国歌斉唱の際の起立やピアノ伴奏を拒否したことに対する処分の取消しを巡る訴訟の最高裁判決が先日あった。
判決
最高裁は、戒告については取消しを認めず、減給処分については取り消した。
上記のように過去に入学式の際の服装等に係る職務命令違反による戒告1回の処分歴があることのみを理由に同第1審原告に対する懲戒処分として減給処分を選択した都教委の判断は,減給の期間の長短及び割合の多寡にかかわらず,処分の選択が重きに失するものとして社会観念上著しく妥当を欠き,上記減給処分は懲戒権者としての裁量権の範囲を超えるものとして違法の評価を免れないと解するのが相当である。
ただ、1回が違法だとしても、何回であれば適法になるのか不明であり、今後の指針にならないという批判はあろう。
宮川裁判官が反対意見において、
前述のとおり式典は毎年度2回以上あり,不起立行為等を理由とする戒告処分は短期間に累積されていくのであるから,ある段階では減給処分がなされる可能性がある。多数意見は,起立斉唱行為に係る職務命令は思想及び良心の自由についての間接的な制約となる面があることを認めていることに鑑みると,ただ単に不起立行為等が累積したにすぎない場合に減給処分が裁量の範囲にあるものとされる可能性を容認することは,相当でないと思われる。
と指摘したのは、ある意味この問題点を端的に指摘したものと思われる。
こちらは、停職処分の取消しを求めた訴訟である。最高裁は、以前に国旗の引き下ろし等を行った1人については取消しを認めず、その他については停職処分を取り消した。
上記のように過去2年度の3回の卒業式等における不起立行為による懲戒処分を受けていることのみを理由に同上告人に対する懲戒処分として停職処分を選択した都教委の判断は,停職期間の長短にかかわらず,処分の選択が重きに失するものとして社会観念上著しく妥当を欠き,上記停職処分は懲戒権者としての裁量権の範囲を超えるものとして違法の評価を免れないと解するのが相当である。
同様に宮川裁判官の反対意見がある。
私自身は、国歌斉唱と国旗掲揚を強制したがる人も、反対のあまりに妨害活動をしようとする人の気持ちもよく分からないし、歴史観を闘わせる趣味もない。
ただ、無粋な話は好きではないだけである。
これを見ると日本は未だ戦後なのだなと思う。ドイツでは、ハーケンクロイツは掲揚するどころか、使用を禁止する法律まであるようである。また、皇帝陛下万歳の国歌は、遙か昔、帝政の崩壊と共に廃止されたようである。
で、この問題は、鷹派まっしぐらの大阪府に波及しているようである。
記事
府では昨年6月、教職員に学校行事での国歌起立斉唱を義務づける全国初の「国歌起立条例」が成立。ただ、罰則がないため、地域政党・大阪維新の会(代表橋下徹・大阪市長)は教育基本条例案に、不起立などの職務命令違反3回で分限免職などとする規定を盛り込んで府議会に提案し、継続審議中だ。
橋下市長は、
「単純な不起立行為ではなく、指導研修を入れるのが条例案のポイント。公務員として守らなければいけないことを教えて、それでも嫌だと言った場合は、辞め
てもらうのが筋ではないか」と、罰則規定の必要性を強調。「単純に3回で分限免職とするものではない」と、修正の考えがないことを強調した。
らしい。
最高裁が1回で減給すら違法としているのである、指導研修を入れたくらいで、3回でクビが適法というのはあまりにも困難であろう。訴訟は必須と思われる。
この場合、憂国騎士団の人達は、最高裁に凸するのだろうか?
いずれにせよあまり粋ではない話である。