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2017年2月3日

2017/02/03

公衆とJASRAC

ジャスラックが音楽教室から使用料を徴収する方針を決めたという記事を見た。

記事

楽曲の著作権を管理しているJASRAC=日本音楽著作権協会が、来年以降、楽器の演奏を教える音楽教室から使用料を徴収する方針を決めました。対象となる教室は9000か所におよび、通知を受けた事業者は「教室での利用は使用料が発生するケースには当たらない」などと反発しています。

私的録音録画補償金制度がなくなったので、新たな寺銭獲得に燃えているのであろうか?かつて、雨が降るのもインターネットのせい的な態度だったジャスラックの方針転換なんだろうか?

記事を見る限り、そりゃ反発するわな。である。

相手も、早速、業界団体を作って反対活動のようである。

記事

日本音楽著作権協会(JASRAC)がピアノなどの音楽教室での楽曲演奏について著作権料を徴収する方針を固めたことに対し、音楽教室を運営するヤマハ音楽振興会や河合楽器製作所など7団体は、徴収に反対する連絡会「音楽教育を守る会」を設立したと3日、発表した。

まぁ、業界同士の活動はともかく、法律面はややこしい。

まず、音楽教室は、音楽を演奏することになるので、演奏権が問題となる。

第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

 実演 著作物を、演劇的に演じ、舞い、演奏し、歌い、口演し、朗詠し、又はその他の方法により演ずること(これらに類する行為で、著作物を演じないが芸能的な性質を有するものを含む。)をいう。

十六  上演 演奏(歌唱を含む。以下同じ。)以外の方法により著作物を演ずることをいう。

第二十二条  著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。

で、演奏権は、公衆に直接見せ又はきかせることを目的として行わなければ、著作権侵害にはならない。

じゃあ、公園とかで演奏するのは公衆がいるので著作権侵害かというとこれも規定があって無償なら著作権侵害にならない。

第三十八条  公表された著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金(いずれの名義をもつてするかを問わず、著作物の提供又は提示につき受ける対価をいう。以下この条において同じ。)を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる。ただし、当該上演、演奏、上映又は口述について実演家又は口述を行う者に対し報酬が支払われる場合は、この限りでない。
というわけで、本件は、営利か営利でないかということと、教室での演奏が公衆になるかが問題になる。

営利性については、生徒が営利性を持つことはまず無いので、教室側が演奏しなければならないというのが原則である。とすると、先生が演奏してなければ絶対大丈夫となりそうだがそうはいかない。
著作権の世界では悪名高いカラオケ法理というのがあり、他人の行為であっても一定の場合に自分の行為と見なすことで無理矢理著作権侵害にしてしまう裁判例がある。最初はカラオケスナックの話だったのであるが、インターネットと著作権の事案でガンガン拡大してしまっているのである。

これをつかって、生徒の演奏であっても教室の演奏だとJASRACは判断したのかもしれない。

次に公衆とは、法律の世界では、不特定かつ多数人と考えられているが、著作権法では、特定かつ多数人も含む。

第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
 この法律にいう「公衆」には、特定かつ多数の者を含むものとする。

とすると、音楽教室のレッスンは、多数でないから公衆に対するものではないかということになりそうである。。。。と簡単にならないのが、日本の裁判所である。

これまたインターネットの公衆送信権を巡る裁判例で、???な公衆の判断がなされているのである。

myta事件

本件サービスは,前記1(1)認定のとおり,インターネット接続環境を有するパソコンと携帯電話(ただし,当面は au WIN端末のみ)を有するユーザが所定の会員登録を済ませれば,誰でも利用することができるものであり,原告がインターネットで会員登録をするユーザを予め選別したり,選択したりすることはない。「公衆」とは,不特定の者又は特定多数の者をいうものであるところ(著作権法2条5項参照),ユーザは,その意味において,本件サーバを設置する原告にとって不特定の者というべきである。

まねきTV事件

そして,何人も,被上告人との関係等を問題にされることなく,被上告人と本件サービスを利用する契約を締結することにより同サービスを利用することができるのであって,送信の主体である被上告人からみて,本件サービスの利用者は不特定の者として公衆に当たるから

これらの判決をうがって見れば、厳格な入会審査でもしないかぎり、通常の契約者はすべからく不特定の者に該当して公衆の要件を充たすかのような記述である。

とすると、JASRACは、これらの法理を用いて生徒の演奏は教室の演奏であるとして、生徒を不特定の者と判断したのかもしれない。

上記の判決が出たとき、「公衆」の判断がかなり問題と言っていたのだが、期待を裏切らないのがJASRACである。

ちなみに

使用料は、使った楽曲の数や回数にかかわらず使用料を支払う「包括契約」の場合、受講料収入の2.5%を提案しています。

らしい。利用料というのであれば、演奏した曲毎に徴収するのが本来であるが、そうはしていない。

JASRACは、包括許諾契約が独占禁止法に違反すると言われたばかりであるが、懲りずに、みかじめ料よこせのようである。

相変わらずのJASRACクオリティ。。。訴訟必須であろうので、今後も注目である。

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