とっくはおとく?
大阪府が小規模金融構造改革特区なるものを国に提案したそうな。
小規模金融構造改革特区というのは、上限金利の引き上げなどを内容とする特区だそうな。早速、弁護士会と司法書士会から反対声明がでた。
弁護士会
市民に見て欲しいプレスリリースをPDFで出す弁護士会のセンスはともかく、両会ともそんな特区には大反対の様子である。
それを踏まえて、記者会見で橋本知事がこんな発言ををしたようである。
弁護士会はまず、どれだけ弁護士が借金問題でぼろもうけしているか額を出せっていうんです。過払い金の返還は弁護士じゃなく、行政がやれば、弁護士報酬分を債務者の生活再建にあてられる。新聞を見ても電車に乗っても、弁護士の広告はみんな借金のお悩みがどうのこうの。弁護士のほか、司法書士もですが、独占はおかしい。
金融特区で業界を利する気はさらさらない。簡単に言うと、金融特区は逃げ得、借り逃げを許すことがメーン。いまの破産法制よりも簡単に借金をチャラにできる制度を作る。ADR(裁判外紛争解決手続き)が全部対応し、貸金業から金を出させる無料の制度。大阪はものすごい逃げ得の場所だが、その代わり、それを認めるなら皆さんの判断で金利や貸す相手を決めて、と金融業者に選択させる。行政の規制で債務者が保護されるなんて大間違い。借りられない人は「ヤミ金」に流れる。それなら発想を転換し、容易に借金をチャラにする方が債務者のためになる。債務者と貸金業のパワーバランスを調整するという発想。挑戦できない業者は大阪に来れば大赤字になる。弁護士会も金融庁も反対みたいなので、どっちがいいのか、国民の皆さんの意見をいただきたい。
まず、弁護士が債務整理でボロもうけというのは、あまりに、歪んだステレオタイプな話である。特定の弁護士事務所が期間限定の過払い請求でボロもうけをしているという事実は、弁護士がみんな債務整理を含む借金問題でボロもうけをしていることにはならない。実際のところ、普通の債務整理を真面目にやると儲からない。
また、この手の話は整理屋の関与がありがちで、だからこそ、一定の倫理規定をもったものだけが行う必要がある。もし、府民の利益というのであれば、適正な弁護士費用を行政が支出すればいいのである。府民のリーガルアクセス費用捻出のために府民が金融機関に支払う金利の引き上げを認めてしまうのは本末転倒であろう。
そして、「いまの破産法制よりも簡単に借金をチャラにできる制度を作る。」であるが、提案の内容は
③解決策:府が貸金業者の負担などにより相談支援機関(ADR)を設置するとともに、市町村等とも連携を進めるなど相談支援機能の充実を図る。
④効果:借入れのある者の社会生活状況に応じた解決策・支援策を提示・誘導することにより、経済的な自立を促進する。
である。ADRは単なる相談支援機関にすぎないし、どこも、簡単に借金をチャラにできるなど書いていない。
私は、こんないい加減なヤミ金特区に住みたいとは思えない。
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