記事
出会い系サイトを宣伝する迷惑メールを発信元を偽って大量に送信したとして、京都府警などは17日、出会い系サイト運営会社「UNIVERSAL FREAKS」(東京都豊島区)の社長岩田敏雄容疑者(36)ら7人を特定電子メール送信適正化法違反容疑で逮捕した。
いわゆる迷惑メール防止法は、送信者を偽って商用メールを送ることを禁止している。
迷惑メール防止法の違反の多くは、違反行為に対して、監督官庁からの措置命令がなされ、措置命令に違反した場合に処罰の対象となるが、監督官庁が監督懈怠な状況で、ろくに規制になっていないという問題が指摘されていた。
そこで、一部、直罰規定が設けられたのである。
第五条 送信者は、電子メールの送受信のために用いられる情報のうち送信者に関するものであって次に掲げるもの(以下「送信者情報」という。)を偽って特定電子メールの送信をしてはならない。
一
当該電子メールの送信に用いた電子メールアドレス
二
当該電子メールの送信に用いた電気通信設備を識別するための文字、番号、記号その他の符号
第三十四条
次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
しかし、直罰規定が設けられても、ほとんど、処罰がなされていない状況である。
その間に、我が国の迷惑メールは、悪の温床になっている。
資料
これによれば、日本でISPが取り扱うメールの70%が迷惑メールで、その90%近くが(偽)出会系サイトである。
かなり平たく言えば、日本のメールの半分以上が、出会い系、もっと、強く言えば、出会い系を語る詐欺行為に利用されているのである。
同社は三つの出会い系サイトを運営しており、女性とやり取りするのに必要な「ポイント」の購入代金が同社の収入だった。メールを交わすとポイントが減っていく仕組みで、逮捕者の一部は「女性役を演じるサクラを使っていた」とも供述しており、府警は詐欺容疑での立件も視野に調べる。
この事件、本来的には、偽出会い系の問題であり、立件にこぎ着けて欲しい。偽出会い系は、場合によっては数年で数億円の利益があがっており、悪の営業活動としてはあまりに魅力的である。
総務省の審議会の議事録等を見ると、偽出会い系の問題を、海外決済代行業者の問題とか、通信コストの低減のみにすり替えてる有識者が多いが、端的に言うと愚かである。
本当の問題は、インターネットの向こうでは通信をしている相手が誰で何をしているのか分からないにも関わらず、犯罪行為の情報まで開示拒否する通信の秘密教団と、直罰規定すらほとんど使われないサンクションの少なさである。
それでも、総務省は「権限がない」と言い訳をし、警察庁は「情報がない」と言い訳をしている。
そして、メディアは、偽出会い系の問題をエロおやじがちょっと騙されたくらいに思いこんで、悲惨な現状を報道しない。
それが現状である