検察が弁護人の尋問事項を押収
という記事が、先日から、弁護士の中で問題になっている。
山本弁護士によると、強制捜査は地裁の審理中に行われた。大阪地検は期日間整理手続きが終了した翌日の10年7月2日、大阪地裁から強盗容疑での捜索差押許可状を受け、地検の検察事務官3人が被告の独居房を捜索した。
当時は期日間整理手続きの直後で、房内には証拠を含む裁判関係書類があり、事務官らは1審の弁護人に宛てた手紙や手紙の書き損じなどを押収。被告が拘置所に預けた荷物から、被告人質問の準備のため弁護人が差し入れた「尋問事項」と題する書面も押収した。
期日間整理手続きが終了していれば、検察官、弁護双方の主張、証拠は出そろっているはずである。いまさら何を差し押さえるのか不明であるし、そもそも拘置所に差押えするようなおいしい証拠などない。
おそらく、共犯者との手紙を差し押さえるという名目での差押えであろうが、弁護人との手紙や尋問事項を差し押さえるなど論外である。
平成12年5月には、大阪拘置所が被告人と弁護人との間の信書内容を検閲して証拠化して請求したという事案で、拘置所と検察官の措置を秘密接見交通権・弁護権を侵害するものであると認めた事案がある。今回は、信書を差し押さえただけであり、本質的には変わりない。誰がどう見ても弁護人との信書である尋問事項を差押したのであるから、弁護人の手の内をのぞき見たいがための差押えと言われても仕方ないであろう。
この問題、非難されるは、すでに地に落ちて久しい大阪検察だけではない。尋問事項ののぞき見をさせるような非常識な差押えを期日間整理手続き終了後に許可した裁判所が、この被告人を裁いたことは注目されるべきであろう。
弁護活動とは、このような超ハンディキャップマッチなのである。
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