は証人として出廷して「この人を死刑にしてください。」と証言していた。
現在は被害者が死刑にしてくださいと言おうが情状が大きく変わることはない。だから、私はそれに対して、あえて何も聞きはしなかった。しかし、場合によっては、私は遺族に問いただすことを躊躇しない。
つまり、被害者の参加とは、刑事事件の激しいやりとりの場に晒されるということであり、場合によってはさらに傷を負うことことにもなるのである。そのことを検察官はちゃんと説明しているのであろうか?遺族側についた弁護士はちゃんと説明しているのだろうか?
どんな制度であれ、運用する側が正しく使わないとなにもできない。法曹に関わる者はそのことを自覚する必要がある。
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