URL事件最高裁決定
控訴審から参加した、URL事件の最高裁決定が、7月9日にあった。
URL事件は、控訴審の際に紹介しているが、児童ポルノのURLの一部を改変した文字列をアップしていたら、児童ポルノの公然陳列罪の正犯として起訴された事件である。
今回決定は、裁判所のHPで公開されるであろうから、私からアップすることは控えておく。
今回は、岡部、田原、大谷裁判官(Winny事件で有罪の反対意見の人)が特に補足意見無しで賛成。
他方で、寺田、大橋裁判官(ロクラク事件で放送局の代理人だった)が、本件は、罪刑法定主義違反であり、破棄差し戻しすべきと言う反対意見であった。
その結果、3対2の多数決で、上告棄却となった。
上告趣意書では、基本的な技術やこの判決が他の法律分野に与える悪影響についてはかなり力説した。しかし、3名もの裁判官が、このようなことすら理解できなかったことは非常に残念である。
この判決が、波及して、リンク掲載が著作権法違反の正犯となることの無いように願っている。
そして、ネット社会に対する不当な波及効果を憂いて、支援して下さった皆様には、力及ばず大変申し訳ない。
お詫び申し上げる次第である。
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コメント
おっしゃるとおり、例えばyoutubeへのリンクを貼る行為が著作権法違反の正犯とされかねない判決だと思います。
投稿: まつを | 2012/07/12 10:14
ネット上での著作物の流通の忌避が慣習・常体化するという事態が想定されるというようなことはないのだろうか。
投稿: hoge | 2012/07/19 10:03
正犯で処罰されているけれども、量刑自体は妥当なんじゃないでしょうか?法律的には今回のケースは幇助だろうと思いますが、量刑的には大差はありません。
結局のところ、リンクを張る行為や違法情報のありかを教える行為も、罪に問われるケースがありうる事を言う点で、法的構成はともかく結論的には妥当な判決だと思います。
ま、リンクは一切責任を問われないと勘違いしていたネット住民には衝撃的な判決でしょう。
投稿: たたた | 2012/08/21 05:25