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2012年7月14日

2012/07/14

尋問事項メモ押収事件国賠訴訟

検察事務官をして上記被告人居室等に対し捜索差押えを行わせ、結果、審理中の事件に関する弁護人宛の手紙や弁護人が差し入れた尋問事項メモなどを押収したという事件で国家賠償訴訟が提起されたようである。

大阪弁護士会の会長声明

この件は、報道時に私なりの見解を述べているが、私なりか否かを論じるまでもなく、検察による弁護人の尋問メモのぞき見など、後出しジャンケン以下の卑怯ものである。

非常識な検察と裁判官の非を明らかにするためにも、断固国賠である。

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ストリートビュー訴訟控訴審判決

ストリートビューを訴えた訴訟の控訴審が、13日に福岡高裁であったようである。

記事

木村元昭裁判長は「画像ではベランダにある物が何か判然とせず、プライバシー侵害があったとは認められない」と述べ、原告敗訴の1審・福岡地裁判決を支持し、女性の控訴を棄却した。

判決は、画像について「下着を干していることまではわからず、表札や看板など個人名などがわかるものも映っていない」と指摘。そのうえで「ベランダに焦点を当てて撮影、公開しておらず、私生活の平穏が侵害されたとは認められない」と結論付けた。

この訴訟地裁判決の際にも記事にしているので参考にされたい。

判決文を読んでもらったら解るのであるが、

そして,本件画像によれば,本件住居のベランダに洗濯物らしきものが掛けてあることは判別できるものの,それが何であるかは判別できないし,もとより,それがその居住者のものであろうことは推測できるものの,原告個人を特定するまでには至らない。

と言うわけで、原告ボロ負けであった。これは本人訴訟だからかなとも思っていたが、弁護士がついた高裁でも、この事実認定は維持されたようである。

正直、この事実認定を前提にするかぎり、逆転は難しいようである。

私は、この分野については、より、多くの人から支持されるようなサービスを目指すべきであると思っているが、日弁連が良く理解せずにサービス自体を頭ごなしに否定するのも、自称セキュリティ専門家がグーグルの受付のお姉さんに粘着するのも反対である。

この問題、プライバシーや個人情報とからんで難しく、同業者にもネットはあーたらとか、住居の外観はプライバシーだとか、珍説が飛び出す分野であったりする。おそらく、最高裁に行くのであろうから、司法判断を見てみたいところである。

詳しくは判決文を見てから解説したい。

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文化庁 違法ダウンロードの刑事罰化についてのQ&A

違法ダウンロード刑罰化に対して、文化庁がQ&Aを公開している。

Q&A

もしかしたら、壇弁護士とやらが、狼少年みたいなこと言ってるのであわてて出した、なんて、文化庁で言っているのかもしれない。

文化庁は、この手の法解釈を良く出しているが、裁判所が真っ向否定というのもある。その程度の権威であるということは十分理解して、参考にされたい。

今回のポイントは、ダウンロード刑罰化の①有償著作物、②47条の8の適用である。
実は、既に、検討済みなのであるが、あらためて、文化庁の解釈と照らして、述べてみたい。

有償著作物について、文化庁は

有償著作物等とは、録音され、又は録画された著作物又は実演等であって、有償で公衆に提供され、又は提示されているものを指します。
その具体例としては、CD として販売されていたり、有料でインターネット配信されているような音楽作品や、DVD として販売されていたり、有料でインターネット配信されているような映画作品が挙げられます。
ドラマ等のテレビ番組については、DVD として販売されていたり、オンデマンド放送のように有料でインターネット配信されていたりする作品の場合は、有償著作物等に当たりますが、単にテレビで放送されただけで、有償で提供・提示されていない番組は、有償著作物等には当たりません。(もっとも、違法にインターネット配信されているテレビ番組をダウンロードすることは、刑罰の対象ではないものの、法律違反となります。)

という紹介をしている。
有償性については、
①どこかで対価が得られれば良いという考え(広告料モデルも含む)。
②放送の許諾に際して、対価が支払われていれば良いという考え(テレビ局がコンテンツの使用料を支払う場合も含む。
③視聴者から料金を得ていれば良いという考え(1ヶ月見放題も含む)。
④個々のコンテンツ毎に対価が支払われることを要するという考え。

が考えられる。文化庁の見解は、③説又は④説であるような気がする。まぁ、③説なのだろう。

すると、提供行為自体が有償であることを要するということになるが、条文上、そこまで限定しているかは謎である。また、これまでのカラオケ法理における営利性の要件の拡張ぶりや、URLアップを児童ポルノのアップと同視できるという刑事裁判所を見る限り、文化庁の見解が支持されるか・・・・ちと、難しいような気がする。

次は、47条の8の適用の可否である。文化庁は、当初、複製に該当しないという説明をマスコミにしていたと聞いているが、さすがにそれは苦しすぎると見たのであろう、47条の8適用説を採ったようである。

Q 「You Tube」などの動画投稿サイトの閲覧についても、その際にキャッシュが作成されるため、違法になるのですか。

A 違法ではなく、刑罰の対象とはなりません。動画投稿サイトにおいては、データをダウンロードしながら再生するという仕組みのものがあり、この場合、動画の閲覧に際して、複製(録音又は録画)が伴うことになります。しかしながら、このような複製(キャッシュ)に関しては、第47 条の8(電子計算機における著作物利用に伴う複製)の規定が適用されることにより著作権侵害には該当せず、「著作権又は著作隣接権を侵害した」という要件を満たしません。

と説明している。
しかし、プログレッシブダウンロードは、技術的には、視聴の際に複製が伴うというよりは、ダウンロードしたファイルを視聴して、一定期間経過したらダウンロードしたファイルを削除しているというのが正しいと思われる。

刑事法廷で、技術をあれこれ立証された場合、耐えうる主張なのだろうか。。。ちと厳しい。

ちなみに、文化庁のこの解釈は、コピライト2010年1月号に掲載されている。

第47条の8の規定は、「これらの利用又は当該複製物の使用が著作権を侵害しない場合」に限って適用されているが、「視聴」は著作権の支分権に位置づけられておらず、著作権侵害により送信可能かされた動画等であっても視聴では著作権侵害とはならないため、同条の適用が受けられる。

視聴の「ついで」にキャッシュを持つ場合は、その可能性はありそうである。しかし、「ダウンロード」して視聴する場合に、そのようなことが言えるか、私には疑問である。

また、当時の著作権課著作権調査官の書いた、著作権法コメンタールでは、文化庁の公式見解でも、立法担当者の見解でもないとしているが、

新たに創設された30条1項3号により、違法配信される著作物を、その事実を知りながらダウンロードする利用行為は、著作権侵害となるため、同号に該当する場合も、本条の適用を受けない。

としており、上記文化庁の解釈と矛盾しそうである。

結局のところ、有罪の可能性を排斥できるような解釈とは思えない。

そもそも、このような重要事項について、解釈で有罪となる余地を残していること自体、愚かと思うところである。

そして、文化庁は、刑罰化の拡大適用を恐れてと思われるが、著作権者の配慮を要するとしている。

さらに、違法ダウンロードの刑事罰化に係る規定の運用に当たっては、政府及び関係者は、インターネットの利用行為が不当に制限されることのないよう配慮しなければならないこととされています。(改正法の附則第9 条や参議院の附帯決議)
これを受け、警察は捜査権の濫用につながらないよう配慮するとともに、関係者である権利者団体は、仮に告訴を行うのであれば、事前に然るべき警告を行うなどの配慮が求められると考えられます。

配慮が、法的にいかなる意味を有するのか、もはや不明である。

というより、変な条文を正すことが本筋ではないか?

結局のところ、文化庁の意図はわからないではないが、その試みは成功しているとは言い難い。

そして、もう一つわすれてはならないのは、今回の刑罰化は、平成21年のダウンロード違法化の時点ですでに予想されていたことである。プログレッシブダウンロードも問題になっていた。

津田氏に始まり、あれほどの反対のパブリックコメントがあったにもかかわらず強行した結果がこれである。刑罰化はしないといっていたにもかかわらずである。

文化庁が、この分野の監督官庁に足るのかというところから論じる時代なのかもしれない。

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