« 2018年8月10日 | トップページ | 2018年8月29日 »

2018年8月22日

2018/08/22

カメラを止めるな!の著作権問題

「カメラを止めるな」という映画が大人気だそうである。
 
これは舞台を原案とする作品のようである。
で、その劇団を主宰する男性が著作権侵害だと主張しているようである。
 
 
で、フジテレビを見た。TVでは著作権法に強いと紹介された弁護士の先生が、著作権侵害の可能性もあるかと聞かれてハイと答えていた
・・・・orz。というわけで解説することにしたい。
 
特定の著作物(原著作物)を用いて、著作物(二次著作物)を創作した場合、原著作権者の承諾を得てないと著作権侵害・著作者人格権侵害(翻案権、複製権、放送権、氏名表示権)の問題となる。
 
他方、原著作物を用いていないといえる場合は著作権侵害・著作者人格権侵害にはならない。
 
まず、確認しておくべきは原作とか原案とかは法律用語ではないので、
原案→著作権非侵害
原作→著作権侵害
というわけではないということである。
 
次に、重要なのは、著作権は表現を保護するものであって、アイデアを保護しないということである。
 
で、どういう場合が、表現が同一・類似になるかというと、翻案について判断した江差追分事件(最判平成13年6月28日)では、以下の基準が示された。
言語の著作物の翻案(著作権法27条)とは,既存の著作物に依拠し,かつ,その表現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ,具体的表現に修正,増減,変更等を加えて,新たに思想又は感情を創作的に表現することにより,これに接する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる別の著作物を創作する行為をいう。
 
既存の著作物に依拠して創作された著作物が,思想,感情若しくはアイデア,事実若しくは事件など表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において,既存の著作物と同一性を有するにすぎない場合には,翻案には当たらないと解するのが相当である。
 
この判決は翻案権の事案であるが、「本質的な特徴」「直接感得」基準は著作権侵害のスタンダードになっている。
 
この本質的な特徴基準はなかなかハードルが高い。実際に、江差追分事件最高裁でも翻案を否定している。
 
著作権侵害を認めた記念樹事件(東京高判平成14年9月6日)は、音楽著作権が問題になった事案であるが「メロディーの音の72パーセントが同じ高さの音」等の事情から「表現上の本質的な特徴の同一性」がみとめられた事案である。
 
NHKの大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」に「七人の侍」を模倣されたとして著作権侵害を主張した事件(平成16年12月24日、知財高裁平成17年6月14日)では、いくつかの場面等にお いて一定の共通点が認められるにすぎないとして、裁判所は(プロの目からすれば)一蹴した。
 
で、本件についていえば、本当に著作権に詳しい弁護士であれば、非侵害と即答である。
 

要するに「カメラを止めるな」を語るなら「勉強を止めるな」ということである。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2018年8月10日 | トップページ | 2018年8月29日 »