人とはパンツをはいたサルなのかもしれない
産婦人科医に逆転無罪が出たようである。
判決理由で松尾昭一裁判長は被害者の供述について「時間の経過による記憶の薄れや診療行為への勘違いの可能性が否定できない」と指摘。陰部と顔を同一フレームに入れた写真の撮影も「患者識別のためとする被告の供述を不合理と排斥することはできない」と述べ、わいせつ目的の証明はされていないとした。
一方、松尾裁判長は「十分に意図や目的を説明せずに、写真を安易に確認の手段とした点は問題がある」と戒め、「このような姿勢が患者の不審を買い、トラブルの要因をつくった」と批判した。
リプロダクションというのは、とても生物的な要素を取り扱うことが不可避であるが、それを取り扱うにはとてもソーシャルな要素が求められる。女性にとってはもっともデリケートな部分を晒すのであるが、毎日多くの妊婦を診察する医師にとっては、もはやモノにしか見えなくなっているかもしれない。結構難しい問題である。
刑事事件は、裁判官はとかく検察官の追認機関になりがちである。専門的な要素が求められる分野で、検察官のいいかげんな知識を鵜呑みにしたり、裁判官の不勉強で有罪となっては浮かばれない。法曹は卑屈であってはならないが、謙虚な姿勢が望ましい。
この問題は、結構、考えさせられる問題である。
今回の高裁の判断は評価している。
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