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2007/12/29

2007/12/29

それでも ボクは やってない

私の事務所も表向きには今年の営業は終わりである。

そして、年末年始であるが、暇があったら映画でも見て欲しい。

「それでも ボクは やってない」

この映画、痴漢えん罪をあつかったものであるが、映画のネーミング的には、無辜の人だけでなく、明らかにクロの人間までが調子に乗って使えそうな言葉なのであまりすきではない。

それはさておき、前からじっくりと見たいと思っていたので、DVDが発売されたことから、私も購入して見てみた。

弁護人の立つ側が大阪地裁の運用とは反対側であることとか、あんなに強い被疑者はあり得ないとか、無罪を争う事案の割には弁護人の異議が少ないとか突っ込みはあるが、しかし、そんなことはどうでもいい。

私が見る限りではあれが日本の刑事裁判のまんまである。

私は、映画をみながら、かつて接見した被疑者を思い出した。

私が接見したときには、いわゆる「認めたらすぐに出られる」な取り調べで自白調書が録取されていた。

接見室で、一通りの説明をした後、彼は私に言った。

「先生、罪を認めるのは、死ぬくらいくやしいけど、妻と生まれてすぐの子供がいるんです」

「先生は、そんな俺を間違っていると思いますか。」

「先生俺はアホですか?」

この手の事件で無罪を争うつらさ特に自白調書が取られているときの分の悪さを知っている私は、彼に何も答えることが出来なかった。

この映画で描かれているのは作られたあり得ない話ではなく、多くの弁護士が日々接するようなことで、私はそこで描かれている無力な弁護人の一人である。映画を見ていて最後には悔し涙が出てきた。

日弁連では、この映画に関して、こんなイベントをしていたりしていたりする。

興味があったら、この映画を見てもらいたい。

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