重要なのはそこなのか?
記事は、ファイル共有ソフトの利用者が増えているという内容になっている。
しかし、問題はそこではない。
報告書を見ると、今回初めてネットワークでクローリング調査をしたようである。
「2 万件の抽出データのうち、51.4%が何らかの著作物であると推測される。残りの48.6%は、アダルトや同人など本調査では権利の所在が確認できないもの。」
今回の調査でもファイルのキーから著作物かどうかを判断するという愚を犯しているが、そのことはあえて目をつぶっておく。(なお、著作物と推測されるかどうかという問題と権利の所在が確認できないという問題は排他的関係にはない。私が判断したわけではないので解らないが、どういう判断基準かは興味があるところである。)
かつてアンケートを元に90%以上が著作物という発表をしていた。今回のクローリング調査の結果は、間違いであったことを認めたようなものである。
有識者ですら90%以上云々を盲信していた人が多い。
総務省の部会でも著作権強化のための資料にもなっていたはずであるし、DL違法化の支えでもあったはずである。
すこし、やるせない思いを感じる。
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コメント
最近は単なる嫌がらせなのか著作権者の防衛公道なのか、偽ファイルの流通が非常に増えているそうですね。そうなると当然ファイル名だけでは中身が何かなんてわかりませんから、ACCSはそこは無視しているということなのでしょう。ただ、そういう偽ファイルの流通は、ネットワークの浪費になって利用者にとって効率が落ちるだけのことで、著作物を権利者に利益を還元することなく利用できることには変わりがないので、流通率が1%を切るなど極端に低くならない限り主張が変わることはないでしょう。要するに90%も50%も同じようなもので、たぶん10%でも十分でしょう。
投稿: J | 2008/01/12 05:04