コインハイブ事件高裁判決@判例時報
コインハイブの呼出しコードをサーバに蔵置したとして、不正指令電磁的記録保管罪に問われた事件の高裁判決が2020年2月7日にあった。
東京高等裁判所第11刑事部(栃木力裁判長、上岡哲生裁判官、髙橋康明裁判官)は、不正性の要件を満たさないとして無罪とした地裁判決(横浜地判2018年3月27日)を破棄して、罰金10万円の罪を認めた。
高裁が有罪を認めたロジックのおかしさについては他でも書いてるので、今回はそういうのを解っていることを前提の記事である。
この判決が、判例時報2446号71頁に解説付きで掲載されているのを見つけた。
判例時報とは、日本でもっとも有名な判例紹介雑誌の1つである。
判例時報では、誰が解説を書いたかは明らかにされていない。コインハイブ事件判決でも「仮名」である。
ただ、この仮名さん。どこから裁判の情報を知ったのか解らないが、解説がなかなか香ばしい。
高裁判決のもっとも狂った判断と言われている、「賛否両論は被告人の不利益に」理論であるがこれについては仮名さんはアプリオリに大賛成らしい。
しかも、
賛否が分かれている点は社会的許容性を基礎付ける事情と言うよりもむしろ否定する方向に働くものと第一審段階で見切るのは必ずしも容易ではないけれども
と、地裁判決に対して謎のマウンティングである。
さらには、
総じて言えば、本件では第1審が迅速に疑問を提起し控訴審が適切に解明を試みており、社会的信頼を保つ意味合いからも刑事裁判が有用に機能しているとも言えよう
と、事件解決したかのように解明と言いだし、さらに、高裁判決のおかげで刑事裁判制度が機能しているといわんばかりの最高金賞である。
私には、この仮名さんが、なぜ、高裁判決マンセーな自己万能感満タンでこの判決の解説をしなければならなかったのかは解らない。
ただ、私は、こんな傲慢な考えをしている者が、刑事司法の中枢にいるとは思いたくはないので、解説を書いた仮名さんが、「判決を書いた裁判官ご本人」ではないと信じたいところである。