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2014年2月7日

2014/02/07

ニセ作曲家とニセ有識者

現代のベートーベンこと佐村河内守氏にゴーストライターがいたという問題は、なかなか、話題になっている。

これは、司法研修所では訴訟物として徹底して勉強したことである!なんてボケをかましていたら、何でも調べずに即回答の板倉大先生のコメントが載っていた。

記事

実際に作曲した人とは合意の上だったので、著作権法の対象にはなりません。罪に問えるとすれば詐欺罪です。

びっくりした。大先生のおっしゃることとはうらはらに、著作権法には、著作者を偽った罪が規定されているからである。

第百二十一条  著作者でない者の実名又は周知の変名を著作者名として表示した著作物の複製物(原著作物の著作者でない者の実名又は周知の変名を原著作物の著作者名とし て表示した二次的著作物の複製物を含む。)を頒布した者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

このように偽表示の罰則があるのは、著作者の表示が、単に当事者だけの問題では無いからである。

第五十一条  
 著作権は、この節に別段の定めがある場合を除き、著作者の死後(共同著作物にあつては、最終に死亡した著作者の死後。次条第一項において同じ。)五十年を経過するまでの間、存続する。

著作者と著作権者を混同する人もいるが、間違ってはいけない。これは、司法研修所では訴訟物として徹底して勉強したことである(嘘)!平たく言うと、著作者は誰が作ったかの問題で、著作権者は、誰が権利を持っているかの問題である。著作者は、著作権を失っても著作者で有り続けるのである。

そして、著作権法というのは、基本的に著作者の死亡時を基準に保護期間が決められている。しかも死後50年である。著作権は、孫の代まで保護すると言われているが、おじいさんが謀った場合、その孫まで保護されかねないのである。

しかも、著作者は、著作権(著作財産権)者でなくなっても、著作権法上の保護を受ける。譲渡禁止の権利を有するからである。氏名表示権、公表権、同一性保持権がそれである。特に同一性保持権は、改変を禁止する権利であるが、儀式的な話ではなく、訴訟でよく使われる。場合によっては刑罰の適用もある厳しい権利である。

それだけではない。著作者保護の規定は著作権法にてんこ盛りである。

第六十条  著作物を公衆に提供し、又は提示する者は、その著作物の著作者が存しなくなつた後においても、著作者が存しているとしたならばその著作者人格権の侵害と なるべき行為をしてはならない。ただし、その行為の性質及び程度、社会的事情の変動その他によりその行為が当該著作者の意を害しないと認められる場合は、 この限りでない。
(名誉回復等の措置)
第百十五条  著作者又は実演家は、故意又は過失によりその著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者に対し、損害の賠償に代えて、又は損害の賠償とともに、著作者又 は実演家であることを確保し、又は訂正その他著作者若しくは実演家の名誉若しくは声望を回復するために適当な措置を請求することができる。

第百十六条  著作者又は実演家の死後においては、その遺族(死亡した著作者又は実演家の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹をいう。以下この条において同 じ。)は、当該著作者又は実演家について第六十条又は第百一条の三の規定に違反する行為をする者又はするおそれがある者に対し第百十二条の請求を、故意又 は過失により著作者人格権又は実演家人格権を侵害する行為又は第六十条若しくは第百一条の三の規定に違反する行為をした者に対し前条の請求をすることがで きる。

第百十三条  次に掲げる行為は、当該著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為とみなす。
 国内において頒布する目的をもつて、輸入の時において国内で作成したとしたならば著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権の侵害となるべき行為によつて作成された物を輸入する行為
 著作者人格権、著作権、出版権、実演家人格権又は著作隣接権を侵害する行為によつて作成された物(前号の輸入に係る物を含む。)を、情を知つて、頒布 し、頒布の目的をもつて所持し、若しくは頒布する旨の申出をし、又は業として輸出し、若しくは業としての輸出の目的をもつて所持する行為
 著作者の名誉又は声望を害する方法によりその著作物を利用する行為は、その著作者人格権を侵害する行為とみなす。

(罰則)

 次の各号のいずれかに該当する者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

 著作者人格権又は実演家人格権を侵害した者(第百十三条第三項の規定により著作者人格権又は実演家人格権を侵害する行為とみなされる行為を行つた者を除く。)

ようするに、著作者は、ときには刑罰をもってまで、未来永劫その名誉が守られるのである。

それゆえに、著作者名を詐称して世の人を欺くことを防止するため、罰則が設けられているのである。

で、この罰則であるが、実際は、なぜか、適用されることは殆ど無い。
というわけで、巷にはゴーストライター山盛りである。

ただ、適用されることが少なくても、著作権法上問題にならないというわけではない。

また、板倉先生は、詐欺罪の話をされておられるが、どうも、JASRACの存在を考えておられないようである。JASRACとの信託譲渡契約が絡んだときの構成は、刑事、民事で結構むずかしい問題がある。。。。。。が、時間が無いのでとりあえずここまで。

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