駅内喫煙の助役、免職検討
大阪市の橋下徹市長は5日の庁内での会議で、市営地下鉄の男性助役が駅内で喫煙し、火災報知器が作動して電車に遅れが出たことに関連し、助役の免職を検討するよう指示した。
彼が、免職に値するか否かで、いろんな意見が飛び交っているようである。
地方公務員の場合は解雇ではなく、免職であるが、根拠法は地方公務員法であり、分限免職と懲戒免職がある。これは退職手当の有無による。
第二十八条 職員が、左の各号の一に該当する場合においては、その意に反して、これを降任し、又は免職することができる。
一 勤務実績が良くない場合二 心身の故障のため、職務の遂行に支障があり、又はこれに堪えない場合三 前二号に規定する場合の外、その職に必要な適格性を欠く場合四 職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合
第二十九条 職員が次の各号の一に該当する場合においては、これに対し懲戒処分として戒告、減給、停職又は免職の処分をすることができる。
一 この法律若しくは第五十七条に規定する特例を定めた法律又はこれに基く条例、地方公共団体の規則若しくは地方公共団体の機関の定める規程に違反した場合二 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合三 全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合
そして、免職が不当な場合は、解雇権の濫用として免職が無効となる。で、解雇権の濫用に該当するかが見解の分かれる大きなポイントであり、この場合はこうなるという明確な基準はない。個別事案毎の判断となるが、だいたい、以下の要素を考慮するとされている。
(1) 解雇に合理性や相当の理由が存在するか
(2) 解雇が不当な動機や目的からされたものではないか
(3) 解雇理由とされた非行・行動の程度と解雇処分とのバランスが取れているか
(4) 同種又は類似事案における取扱いとバランスが取れているか
(5) 一方の当事者である使用者側の対応が信義則上問題はないか
(6) 解雇は相当の手続きが踏まれたか
本件では、解雇処分とのバランスが問題で、ネットを見ていると解雇権濫用になると考える弁護士が多いようである。
で、私自身の見解であるが、私は、橋下氏自身は支持しないが、懲戒免職か分限免職かはともかく、本件での免職自体は相当と考えている。
それは、
① 大阪市営地下鉄で、2月22日に、清掃作業員のたばこの不始末が原因で、一歩間違えば大惨事の火災が発生しており、禁煙の徹底が指示されていたこと。
② 地下鉄は、一度火災が発生すると大災害になる可能性が高いこと。四つ橋線本町駅は、他の駅と接続されている地下鉄の要所である。
③ 彼が、助役という管理職であり、禁煙を指導する立場であったこと。
④ 実際に火災報知器を作動させて地下鉄が一時運転を見合わせる事態となっており、この行為について、近畿運輸局から警告文書が出ていること。これは1992年の信楽高原鉄道事故以来である。
からであり、特に問題は①である。彼の生活を考えるとかわいそうではあるが、この時期にこのようなことでは、職務適性を欠くと言わざるを得ないと考えているのである。
たかだか、一本のたばこという人もいるかも知れないが、大惨事のほとんどは人為的な問題から生じる。前の火災もたかだか一本のたばこから生じているのである。多くの人の安全を預かっている仕事であることを再確認されたい。
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