父の定義
性同一性障害で戸籍の性別を女性から変えた大阪府東大阪市の男性(29)が、第三者との人工授精で妻との間に生まれた男児を嫡出子として認めるよう求めて いることについて、小川敏夫法相は27日の記者会見で「夫婦間の子供ではなく(嫡出子としての出生届は)受理できない」との見解を示した。
この男性というのは、もと女性で、奥さんがいて、子供がいるという話のようである。
先日、お医者様と話をする機会があったが、法律はすべての人が男女に区分できることを前提にしているが、現代の医学の見地からは、全ての人を、男女に区別できるメルクマールは無いようである。
ただ、本件は、第三者の精子を用いて生まれた子供は誰の子供かという、同一性障害とは関係ないテーマである。
これに関連した問題として、受精卵を他人の子宮を用いて出産してもらった場合は、誰の子供かというのもある。
これは難しい問題である。精子卵子レベルで決めるのか、DNAで決めるのか、それであれば、DNAの操作をおこなった場合はどうなるのか。命を巡る問題は、つねに、難しい問題が横たわっている。
父が父である為に何が必要なのだろうか?
子供?まず嫁がいないので。。。。
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コメント
不妊の男性の場合、人工授精で生まれた子供(当然生物的血縁関係にはない)であっても、ノープロブレムで嫡出子とされているのが実務であり、(同じ不妊でありながら)それとの「差別」が特に問題だと思われます。女性の場合は現状「分娩」で決まっています。有名人で言えば他人の卵子をもらったけど自分が分娩・出産したので母子関係が認められているのが野田聖子であり、逆に自分の卵子なのに、他人に分娩させたので母子関係が認められなかったのが向井亜紀です。
投稿: m | 2012/01/29 12:57
mさん
いちおうは、ノープロブレムではなく、民法772条で、妻が婚姻中に懐胎したことは夫の子と推定されていて、内縁関係が先行している場合も事実上の推定が働くとされているので、事実調査義務のない市役所は婚姻後の子であればノーチェックで受理していると思われます。
他方で、推定の及ばない子というのもあって、今回の法務省の判断は、その典型的な例であるので、事実調査を待たなくても不受理判断可能と思ったのかもしれません。
ただ、それがあるべき運用か、法制度かと言われると難しいところです。
次に、代理母問題とからんで、向井亜紀の事案ですが、裁判所は、女性については、民法の規定の仕方から、分娩で決めるという解釈をとっています。ただ、その決定ですら、代理母が、現在の民法が予定していない事態であって、立法による速やかな対応が強く望まれると、なかば責任放棄しているところです。
以上、あえて言わずもがなですが。
投稿: ToshimitsuDan | 2012/01/29 13:51