児童ポルノ改正法案
議員提案で、児童ポルノの単純所持罪を要旨とする改正法案が提出されている。
実は、この法案は、野党提出法案で、前の国会からたなざらしの状態ではあるが、単純所持自体は、従前から検討されていたことではある。
第二 児童ポルノ所持等の禁止等
一 児童ポルノ所持等の禁止
何人も、みだりに、児童ポルノを所持し、又はこれに係る電磁的記録を保管してはならないものとすること。(第六条の二関係)
二 自己の性的好奇心を満たす目的での児童ポルノ所持等についての罰則
1 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処するものとすること。同様の目的で、これに係る電磁的記録を保管した者も、同様とすること
児童ポルノ所持一般を禁止するのは厳しいとおもったのか、罰則では「性的好奇心」を満たす目的に限定している。
しかし、「性的好奇心」が何かは不明である。好奇心のない性的な感情充足目的は、性的好奇心ではないのか、性的好奇心に知的好奇心や学術研究への好奇心は含まれるのか?
法案は、あまりに曖昧で実務に耐えうるようなものではない。児童ポルノは、只でさえ、URLをのせたら正犯とか変な裁判例がわんさかの状況である。刑事処罰法規なのであるから、不明確な処罰は勘弁してもらいたい。
そもそも、児童ポルノは、児童の保護のための法律のはずであるが、現在は、変な性欲処罰法にまっしぐらの状況である。次は、非実在児童ポルノ禁止法か?気持ちは分からないわけではないが、あまり、児童保護という趣旨から脱線はどうかと思うところでもある。
この法案は高市早苗友の会の見切り発車であるが、これを実績と言うのであれば、もうすこしクオリティの高いものを出して欲しいものである。
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