原告島耕作
自炊業者を訴える訴訟が提起されたようである。
紙の本を裁断してスキャナーで読み取り、自前の電子書籍を作る「自炊」の代行業は、著作権法で認められている私的複製にあたらないとして、作家の東野圭吾さん、漫画家の弘兼憲史さんらが代行業者を相手取り、営業差し止めを求める訴訟を起こすことが、19日わかった。
これは、どこまで私的複製として許容されるかの闘いである。自炊業者といっても、いろいろであるが、単に本人の私的複製の手足となっているに過ぎない場合は、著作権者の売上に害を及ぼすものではないのであるから、著作権侵害というのは行きすぎであると思う。
アメリカでは、この手の議論は間接侵害として扱われ、直接の侵害者が違法な場合にのみ責任を負うことになる。しかし、日本はいわゆるカラオケ法理で多くの場合が直接の侵害者とされる。
私的複製抗弁回避型のカラオケ法理については、ロクラク最高裁判決がある。
カラオケ法理には、場当たり的に広汎な適用に対する批判が強い。これに対する、金築裁判官の意見がこれである。
このように,「カラオケ法理」は,法概念の規範的解釈として,一般的な法解釈の手法の一つにすぎないのであり,これを何か特殊な法理論であるかのようにみなすのは適当ではないと思われる。したがって,考慮されるべき要素も,行為類型によって変わり得るのであり,行為に対する管理,支配と利益の帰属という二要素を固定的なものと考えるべきではない。
要するに、裁判所が場当たり的に考えて何が悪いということである。
金築裁判官は、直接の侵害者になれば10年以下の懲役となることはご存じなのだろうか心配である。
というわけで、最高裁の現状からすれば、大変な訴訟とは思うが、注目したい。
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