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2012/06/21

ダウンロード刑罰化成立

平成21年改正で、最悪の改正となったダウンロード違法化であるが、当時の刑罰化はしないという話むなしく、今回刑事罰化法案が成立した。

既にITMEDIAに掲載されている部分はあるが、条文が手に入ったので、さらに深い話をしてみたい。

今回の刑罰化は、内閣提出法案の衆議院の修正という形でなされている。
衆議院のページ

 著作権法の一部を改正する法律案に対する修正案
 著作権法の一部を改正する法律案の一部を次のように修正する。
 第百二条第九項第五号の改正規定の次に次のように加える。
 第百十九条第一項中「場合を含む」の下に「。第三項において同じ」を加え、同条に次の一項を加える。
3 第三十条第一項に定める私的使用の目的をもつて、有償著作物等(録音され、又は録画された著作物又は実演等(著作権又は著作隣接権の目的となつている ものに限る。)であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。) の著作権又は著作隣接権を侵害する自動公衆送信(国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべき ものを含む。)を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、自らその事実を知りながら行つて著作権又は著作隣接権を侵害した者は、二年以下の懲役若しく は二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

この刑罰は、①有償著作物等を、②著作権侵害であることを知りつつ、③デジタル方式の録音または録画をした場合に成立する。

そこで、①有償著作物とは何かが問題になるが、条文上「録音され、又は録画された著作物又は実演等(であつて、有償で公衆に提供され、又は提示されているもの(その提供又は提示が著作権又は著作隣接権を侵害しないものに限る。)をいう。」とされている。

この有償は、一般には対価性が認められば、足りるとされており、広告料収入を得るような場合も含まれることは争いないであろう。

次に、②知りつつであるが、どれぐらい確信的に知っているかは問題である。しかし、刑事の世界で故意とは非常に簡単に蓋然性の認識程度で認定されている。

次に、③録音、録画であるが、単なるテキストデータのダウンロードは大丈夫であろう。しかし、小説が動画ファイルになっている場合は、録画に含まれる可能性が高い。

例えば、ホームページを見ていて興味深いので、参考資料として、名前をつけて保存しようとしても、そのページに許諾を経ていない動画が含まれていればアウトになる。

という法律であるが、さらなる問題点がある。

1つは、プログレッシブダウンロードである。
プログレッシブダウンロードが何か解らない人は、これ
これは、インターネットエクスプローラが、パソコンにデータをダウンロードして、Streamingのように見せるのであるが、実際はダウンロードである。

Youtube等もプログレッシブダウンロードである。

このプログレッシブダウンロードは、いろいろな利点があるため、広く用いられている。

で、今回は、プログレッシブダウンロードが「録音・録画」に含まれるかが問題である。
この点、キャッシュであるから録音・録画に含まれないと言っている人もいるが、メモリ上の一時的な保持であればともかく、IEのテンポラリーファイルは一時的とは言い難いので、これを録音・録画に該当しないというのは困難であろう。
また、録音・録画は、ことさらに行われることまでは要しない。視聴の際に、ダウンロードする場合を除外していることは条文上窺われない。

ただ、唯一の希望として、ウェブの閲覧等の場合のテンポラリーについては、権利制限規定がある。これに該当したら適法で罪にはならない。

(電子計算機における著作物の利用に伴う複製)
第四十七条の八 電子計算機において、著作物を当該著作物の複製物を用いて利用する場合又は 無線通信若しくは有線電気通信の送信がされる著作物を当該送信を受信して利用する場合(これらの利用又は当該複製物の使用が著作権を侵害しない場合に限る。)には、当該著作物は、これらの利用のための当該電子計算機による情報処理の過程において、当該情報処理を円滑かつ効率的に行うために必要と認められ る限度で、当該電子計算機の記録媒体に記録することができる。

この条文の解説は、こちらですでにしているので参照されたい。

これは、複製の規定であるが、録音・録画も複製の一種なので、適用の可能性がある。
しかし、この規定は、「これらの利用又は当該複製物の使用が著作権を侵害しない場合に限る。」という限定がある。

そして、「利用が著作権侵害をしない場合」についても、ややこしい。

文化庁の解釈(コピライト2010年1月号)では、47条の8は、視聴それ自体は、著作権侵害ではないので、著作権侵害でアップされた動画をブラウザ等で視聴する場合も含まれるとしている。

たしかに、著作権侵害のコンテンツがアップされている場合であっても、閲覧自体は違法ではないので、テンポラリーに複製可能という考えであれば、一般的には適法で、「当該情報処理を円滑かつ効率的に行うために必要と認められる」場合でない場合や、必要な期間を超えて、放置していた場合の不作為犯のみ問題になるということになろう。

ただ、文化庁の公的解釈は、あまりアテにはならないのが実務家の感覚である。

プログレッシブダウンロードは、技術面から見ると、ローカルへのダウンロードとローカルファイルの動画の視聴なのであるから、単なるサーバのファイルの視聴行為と言えるかは大いに疑問である。また、条文解釈としても、違法な著作物の視聴は、送信者の公衆送信権侵害によって行われており、著作権を侵害しないと言えるのかはなぞである。

しかも、日本の裁判所は、人のロケーションフリーTVをハウジングすれば、公衆送信権侵害になると言った狂気の世界である。さらに、刑事裁判所は、URLを推測させるテキストデータをアップする行為と、児童ポルノをアップする行為を同視できると言った世界なのである。

検察が当罰性を主張すれば、よほどの無理筋でも認める刑事裁判所が、ダウンロードした者が、自分との関係だけで著作権侵害でなければ、他との関係でどれだけ著作権侵害であっても、利用が著作権を侵害しない場合と言うのかは、大いに疑問である。

2つめは 国外犯の問題である。

刑法施行法
第二十七条  左ニ記載シタル罪ハ刑法第三条ノ例ニ従フ

 著作権法ニ掲ケタル罪
 削除
 移民保護法ニ掲ケタル罪

刑法
第三条  (国民の国外犯)
この法律は、日本国外において次に掲げる罪を犯した日本国民に適用する。
ということで、著作権に関する罪は、日本人が国外で犯しても適用がある。

そして、今回の改正は、「国外で行われる自動公衆送信であつて、国内で行われたとしたならば著作権又は著作隣接権の侵害となるべき ものを含む。」という規定が盛り込まれている。

つまり、海外で合法的に行われているダウンロードサービスを、日本人が、海外で利用した場合であっても、日本の法律に照らしてダウンロード刑罰化の対象となる行為であれば、犯罪者になるということである。

オランダやスイスのような私的ダウンロードを合法化した国に行っても、絶対に友達の誘いに乗ってはいけない。

世界的な潮流に逆行モード満タンである。

3つめは、警察の恣意的運用の可能性である。

著作権法は、京都の某お方を代表として、逮捕するがためのネタとして著作権法が使われてきたという恣意的運用の実績がある。
幇助も絡めるといっそう効果抜群である。別件逮捕のお伴にどうぞである。

また、ダウンロードは世界中で多数有り、すべてを立件することは出来ない。
すると、どうしてもお巡りさんの判断で立件が決まることになる。

著作権法の世界では、お巡りさんが、ガサを入れてから、著作権者に連絡をいれて、告訴状を求めるケースが珍しくない。

ある日、いきなり、家にお巡りさんが来て、パソコンを持っていって、23日間逮捕・拘留されて、その間、自分がインターネットで何を見たのかまでお巡りさんがいちいち調べる。Winny事件でもそうであったが、エロ画像なんてあると、お巡りさんは嬉々として捜査報告書に添付する。

「知りながら」の要件なんてのがあるが、これも、逮捕・勾留して、お巡りさんが、「こんなん認めたらすぐ釈放やんけ」なんて、23日間執拗に迫れば、一般の人は嘘でも自白調書に署名する。

今回、可決した法律は、こんな法律である。政党の取引材料に使って良い法律ではない。

平成21年著作権法改正では、フェアユースは必要ないという意見が多かった。しかし、今回の法改正を見る限り、フェアユースの必要性は明らかである。
再度検討し、フェアユース規定を創設するべきである。

そして、このような代表を選んだのは国民である。

次回の投票には、明確に意思を示すべきである。

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コメント

壇先生、初めまして。
今回の突然の法改正で憤ってる一人です。
コピーガードの件ですが、
私仕事でパソコンの個人サポートをしてるのですが、たまにあるケースなのですが、HDDが壊れ取り出しがなんともいかない場合はiPodからガードを外して出す場合が多いのですが、
(商いでやると問題ありそうなので今のところこの部分は無料で(ーー;))
この調子でいくと完全に違法行為になりそうで悩んでます。
今まで貯めた曲を一からとお客様が嘆いてるところなのでなんとかやりたい!という気持ちでやってるところなので・・・・
論議もろくにせず・・・・
この辺の解釈はどうなんでしょうか?

投稿: ひで | 2012/06/21 18:56

ご多忙なところ申し訳ございませんがお教えいただければ幸いです。
現在、ツイッターで自分が気に入った洋楽の楽曲を紹介する際に、その曲のプロモーションビデオ、ライブ動画などのYouTubeのURLを貼ることが日常茶飯事に行われていますが、これは幇助罪になるのでしょうか?
もしそうだとしたら10月以降控えたほうがよろしいのでしょうか?
ご教授お願いいたします。

投稿: のび | 2012/06/21 19:50

失礼します。

フェアユース、一般権利制限も、どうせ文化庁が出してくるのはガチガチのスリーステップタイプだろうし、仮にフェアユースが誕生したとしても、違法DLが「公正な利用」と裁判官が認めないかもしれないですから、私は「違法DLの冤罪を救う」という論点ではあまり期待していません(もちろん別方面、昨今規制緩和されるとの話が出ているパロディや二次創作では多少期待できそうですが、それも民法709条や不正競争防止法のデッドコピー規制でヤラれる可能性が依然残りますし、もうグレーでやるしかないなという暗澹たる気持ちです)。

それにつけても、構成要件のばかっ広い罰則規定は刑法175条並に危険だと思います。公権力の暴走には注意したいですが、京都府警のサイバーポリスメンはヤル気マンマンですかね…未必の故意でバンバン捕まえるのですか…。ただどうやって通信の秘密を掻い潜るのか、通信傍受法で何でもありかもしれませんが、有力な傍受技術と言われるDeep Packet Inspectionに関しては総務省が通信の秘密を侵害するとかなんとか…

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でしゃばりで恐縮ですが…

ひでさんへ、
情況がよく見えていないのですが、それは、現行法47条の4第1項及び同2項で合法ではないでしょうか?(適当に言ってますので間違いがあれば、済みません。)

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著作権法の条文はこちら。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO048.html

(保守、修理等のための一時的複製)
第四十七条の四 記録媒体内蔵複製機器(複製の機能を有する機器であつて、その複製を機器に内蔵する記録媒体(以下この条において「内蔵記録媒体」という。)に記録して行うものをいう。次項において同じ。)の保守又は修理を行う場合には、その内蔵記録媒体に記録されている著作物は、必要と認められる限度において、当該内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録し、及び当該保守又は修理の後に、当該内蔵記録媒体に記録することができる。
2 記録媒体内蔵複製機器に製造上の欠陥又は販売に至るまでの過程において生じた故障があるためこれを同種の機器と交換する場合には、その内蔵記録媒体に記録されている著作物は、必要と認められる限度において、当該内蔵記録媒体以外の記録媒体に一時的に記録し、及び当該同種の機器の内蔵記録媒体に記録することができる。
3 前二項の規定により内蔵記録媒体以外の記録媒体に著作物を記録した者は、これらの規定による保守若しくは修理又は交換の後には、当該記録媒体に記録された当該著作物の複製物を保存してはならない。
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一応機器修理(1項)と同等品交換目的での複製(2項)は「ほぼ無条件」でできるようです(「必要と認められる限度」とはありますが)。

私的使用目的の複製(30条1項、私的複製ともいう)では確かにプロテクト解除禁止(30条1項2号)など厳格な要件がありますが(ちなみに私的違法DLが同項3号)、修理目的の複製は私的複製とは「全く別の目的」ですので、別途この47条の4が適用対象になるはずです。これはプロテクト解除も更に営利禁止/非営利義務・有償禁止/無償義務も条件に入って無いですから、プロテクト解除して別の記録媒体に複製しても合法なのでは。更に料金徴収してもokなはずです……?(間違ってるかもしれないので、正確性を求める場合、弁護士さんにご相談下さい)。

勿論、同条3項にある通り、修理後は一時保管データを必ず消してください。残していた場合は複製権侵害です(49条1項4号)。またこれらのデータを公衆(不特定又は特定多数の者)へ提示や頒布した段階で、行為前に遡って複製権侵害(ネット上に放流すれば追加で公衆送信権侵害)になります(49条1項3号より)。もちろん悪質な者ならば権利者に目に付けられ、告訴されれば119条1項で逮捕されます(さすがにこの辺は常識的感覚で当然だとお思いになられると愚考します)。

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のびさんへ、そのリンク先の動画が著作権者の許諾なくアップロードした物であれば、当該URLの動画を(著作権侵害を知ってた上で)「ダウンロード」した者を正犯として、リンク提示者を従犯(幇助)として認定される可能性は高いのでは?児ポ法の適用例で、児ポ画像のURLを提示した者が児ポ公然陳列幇助で逮捕された事例がありました(壇先生がご説明されています)。http://danblog.cocolog-nifty.com/index/2007/05/post_242e.html
著作権法に直接適用できるか分かりませんが、ご参考まで。

投稿: passerby | 2012/06/21 20:38

passerbyさん

丁寧なご説明、どうも有難うございました。
私のツイッターのタイムラインには音楽好きな方が多いので、私自身を含めYouTubeの音楽動画へのリンクを貼った呟きが多いのですが、10月1日以降、控えざるを得ない感じですね。
自分が今まで知らなかった良い音楽を教えて頂く良い情報収集の場だったのですが残念です。


投稿: のび | 2012/06/21 23:11

passerbyさん
ありがとうございます。
確かに47条2項はOKですが、
(それを条件に一時コピーとか取ってWindowsのバックアップなんかとってますので、問題ないと思います。)
ただ、ipodにはコピーガードがもともと入っており、iPod→PCには転送は通常できないので、あるツールを使って(ツールを出すのはトピ外ですので割愛させていただきます。)
データを抜くことがあります。
今までは47条2項のもとで問題なかったと思われます。
10/1の改正でその辺が問題になりそうです。
この辺は弁護士の先生と相談をしたほうがいいかもしれませんね。

投稿: ひで | 2012/06/22 12:38

上記の件、文化庁著作権課にて確認し解決しました。(聞いた方の名前失念)
あくまでもプロテクト解除は30条の問題であって、47条第2項は接触しない解釈とのことでした。
情報は出させていただきます。

投稿: ひで | 2012/06/22 13:50

よろしければお伺いしたいのですが、よくあるパターンとしてあるのが、お店から間違えて一個だけ余分に商品持って帰っちゃって、家に帰って領収書と確認したら、余分に持って帰ったのに気づいて、でも、それ間違えて持ったけど、まぁ良いや、自分のものにしてしまうっていうのがあって、それ、窃盗じゃなくて、占有離脱物横領になると思うのですが、合法と信じて、ダウンロードして、結果再生してみて違法だと分かったけどっていうかダウンロードしない限り何か分からないからそっちの方が多い思うのだけど、でも、そのまま、消さずに使い続けてる場合どうなるのですか?

投稿: あの | 2012/06/23 02:59

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