人質司法
カルロスゴーンの弁護人として一般の人にも名を知られるようになった高野隆先生の渾身の一冊「人質司法」が出版された。
そこで早速購入して、勝手に案件記事を書くことにした。
高野先生は、(当時は)米国に留学すれば金儲け出来る弁護士になれるのに、あえて、刑事弁護の途を選んだ希有なお方である。
そのおかげで、キースエバンスの「弁護のゴールデンルール」という名著が日本に紹介されて、日本の法廷弁護術が飛躍的に向上したのである。
高野先生は、やめよう人質司法T シャツを作り、寝間着にするくらい人質司法と闘っているお方である。
高野先生は、手越祐也の代理人弁護士として宮崎駿ネタでバズったときも「似てないんだけどなぁ」と曰ったいささか空気を読めないお方である。
(いや、100%似てるってバズるやろ。。。)
そんな高野先生が、日本が世界から中世と非難される人質司法の象徴である、
被疑者の心を折るためとしか思えない①起訴前の長期勾留
黙秘権を覆す強力なエンジンである②取調受忍義務
否認への見せしめ用と言わずにはいられない③接見禁止
宗教裁判並みに安易に認められ勾留決定や保釈不許可を退ける根拠となる④「
などについて先進国の法制度との比較や、日本の立法経緯、特に、リベラルな刑事訴訟法を立法したにもかかわらず裁判所が人権侵害的な解釈を打ち出していった経緯まで、脚注で引用文献までつけて緻密に書かれている。
もちろん、カルロスゴーンの弁護について、彼が、日本の刑事司法に失望していく経緯も記されている。
この本は、人質司法に関するものが網羅されており、全弁護士が座して読むべきと思う。
ただ、この本は、法学セミナーの連載企画ではなく、新書で出版されている。
新書は素人の方が手軽に読むはずのものである。。。。が、ブルーバックス以上に読者を選んでいる本となっている。
そのあたり同じ新書でも、弘中淳一郎先生の「無罪請負人」の様なマーケットへの鋭い嗅覚はまったく感じさせない。
というわけで、高野先生のお人柄を含めて、特に、先生が立法時の資料を見つけてワクワクしながらこの本を書いているところを思い浮かべながら読むとより一層楽しめる本となっている。
是非、どうぞ。