LIBRA2019年12月号より
LIBRAとは、東京弁護士会の発行している会報である。
インターネットでも公開しているので読める。
その中で「インタビュー岡部喜代子さん」という記事を見つけた(ずいぶん前に)。
岡部元最高裁裁判官に対するインタビューで、Winny事件に触れられていた。
──最高裁判事の立場からみて,弁護士の活動で良い印象が残ったものはありますか。
そうですね,Winny事件というのを担当しました。「Winny」って当時としてはかなり最先端のIT技術でしょう。私は初め分からなかった。これはどうしようかなと思って記録をずっと読んでいったら下級審で証人尋問をしていた。「Winny」の中身というか,どういう技術なのかということについて専門家を呼んで弁護人が尋問しているのですが,その尋問がすごく良くできていて,私みたいな人にも,「Winny」たるものは何なのか,どういう技術でどれだけ大事なのかということが本当に読んでいたら分かってきました。裁判官がどこを疑問に思うのかということを理解しているのだと思いました。
下級審での専門家証人は複数おり、私が主担当をした証人か副担当をした証人かはわからないが、読んでてが恥ずかしくなるくらいのえらいお褒めをいただいたようである。
専門家証人は、いずれも、小説に載っているので興味がある方はどうぞ。
じゃあ、なんであの基準?というのは置いておいて、技術立証におけるスコープは非常に難しかった。
弁護団の中には、裁判所はITを知らないのでIPアドレスの用語の説明を説明するべきだという者もいたが、時間の無駄だしIPアドレスを理解してもWinnyを理解したことにはならないし、本当に伝えるべきことがぼやけるのでやらなかった。
岡部裁判官がよく分かったとおっしゃってるのを見るかぎり、この戦略は成功したということなのであろう。
ただ、私は、当時、団長が理解していることは、裁判所も理解できるはずなのでやらない。それ以上に立証を絞る。という不遜にも程があることを言っていたので読んでいて複雑な気持ちである。
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