ドメイン紛争と裁判所
現在、大阪産業大学の大学院でE-コマース法制を教えていたりする。
資料の作成に際して、ドメイン紛争の判決を見直した。。
その中のジャックス事件 富山地裁平成12年12月6日判決
主 文
一 被告は、そのホームページによる営業活動に、「JACCS」の表示を使用してはならない。
二 被告は、社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター平成一〇年五月二六日受付の登録ドメイン名「http://www.jaccs.co.jp」を使用してはならない。
三 訴訟費用は被告の負担とする。
驚いた。「http://www.jaccs.co.jp」が登録ドメインだそうだ。
ちなみに現在の登録ドメインは、以下のとおり「JACCS.CO.JP」の部分だけで、過去においても「http://www」の部分が登録ドメインになっていたことは、おそらくあり得ないであろう。
というわけで、この判決は、ドメインに関しては空振り判決だったりする。
Domain Information: [ドメイン情報]
a. [ドメイン名] JACCS.CO.JP
e. [そしきめい] かぶしきがいしゃじゃっくす
f. [組織名] 株式会社ジャックス
g. [Organization] JACCS CO.,LTD.
k. [組織種別] 株式会社
l. [Organization Type] Corporation
[登録年月日] 2002/08/29
[接続年月日] 2003/04/15
[最終更新] 2008/09/01 01:24:55 (JST)
この事件は高裁にも移行したようである。
名古屋高裁金沢支部平成13年9月10日判決
1 本件附帯控訴に基づき,原判決主文第2項を次のとおり変更する。
2 控訴人は,社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター平成10年5月26日受付の登録ドメイン名「jaccs.co.jp」を使用してはならない。
3 本件控訴を棄却する。
4 訴訟費用は第1,2審とも控訴人の負担とする。
高裁では、さすがに、直っていたようである。めでたしめでたしと思っていたら、「本件附帯控訴に基づき」
…附帯控訴???あわてて原判決を見直した。
第一 請求
主文同旨
原判決で、原告敗訴部分が無い!上訴の要件としては、明文は無いが、「上訴人が原裁判によって不利益を受け「不服の利益」を有すること。」が要件とされることが多い。この考えを採用すると、そもそも附帯控訴自体が出来ないので違法だったことになる。
ちなみに、高裁の附帯控訴の理由
2 原審は,被控訴人の請求をすべて認容したため,これを不服とする控訴人(1審被告)が本件控訴に及んだ。これに対し,被控訴人は,上記ドメイン名をホームページのアドレスとしてのみならずメールアドレスとしても使用することの禁止を求めるために,控訴人による社団法人日本ネットワークインフォメーションセンター(以下「JPNIC」という。)平成10年5月26日受付の登録ドメイン名「jaccs.co.jp」の使用の差止めを求める附帯控訴をした。
それは請求拡張では…。というより、そもそも「http://www.jaccs.co.jp」がドメイン名では無いので、請求の拡張になるのかすら謎である…。
このあたりは、町村先生の領域だろうが、結構有名なジャックス事件は、かなり、アクロバティックな訴訟処理だったのである。
「美しい判決になろう。」ってところか?
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