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2009/04/05

無茶な立件を競っているのか?

記事

 大阪府豊中市の広告代理店社長(40)が、児童ポルノ画像投稿サイトにアフィリエイト広告を仲介しサイト運営を支えたとされる事件で、この社長がサイト管理人の男(44)=児童買春児童ポルノ禁止法違反(公然陳列)ほう助罪で罰金刑=にメールで広告掲載を働きかけていたことが1日、神奈川県警の調べで分かった。県警は同日、社長を同ほう助容疑で横浜地検小田原支部に書類送検した。

というわけで、この事件は書類送検、罰金で終わりそうなのであるが、大きな問題を抱えている。

県警によると、メールは昨年3月ごろ、管理人の携帯電話に送られたといい「アクセス数の多いオーナー様に報酬が発生しやすい」などと書かれていた。代理店と取引があった不特定多数のサイト管理人に送られており、県警は社長が違法サイトと確認せずに送っていた事実を重視し、立件した。

もし、お金を稼ぐ主体とサイトの運営者が実質的にグルであったり、積極的に違法行為を助長する目的でメールを送ったのであれば立件はやむをえないであろう。

しかし、記事を前提とするかぎり、違法サイトかどうかを確認することを怠ったことを重視したということである。もし、おまわりさんが「アフェリエイトを呼びかけた先が何らかの問題のあるコンテンツを掲載しているかもしれないが、それでもかまわない」程度の抽象的な認識で幇助の故意が認められるとすれば幇助の成立の範囲が広すぎる。

この立論がとおれば、ネットでは広告を出す場合は、すべての掲載先サイトを確認しなければ逮捕ということになる。すると、アフェリエイトを掲載する側も広告主の商売が適法化を確認しなければ逮捕になるのであろう。しかし、新聞やテレビでは、詐欺商法の広告を掲載することもあるが、民事ですら責任が認められることは例外的であることとあまりにバランスが取れていない。

もし、おまわりさんが問題視すれば、幇助で立件し放題というのであれば、主観主義刑法とかわることはない。

ここ数年、幇助での立件が増えているが、その一因にはWinny事件における私の力不足があるのかもしれない。申し訳ないと思うところである。

また、ここ数年、おまわりさんの「ネットの方で権益を拡張したい」という活動が目に付く。省庁間の権益自体は関知するところではないが、それは、無理やりな立件の数ではなく、多くの当然立件されるべき事件を勤勉に行うことで実現してもらいたい。

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