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2012年1月6日

2012/01/06

食べローグ

食べログに掲載されている店舗のやらせが問題になっている。

記事

飲食店の人気ランキングサイト「食べログ」が、好意的な口コミ投稿の掲載や順位の上昇を請け負う見返りに飲食店から金を受け取る「やらせ業者」にランキン グを操作されている事例があることが4日、運営会社のカカクコム(東京)や飲食店関係者への取材で分かった。カカクコムは現時点でやらせ業者39社を特定 しており、田中実社長は「今後は不正業者の業務停止を求めて提訴するなど断固とした措置をとりたい」としている。

食べログにサクラがいることや、口コミサイトにレビューを書くという広告を出している業者が多いことは、前から解っていたことである。

店舗関係者と思われるレビューはとても多い。私の近所にも、レビューは大絶賛のイタリアンがあった。しかし、そんな口コミ名店は去年つぶれた。実際は、店長の態度が尊大だし、ワインはコルク入りというレベルだったのである。

そして、食べログは、提灯記事の雑誌ではなく、匿名人のレビュー故の信用性をウリにしていたのであるが、それは、匿名故のローグを排除できないのである。

ところで、この不正であるが、カカクコムは業務停止を求める等としているようであるが、法的に業務停止を求めるのは難しそうである。

で、このような行為は刑事的には問題はないのか。
自称しがない弁護士の落合先生は、カカクコムに対する業務妨害罪の成立を認めるようである。

記事

食べログは 飲食店の利用者が感想を書き込むことで成り立ち、店に対する評価の信頼性が維持されている。いわゆるサクラ(請負業者)が対価を受け取り、店にも行かずに その評価を組織的に上げるビジネスモデルなのであれば、データの信頼性を損なわせるため、運営会社に対する偽計業務妨害罪に問われる可能性がある。

私は、この見解とは違う。

第二百三十三条  虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

偽計業務妨害罪と信用毀損罪が同一条文なのでややこしいが、偽計業務妨害罪は、虚偽の風説や偽計が実行行為である。ホントのことをサクラ業者が書いたら虚偽の風説ではない。

偽計であるが、これは人の業務を妨害することへ向けられたものでなければならない。そして、人の業務を妨害する故意が必要である。

しかし、データの信頼性というのは、運営会社の業務それ自体ではなかろう。食べログの運営自体が困難になることに向けられたような場合でなければ業務妨害は成立しないとい考えている。そうでないと、企業が望まない行為は全部犯罪になりかねない。

もう一つ、信用毀損罪の問題がある。

これは、虚偽の風説の流布や偽計で、人の信用を毀損することである。

この「信用」は、大審院時代は、経済的な側面における人の社会的な評価を保護するものであるとして、人の支払能力又は支払意思に対する社会的な信頼を意味すると考えられていたが、その後、平成15年3月11日最高裁判決により、販売される商品の品質に対する社会的な信頼も含むと拡大されるようになった。

この場合、データへの信頼というのは、サービスの品質だと考えると信用毀損罪が成立しそうであるが、これも虚偽の風説の流布や偽計は、人の信用を毀損することに向けられた行為でなければならない。サクラ行為を、人の信用を毀損することに向けられた行為と考えるのは難しいところである。

この問題、運営会社よりも、消費者の保護をどうするか方が重要に思う。

この問題、実際よりも優良であるかのような記事を書くことの問題と、書き込みを業として行うことの問題に分けて考えるべきである。

前者は虚偽か否かという問題であるが、後者は、たとえ真実であるとしても、店舗から利益を得ているにも関わらずあたかも公正な第三者的な意見をしている点に、大きな問題があるのである。

アメリカのFTCのオンライン広告のガイドラインは、とても大ざっぱに言えば、推奨広告について、広告主から利益をもらっていることを表示しないときは、推奨者も虚偽表示によって生じた損害について損害賠償を負うべきとしていたりして参考になる。

他方で、日本の消費者庁は「インターネット消費者取引に係る広告表示に関する景品表示法上の問題点及び留意事項」で口コミサイトを取り上げ、第三者に実際よりも優良と誤信するような書き込みをさせた場合は、景表法違反となることを示唆しているが、サクラ業者の責任にふれていない。

この点はちょっと残念である。

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