私的録画補償金訴訟控訴審判決
私的録画補償金管理協会(SARVH)が東芝に賠償を求めた訴訟は、控訴審も東芝の勝利のようである。
控訴審で、SARVHは、協力義務から具体的な債権が認められないと一刀両断されていたので、不法行為責任を追加主張したようである。不法行為は、あらゆる事情を考慮されるので、一刀両断になりにくい。
製造業者等が協力義務に違反したときに,指定管理団体(本件では控訴人)に対する直截の債務とはならないとしても,その違反に至った経緯や違反の態様によってはそれについて指定管理団体が被った損害を賠償しなければならない場合も想定され,法104条の5違反ないし争点3(被控訴人による不法行為の成否)における控訴人主張を前提とする請求が成り立つ可能性がある。
と、事情によっては不法行為の成立を示唆している。
しかし、これは不法行為の成立を正面から認めたのではなく、リップサービスと考えるべきであろう。
裁判所は、「特定機器該当性」の方でバッサリとやったのである。
当裁判所は,客観的かつ一義的に明確でない「アナログデジタル変換が行われた」の要件については,上記経緯にかんがみて総合的な見地から解釈するならば,放送波がアナログであることを前提にしてこれについてアナログデジタル変換を行うことが規定されていると解するものであり,これを超えての範囲を意味するものと解することはできないと判断する。
というわけで、デジタルのままであれば、該当しないことになったのである。
また、裁判所は、法律の立法経緯等を踏まえて、興味深い理由を述べている。
一律に本来の義務者ではない製造業者等が協力義務を負うものとされる録画補償金の範囲の解釈に当てはめるに際しては,法104条の5(30条)やそれを受ける施行令の解釈,特にテレビ番組を録画対象とするDVD録画機器の特定機器性判断については,客観的かつ一義的に明確でないときには厳格であるべきである。
ようするに、法定みかじめ料は、厳格にということである。
さて、最高裁は、どうなるであろうか。
すこし心配な事情がある。
先日、弁護士の大橋正春先生が、最高裁に行かれるとの報道があった。
なんでも、著作権法に明るい先生という報道である。
ところで、最高裁の近時のKY判決No1に、まねきTV事件がある。
そして、その控訴審判決には、
控訴人( 原審原告) 株式会社東京放送
訴訟代理人弁護士岡崎洋,大橋正春,前田俊房,渡邊賢作,新間祐一郎,村尾治亮
げげげ!
ネットを巡る著作権法には、明るいどころか、暗雲たれ込める今日この頃である。
というわけで、Winny事件も終わった事ですし、私を、最高裁の調査官とかにしませんかね?サイバー法専門で。
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